■受講生死亡でも、セミナーを継続
大阪地方裁判所 |
訴状によると、このセミナーを受講していた約30人の受講生の全員が、NWJのディストリビューター・グループ「ワンダーランド」のメンバーだったとのことです。死亡した男性は、「アドバンス」コースの3日目の朝、一番最初にほか2人の受講生と一緒に「プリマドンナ」に扮して踊り、少なくとも30分踊った後で午前10時頃に倒れ、11時27分にホテルのフロントが消防署に通報して救急車を呼んだものの、同日午後12時半に病院で死亡が確認されたとのことです。
ASKでは男性が倒れた後も、そのままセミナーを続け、男性の死亡が明らかになった翌日の4日目のセミナーも最後まで行ったといいます。
■ニューウェイズ販売員が集まった自己啓発セミナー
両親は訴訟の中で、男性は肥満で脂肪肝傾向にあったがそれ以外は全て正常で、特に心疾患などはなく、「急激で激しい運動を強いられたために死亡した」と主張。「プリマドンナ」の踊りについて「全員へのこれからの演技に対する覚悟・恐怖・真剣さなどを植え付け、見せしめとするために徹底的にしご」くものだったとしています。
訴状によると、男性が死亡した「アドバンス」コースを受講していた受講生約30人は、全員が「ワンダーランド」のメンバーだったとのことです。また「ワンダーランド」代表者の嶋村氏もこの「アドバンス」に立ちあっており、男性の両親はASKや嶋村氏、ワンダーランドなどが一体となって開催しているものだとしています。
ワンダーランドはNWJのディストリビューター・グループですから、事実上、マルチ商法のディストリビューター教育に自己啓発セミナーが活用された現場で起こった悲劇と言えます。
■連綿と続く、マルチ商法と自己啓発セミナーの蜜月
自己啓発セミナーは1970年前後のアメリカで生まれましたが、その発祥の経緯もその後の歴史も、マルチ商法(マルチ・レベル・マーケティング=MLM、ネットワークビジネス)と深い関係があります。もともと化粧品マルチの「ホリティマジック」がディストリビューター研修のために民間の心理療法を取り入れたのが、自己啓発セミナーの始まり。後に日本初のセミナー会社「ARCインターナショナル」(2000年に解散)を作ったロバート・ホワイト氏も、元はホリティマジック社の研修を請け負っていた人物でした。
ASK社ウェブサイトより |
■ASKは微妙に名称変更して活動中
なお、ASKグローバルコミュニケーションは男性の死亡後、「アドバンス」の名称を「SEEKブレイクスルーコース」と改称。会社名も「ASKアカデミー」に改め、現在もセミナーを開催しています。
またASKは前述のロバート・ホワイト氏を日本に招き講演会を開催するなど協力関係にありました。しかしセミナーで死者が出た後は、同社のサイトでホワイト氏の名前をあまり見なくなりました。【つづく】
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