財務省が21日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、中国向け自動車輸出は前年同月から82.0%減少した。尖閣諸島の国有化をきっかけに日本製品の不買運動が広がった影響が出た。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4065億円の赤字となった。全体の貿易収支も、10月としては過去最大の5489億円の赤字となった。
中国向け自動車輸出の下げ幅は、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝で反日感情が高まった2001年10月(88.3%減)以来、11年ぶり。中国経済が減速していた影響もあって、自動車部品(28.1%減)や重機用エンジンなどの原動機(42.7%減)も大きく下げた。
中国向け輸出は全体で11.6%減の9477億円となった。一方、中国からの輸入は通信機器(23.5%増)を中心に増え、3.6%増の1兆3543億円。赤字額は今年1月(5895億円)以来の大きさだった。
全体の貿易赤字は4カ月連続で、赤字額は市場予想(3500億円)を上回った。
輸出は6.5%減の5兆1499億円で、5カ月連続の減少となった。自動車が中国や欧州向けを中心に12.3%減った。鉄鋼も中国や韓国の景気減速が響いて9.7%減と落ちこんだ。一方で半導体など電子部品は韓国などアジア向けが伸びて4.1%増と22カ月ぶりにプラスに転じた。
輸入は1.6%減の5兆6989億円。2カ月ぶりに減少した。サウジアラビアなどからの原油が19.6%減った。10月1日に石油石炭税の引き上げがあり、9月に燃料輸入が急増した反動が出た。中国や韓国からのスマートフォン(高機能携帯電話)を中心に通信機は29.6%増と高い伸びを続けた。
地域別の貿易収支をみると、米国向けは自動車を中心に輸出が3.1%増と12カ月連続で増え、対米黒字も4164億円と7.0%増えた。増加は2カ月ぶり。景気減速が続く欧州連合(EU)向けは輸出が13カ月連続で減少し、2カ月ぶりに貿易赤字に転じた。中国向けは8カ月連続の赤字で、中国を含むアジア向けの貿易黒字も20カ月連続で減少した。
先行きは「緩やかに景気拡大が続く米国向けの輸出が底堅く推移する」(大和総研)と、年明け以降に輸出が徐々に回復するとみる専門家が多い。ただ、中国での日本製品の不買運動の影響がどれほど続くかなどは見通しづらく、依然として不透明な面は大きい。
小泉純一郎、自動車輸出、中国
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