日本で自民党が政権を獲得した場合、教科書の歪曲(わいきょく)はさらに深刻化する見通しだ。共同通信が報じたところによると、自民党の教育再生実行本部は16日、教科書検定基準のうち「近隣諸国条項」を修正するという内容の報告書を安倍晋三総裁に提出したという。近隣諸国条項は、日本で教科書検定を行う際「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮をする」という内容だ。文部省(現・文部科学省)が1982年の教科書検定で、日本の「侵略」を「進出」に、「弾圧」を「鎮圧」に、「出兵」を「派遣」に書き換えるよう指示したと報じられ、韓国や中国が激しく反発するなど外交問題に発展したため、日本は教科書検定基準に近隣諸国条項を追加した。
安倍総裁は、教科書検定基準を改めるなど、いわゆる「愛国心教育の強化」を次期衆議院議員総選挙の公約に掲げる方針だ。安倍総裁は「日本の伝統を尊重し、愛国心を高めるという改正教育基本法の精神を、民主党政権は十分に反映していない」と主張している。安倍総裁はかつての首相在任中(2006年)、教育基本法(1947年制定)を改正し、「国と郷土を愛する」という、愛国心教育の強化に関する条項を新設して、教科書の歪曲に道を開いた。