財務相を3度務めた民主党の藤井裕久税調会長は、日銀の独立性をめぐる最近の論争を見ると、第2次世界大戦中における同行の役割を思い出すという。
- Reuters
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藤井氏は19日の講演で、金融政策に対する政府の影響力をめぐる過熱気味の議論と戦時中の出来事の類似性を指摘した。
現在の議論から浮かび上る日銀の姿は、第2次世界大戦時に帝国政府が戦費を得るために日銀を利用した状況をほうふつとさせるという。
今年80歳になった藤井氏は、育ち盛りの少年時代に戦争を経験した数少ない政治家の1人。当時について、戦費をまかなうために日銀が国債を引き受け、政府はばかげた戦争に突入したと語った。
戦時下の1942年、旧日銀法が制定され、中央政府が設定する目標の達成を支えることが日銀の使命となった。蔵相は日銀の監督権を握り、その命令に反した総裁を解任できた。
1998年に全面改正された新日銀法では、大半の先進国と同様に中央銀行の政府からの独立性が保証された。
しかし、野党の自由民主党は、金融緩和で日銀がここ数年取ってきた漸進主義的とみられるアプローチに不満感を抱いている。そして、デフレや円高が収まらないのは、日銀がより積極的な措置を講じないためと考えている。
最近の世論調査で首相になる可能性が最も高いとされるのは、国家安全保障の分野でタカ派として知られる自民党の安倍晋三総裁だ。マニフェスト(政権公約)には、「大胆な金融緩和」を行うために日銀法改正を盛り込むと見られている。
藤井氏は改正について、日銀を戦時中の体制に戻すことに等しいと指摘する。
日銀法の改正は1942年制定の旧日銀法の復活にほかならないという。
もちろん、藤井氏は公平な立場からの観察者とは言い難い。12月16日の総選挙に向けた世論調査では自民党に大きくリードされている民主党の重鎮だからだ。安倍氏は日銀の役割を選挙戦での最重要問題に位置づけ、政権を奪回するために利用したい考えだ。一方、藤井氏の講演は、この問題における過激主義者というレッテルを安倍氏に貼り付けようとする民主党側の作戦の一環だ。
与党民主党内で、安倍氏の提案に軍国主義的な意味合いを付けようとしたのは藤井氏だけではない。
日本経済新聞の報道によると、中塚一宏金融担当相は20日、安倍氏が日銀による建設国債引き受けや強力な金融緩和を求めていることについて、「(日本は)発展途上国の軍事独裁政権ではあるまいし」と批判した。
藤井氏はまた、強力な金融緩和策によって資産インフレリスクが生じると警告するなど、若干議論を呼びそうな表現でこの問題を取り上げた。
過剰な金融緩和で資産価格バブルが起き、最終的に厳しい打撃を受けるという。
さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加に消極的な点など、安倍氏の政策の大半に否定的な考えを示した。
通貨切り下げ競争や経済封鎖は大恐慌をもたらした主因の1つだとし、自国利益だけを追求する国は衰退の道に向かうとの持論を展開した。
日本経済新聞の報道モラルの質には疑問がある。
見境なく記事ネタにするために左から右への必ずノイズが入る伝言ゲームかのようだ。
フィナンシャルタイム紙翻訳におけるIMFの日銀に対する評論の翻訳も摘み食いで本旨が壊れているし、日銀の独立性は異例で評価できないことも旧大日本帝国軍部の検閲かのようにすっぽ抜けている。
民主党議員の軍国主義という表現にもまるで国家社会主義傀儡政権が侵略対象国を誹謗する手口と酷似して嫌悪がある。
昭和金融恐慌の種を発芽させ育てた霞ヶ関が恐慌の最悪の花を咲かせようとしたときに、時の宰相高橋是清財務大臣の奇抜な金融緩和で最悪から政治の力で免れた。しかし財政の壁に直面し行政コストを削減しなければならないときに旧大日本帝国陸軍内部抗争が勃発し皇道派の軍組織クーデターを理容して国政政権クーデターを企てたのは統制派という軍派閥だ。今は皇道派が民主党で統制派が日銀と財務省主計局だ。
歴史を繰り返す?
日銀による国債の直接購入は反対ですけど、日銀の金融緩和施策がイマイチ効果が出ていないのを見ると、もう少し政府とちゃんと協力して経済政策をやってくれよという気持ちにはなりますね。
「過剰な金融緩和で資産価格バブルが起き」とか言ってますけど、アメリカは今、インフレターゲットを2%に設定していますよね。安倍氏も2~3%くらいでどの値が良いかは専門家が検討することと言っています。それほど素っ頓狂なことを言っているようには見えないのですけど、藤井氏は日本においてはなぜ「バブルになるのか」をもっとちゃんと説明すべきですね。アメリカでは日本よりもかなり大胆な金融緩和を行なっているのを見ると、なぜ日本ではここまで大胆にできないのか?という方がよっぽど疑問になります。