橋下市長:平日昼に遊説 「国政と市長、寝る時間削る」何だった? 市役所に苦情も
2012年11月20日
◇「政治活動当たり前」反論 市役所に苦情も
日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は19日、国政進出後初めて平日に街頭演説に立った。維新の顔として今後、全国遊説を本格化させる。事実上の選挙戦に走り始めた橋下氏に、市民や他党の議員から大阪都構想など市政への影響を懸念する声も上がっている。【茶谷亮、熊谷豪】
「今日から全国回ります」。19日午後、大阪府高槻市のJR高槻駅前で衆院解散後初めて、街頭演説した橋下氏は、集まった多くの聴衆に精力的に全国遊説する考えを示した。大阪の地域政党から出発した日本維新の会にとって、知名度のある橋下氏の全国遊説は大きな武器だ。
大阪市長と国政政党トップの両立について、これまで「プライベートや寝る時間を割けばいい」と説明していた橋下氏だが、事実上の選挙戦に突入し、公務日程は空白が目立ってきた。
市などによると、19日は公務がなく、4カ所で演説。20日は市議会に出席するが、21日も午後1時から5カ所の遊説に回る。市職員は「市長の公務を入れにくい」と頭を抱え、市役所には「平日に何をしているんだ」と苦情も寄せられている。
19日夜、大阪・ミナミで橋下氏の演説を聞いた大阪市中央区の主婦(65)は「大阪人をほったらかして何が国政か。市長としての仕事をしてほしい」と苦言。同市阿倍野区の会社員、山口裕美さん(35)は「現場の声が霞が関に届いていない。市政などは気にせず、思いっきりやって」と理解を示した。
これに対し、橋下氏はツイッターで19日、「僕は選挙で選ばれた公選職。政治活動をやるのは当たり前だ」と主張している。
市は8月、市長選の3カ月前から、市長が集会やホームページ(HP)などで広報活動することを禁じる条例を施行した。市は条例の趣旨を考慮し、市長の定例会見を中止し、HPから橋下氏の政策や顔写真の掲載ページを削除するなど対応に追われている。
維新の金看板である「大阪都構想」への影響を懸念する声もある。開会中の市議会は19日、来月14日までの会期を大幅に短縮し、今月20日の閉会で各会派が合意した。橋下氏は当初、都構想の制度設計を進める法定協議会の規約案を今議会に提案する方針だったが見送った。