六価クロムの汚染秘匿と東電の漏洩秘匿 (11/17)
今日、2つの注目すべき事件がありました。
1) 六価クロムの漏洩秘匿と役所の説明(1年9ヶ月秘匿)
2) 3月16日の福島原発漏洩と東電の秘匿(1年8ヶ月秘匿)
3) 法令に対する誠実さの喪失(3355倍と222倍)
4) 120トンの土砂を除去、原発付近立ち入り禁止との矛盾
5) 中国食品を嘲笑できなくなった日本
(平成24年11月17日)
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残念なことながら、今日ですね、二つの注目すべき環境汚染の事件がありました。日本になんで環境省があり、そこがなんかレジ袋とかつまらないことやってですね、あと一年100ミリ(シーベルト)でいいとか、むしろ環境を汚染する方に一生懸命なんですけども、ガレキの運搬だとかですね。大切な仕事はまったくやってないということがわかるような事件でありました。
一つはですね、六価クロムの漏洩がありまして、これがですね、法令に定める値の222倍、除いた土が120トンという、かなり大掛かりな汚染でありましたが、これを昨年の2月から約1年9か月間秘匿をしておりました。これに対する役所の説明もとてもひどいものでありました。
それからもう一つは去年の3月にあった、福島原発の爆発事故でですね、3/16の福島原発付近で非常に高い放射性物質…濃度が観測されたにもかかわらず、そのデータの所だけが空白のデータを出しておりました。東電の秘匿によるもので、これは1年8か月の秘匿でありまして、これはNHKが報道しとりました。
しかしですね、このような化学物質の秘匿というものは、昔は企業が秘匿をして、それをせっかく作った環境省がですね、国民に報告するという体制を作ったんでありますが、もう全然それからしばらくたちまして、昔流に言えば、企業と環境省の癒着っていうのがますますひどくなって、地方行政にもそれが及んでいるということを示しております。
つまり、企業の社会的倫理という、まず第一の壁と…壁っていいますか方法と、それからそれでは不十分なんで、国民は税金を出して環境省を作ったんですが、もう全然だめということで、いよいよ国民はですね、残念ながら税金を払っても何の役にも立たないという時代を迎えたと思います。
これの一つの問題はですね、役人による法令の軽視ですね。これの一番はっきりしたのが、私がこのブログでも再々お話しました、福島原発事故直後のですね、保安院が言ったですね「ヨウ素が海水から3355倍…基準値の3355倍を検出したが、健康には影響がない」と。
今回も同じこと言いましたね、役所が。「六価クロムの濃度は基準値の222倍で、120トンもの土砂を除去したんだけど、健康に影響ない」。それじゃあ、一体規制値っていうのは何のために決めてたんですかね。これはですね、そういう疑問符で言うんじゃなくて、正面から言えばですね、規制値というのは、それを超えたら健康に影響があるから決まってるんです。
ただですね、健康に影響があると言う時に、色々年齢もありますし、それから接する濃度も違います。時間も違います。だから、「おおよそこの濃度を守っておけば、健康に影響がない」というのでですね、従って、法令で決められた濃度の100倍とか1000倍で健康に影響がないってことは絶対ありません。もしそんなこと言うなら、規制値の意味というものを考えて頂いたらいいと思います。
規制値が安全サイドにあると言われますけど、それは違うんですね。それは、これ大きな間違いなんですね。というのはですね、規制値を、普通の標準の人ですね、例えば年齢が20才で男性で、勤めに出てて、食べ物はこれ、これ、これと。そういう人を基準をした場合ですよ…これを基準とした場合、それよりかは安全側になってることは確かです。
しかしですね、世の中には赤ちゃんもいますし、食べ物が偏食する人もいるし、そこに長く住む人もいる。色んな人がいますね。ですから規制値ってのは平均値じゃだめなんですよ。例えば平均値で取りますと変なことになりますね。例えば福島の原発近くが汚染された、と。日本中の平均値から言えば、全然影響ないわけですよ。だけども、福島に、そこにいる人には影響が大きいんですね。
さらに海の汚染ですと、海水浴をする人には影響が多いんです。海水浴しない人にはあんまり関係ないんですね。それからスノーボード(ボディボードと言いたかったのかも)したり、それから色々ヨットで遊んだり釣りをしたり、漁船で仕事をしたりする。ですからその、規制値というのはですね、そういう場合にほとんどの人にはあまり影響がないということを以ってですね、規制値にしているわけですね。
だから、だいたい交通事故とか火災だとか、そういったものの危険性よりか少し少なめにしとくというのが規制値ですね。そうしますと、例えば火災ですと一年に2000人ですから、だから通常の問題ってのは…だいたい酔っ払い運転なんかもそうなんですが、年間200~300人から500人ぐらいというのを一つの危険の目安とします。そうすっと、日本人には1億人いますからね。1億人のうちの200人とか300人が被害を受ける、まぁこのくらいのとこで妥協しとくわけですね。
それは交通事故ぐらい5000人ぐらいなものがですね、今は交通事故だけ(音声不明瞭)、そんなのがどんどんあったらですね、六価クロムで5000人死んで、放射線で5000人死ぬって、どんどんやったら大変なんで、そういうのが100項目ぐらいありますからね。そうするともう、ものすごい死亡率になっちゃうわけですね。
ですから、見かけは安全のように見えるんですけど、実はそうじゃないんですね。だからお役所はですね、規制値を超えたら危険であると言わなきゃいけないんですよ。いや、ひどいもんですね。で、これはですね、本人たちは気がついてないんですが、実は規制値を超えたからっつって税金で120トンもの土砂を除去したんですよ、この六価クロムの問題は。それから原発付近は現在立ち入り禁止ですね。
つまり健康に影響あるから土砂を除き、立ち入り禁止にしてるんですね。「それじゃ何に基づいて?」って言ったら、「基準値に基づいてですよ」と。「じゃあ基準値は健康に影響ないの?」、「いや、ありますよ」と…これ何言ってんですかね。だからもう、こっちではああ言う、あっちではこう言うって、もう非常に誠実さを失った社会になった。
かつてですね、中国食品を我々は嘲笑しました。深く反省しなきゃいけませんね。私は今度の中国の尖閣諸島の問題で、中国にあんまりいい感情を持っておりませんが、しかしそうは言ってもですね、かつて中国から食品を日本に輸入する時に、「中国はなんだ、衛生管理が悪い」だのね、「こんなことやってる、あんなことやってる」っつって、日本人はずいぶん中国人をバカにしましたよ。しかしどっちがいけないんですかね。これでもし中国がですね、きちっとした環境基準守ってる国だったらですね、もう日本は恥ずかしい限りですね。どうしてこんな国になっちゃったんですかね。
かつてキャラメルのホルムアルデヒド事件ってあってですね、これはもうホルムアルデヒドが別にそんなに危険な量じゃなかったんですよ、量としても。食品に入っているホルムアルデヒドよりかずっと少ない量でした。なのに「入っちゃいけない」と、「そういうものは少しでも入っちゃいけない」と言ってですね、新聞4社がものすごく騒いで、ほんとにほとんど入っていない…規制値なんかよりずっと低いキャラメルを6000万個捨てましたね。
それからよくあったですね。例えば産地偽装だとか、それからもっとひどかったのは、添加物の(記載)順序が逆に書いてあるっつって、新聞が叩いて、その食品を捨てさせたりしました。まぁどういうふうな基準に日本はなっちゃったんですかね。原発という事故を経て、「法規は守らなくていい」と、「これを守れなくてもごまかせるんだ」という考えが非常にまん延したということですね。
一年1ミリシーベルトについて、この前読者の方から質問がありましてね、「一年1ミリシーベルトっていうのは業者側の規制であるから、国民の規制はないんだ」と…。一体なに言ってるのかと思いましたね。いや、その人は真面目な質問なんですよ。そういうことを誰かが発言してるって言うんですよ。
例えば交通規則でね、50キロの制限速度って、運転する人の方に制限速度をかけてんですよ。轢かれる方、はねられる方に制限速度をかけてんじゃないんですよね。義務にしてんじゃないんですよ。当たり前ですよね。なんでも、運転する…危険なことをやる方に規制をかけるんですよ。だから道路交通法では、最高速度50キロって決めるんですよ。
それと同じように、放射線の場合は、放射性物質を扱う人、レントゲンを扱う人の方に規制をかけるんですよ。一般の人は放射性物質もレントゲンも扱いませんからね。だからもちろん一般国民の規制なんてあるはずないじゃないですか。一般国民の規制を決めたらどうすんですかね。放射線扱ってないんですからね。だから業者の規定なんですよ。
こういうね、低レベルの議論が出てくるっていうのは、どういうことなのかな…これがやっぱりこの、3355倍でも健康に影響ないとかね、そういうことに繋がってるんでしょうね。やっぱりもう少し我々は、誠実な日本を作らなければいけない、と。そうしないと本当に自分の身は自分で守らなきゃいけないっていう、私たちが今まで外国人に対して「あの国はダメだなぁ。国は自分を守ってくれない、だからピストル持たなきゃいけない」とか、「いちいち謳(うた)わなきゃいけない」と、「ずいぶん野蛮な国だなぁ」と言っていた国と同じになってしまいます。
※六価クロムの秘匿…東京都江東区と江戸川区にまたがる都立公園周辺で昨年2月と今年4月、有害物質の六価クロムを含む地下水が漏れ出ていたことが都の調査で分かった。処理のため除去した土壌からは環境基準の約220倍の六価クロムが検出されたが、都は「健康に影響はない」として区や住民に連絡していなかった。
※キャラメル事件…2002年6月、無認可食品添加物が使われた様々な食品が回収される騒ぎとなった出来事を指していると思われる。記事中にあるホルムアルデヒドはアセトアルデヒドのことだと思われる。