自然科学研究機構・核融合科学研究所(岐阜県土岐市)が計画する重水素実験について、岐阜県多治見、土岐、瑞浪の3市が、実験実施に向けた協定書の締結に同意する方針であることがわかった。重水素実験は放射性物質トリチウムや中性子線が発生するため、安全性に不安を持つ住民の反対運動が起き、実験の開始が当初の予定から10年以上遅れている。
核融合科学研究所は、核融合の基礎研究をしており、核融合反応に不可欠な高温のプラズマを「大型ヘリカル(らせん状)装置」でつくり出す実験を行っている。
これまでの実験は水素を使ってきたが、水素の同位体「重水素」を使うと、核融合反応に必要とされる1億度に近い温度までプラズマの温度を高めることが可能になるという。しかし、重水素実験では中性子線と放射性物質トリチウムが発生し、装置自体も中性子線で放射化され、放射性物質になる。