「万歳! 万歳! 万歳!」
16日午後、国会議事堂の衆議院本会議場。衆院議長が「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」と天皇の解散詔書を読み上げると、議員たちは一斉に万歳を三唱し、拍手した。民主党の当選1回の衆院議員は、支持率下落のため相当数は当選の可能性が低いとみられ、表情は固かったが、それでも万歳を叫んだ。
万歳三唱は、かつての帝国議会の伝統によるものだ。天皇の国事行為に対し賛意を示す行為という説が有力だ。一部では、万歳三唱について「天皇とは関係なく、次の選挙でしっかり当選して戻ってくる、という意味。声を大きく出すほど当選して戻ってくる可能性が高い」と主張する。しかし、政党同士の極端な対立によってもたらされた衆院解散だというのに、議員たちがまるで慶事でもあったかのように万歳を叫んで手を叩くのは、軍国主義的コメディーという批判もある。
16日に衆議院が解散され、各党は来月16日に予定されている総選挙の準備に突入した。2009年8月に民主党が圧勝した前回の総選挙から、3年4カ月ぶりの衆院選となる。野田佳彦首相は16日午後、記者会見で外交政策について「極端に走れば、それは排外主義につながる。そうした空気に影響される外交・安全保障政策では日本が危ういと私は思う」と語り、極右的主張を展開する自民党を批判すると共に、今後は中道政策を掲げることを示唆した。
野田首相は、自民党が掲げる10年間で200兆円の公共投資計画(国土強靱〈きょうじん〉化計画)について「積算根拠もなく総額ありきで、従来のように公共事業をばらまく、そういう政策」「私たちは(中略)コンクリートへの投資ではなく、人への投資を重視して、民の力を育む。そして、雇用をつくり出していく」と批判した。また、自民党の原子力発電所維持政策も批判した。
一方、与党・民主党が選挙で惨敗することが確実視されており、離党者が相次いでいる。朝日新聞は、14・15日の2日間だけでも9人が民主党を離党する意向を表明したと報じた。16日にも、福田衣里子衆院議員ら3人が離党届を提出した。さらなる離党者は10-20人に達する見込みだ。離党した議員たちは「日本維新の会」(以下、維新)や自民党に入党したり、新党を結成したりしている。
また、橋下徹・維新代表兼大阪市長と石原慎太郎「太陽の党(以下、太陽)」代表が16日に会談して合流問題を話し合い、17日に合流を公式発表する可能性が高い、と共同通信などが報じた。
日本では、自民党や民主党など既成政党に対する不信が高まっており、維新・「国民の生活が第一」・「みどりの風」・太陽など新党結成が相次いでおり、今回の総選挙は15もの政党が出る乱立状態になる見込みだ。