■収益構造が不透明
一度株価が急落し始めると、投資家がこれまで問題にしなかったエンターテインメント企業の不透明な慣行が指摘されるようになった。代表的な例が収益構造の問題だ。
JYPエンターテインメントは歌手Rain(ピ)=本名・チョン・ジフン=が買収したことで株価が急騰したが、ピとの契約条件がJYPの収益につながらない構造であることが判明し問題になった。これに先立ち、ファントム、ディ・チョコレート(上場廃止)なども所属芸能人と不公正な契約を結んでいるとされた。
最近になっても同様だ。SMの子会社、SM C&Cはカン・ホドン、イ・スグン、キム・ビョンマンなど大物芸能人と契約しているが、契約金の金額は明らかになっていない。アナリストがSM C&Cを分析する上で情報には限界がある。
そうした情報不足で投資心理が悪化し、エンターテインメント銘柄が一斉に急落したというのが専門家の見方だ。14日にはYGエンターテインメントが13.9%安、SM C&Cが14.4%安、JYPエンターテインメントが4.6%安となった。
■アナリストの理解不足
エンターテインメント業界関係者にも反論がある。アナリストの大半が東方神起、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)の日本でのドーム公演費用急増を予想できなかった点について、アナリストがエンターテインメント業界の特殊性を理解していないと指摘する。
ドーム公演費用の急増は営業利益が期待に満たない要因となった。業界関係者は「もともとコンサートはカネにならない。アナリストは原価率を細かく分析せず、大雑把に予測したのではないか」と話した。
■株価上昇の反動
エンターテインメント銘柄は年初来株価が急騰していた。景気低迷で企業業績が悪化する中、成長銘柄が見つからない機関投資家がエンターテインメント銘柄の将来性を過度に楽観した結果、業績に比べ株価が上昇し過ぎたとの指摘もある。
■機関投資家が一斉売り
こうした要因から機関投資家はエンターテインメント銘柄に対する持ち株を一斉に売り始めた。機関投資家は14日からの3営業日でSM株を1116億ウォン(約84億円)売り越した。