第9回「ベーマガライターの同窓会」

 少し前の話になりますが、昔のライター仲間と飲み会がありました。10年以上前にマイコンBASICマガジン(以後、ベーマガ)で仕事をしていたときのメンバーです。
 当時のこの雑誌を知らない人には何が何やらかと思いますが、今回はこのお話です。

 参加メンバーは、古代祐三氏、断空我氏、手塚一郎氏、響あきら氏、ベニー松山氏、山下章氏、影さん、編さん、そして僕です。この辺のメンバーはみんな署名記事を書いていましたから、当時の読者の人たちには懐かしい名前だと思います。しかし、“影さん”“編さん”ってベーマガの編集者さん2人の愛称なんですが、こうして書いてみると変な名前ですね。

 山下章氏は現在、スタジオベントスタッフというゲーム攻略本などの編集プロダクションの社長さんをされています。最近では『ファイナルファンタジー』シリーズなどの攻略本が売れていて、会社も順調のようです。当時からアドベンチャーやロールプレイングなどの攻略を書かせたらピカイチの人でしたから、これ以上の天職はないという仕事をされていますね。
 実は『カスタムロボ』を作ったときに、ベントで攻略本を作っていただけないかと僕から山下さんにお願いしたという経緯があります。結局これは実現しなかったんですが、まあ、書店で『ファイナルファンタジーX 』の攻略本がベストセラーで平積みになっているのを見ると、あんなことお願いしてベントには役不足だったかもと今にして思うとドキドキ(笑)。

 古代祐三氏は、ライターでもあったけれど、当時からサウンドクリエイターとして有名な人です。パソコンの『イース』シリーズの曲や、最近では『シェンムー』などに参加されています。現在はエインシャントというゲームソフトハウスの取締役をされています。
 断空我氏は現在、ゲームとは別の業界で仕事をされていると話していましたが、ゲーム業界の話題を興味深く聞いていましたね。ライター時代に山下さんらと香港旅行に行った話を懐かしそうに話していました。

 響あきら氏は、講談社の少年マガジンで編集の仕事をしています。同誌のゲーム紹介ページもベントスタッフが執筆していて、それも彼が担当しています。響氏は、マンガの編集者としても、あの「MMR」にもイケダという本名で登場していましたから、今やベーマガライター出身者イチの有名人です(笑)。

 手塚一郎氏とベニー松山氏は、共に前述のベントスタッフの取締役なんですが、本業は小説家です。二人ともファンタジー小説の世界で高い評価を受けています。手塚氏は『最後の竜に捧げる歌』『弦奏王』などの著作で知られています。ベニー松山氏はウィザードリィ小説『隣り合わせの灰と青春』などで有名ですが、最近では少年ジャンプなどで連載されていたマンガ「BASTARD!!」のノベライズの仕事をされていますね。また、二人ともゲームのシナリオライターの仕事などもしています。手塚氏は『トルネコの大冒険2』のシナリオなどを書いていますね。
 ベニー松山氏は最近息子さんと『カスタムロボV2』を遊んでくれたそうで、わざわざ僕の前でシナリオモードの中で恥ずかしい部分を選んで連呼するんです。バトル前に変な掛け声で気合を入れる登場人物のセリフとか、悪役のお姉さんキャラのちょっとセクシーなセリフとか、そんなの。
 あと、カスタムロボのノベライズの仕事の依頼があればやりますよとも言ってくれました(笑)。彼はトークが軽妙すぎて、どこまで本気でどこからギャグで言ってるのか、未だに把握できません。いや、それらが渾然一体となったトークができる辺りが、彼の小説家たる所以なのかもしれません。

 こうして当時のメンバーと会って見ると、その多くが、今もゲームに関係する仕事に就いています。そして、仲間内で会社を興すなどして仕事をされているような人が多いことに気付きます。
 僕らがライターを始めた時代、テレビゲームはまだ黎明期の中にありました。市民権も得ておらず、いい大人の遊ぶようなものではありませんでした(今もか?)。その時代にあって、ゲームに対して単なる暇つぶし以上の愛着を持って、それに関係するアルバイトにまで就いてしまう人間なんて、周囲から見れば変わり者だったと思います。でも、それだけゲームが好きだという気持ちは強烈だったのでしょうね。そういう一途さと我が道を行く性格が、このメンバーの現在を形成しているのだと思います。

 この飲み会の様子は山下章さんが録音されていて、ベントスタッフのホームページ(http://www.bent.co.jp/)で紹介するって言っていたんですが、後で聞いたら録音状況が悪くてほとんど聞き取れないので断念したそうです(笑)。
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