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【格闘技】

あきべぇ 世界戦へ前進

2012年11月20日 紙面から

◇東洋太平洋ウエルター級タイトルマッチ

5回、シンワンチャー(左)の顔面にパンチをヒットさせる渡部=後楽園ホールで

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 王者の渡部あきのり(27)=協栄=が最強挑戦者のプラウェート・シンワンチャー(35)=タイ=から5回にダウンを奪うなど、壮絶な打撃戦を制し、判定3−0の激勝。世界ランク1位に勝ったことで、世界ランクトップ10入りは確実。未完の大砲あきべぇが、2013年にいよいよ世界に打って出る。

 あきべぇの体は熱くなった。家を出るとき、4歳年上の姉さん女房、通称“リコねえ”が生後5カ月の太尊(タイソン)くんを抱っこして「頑張ってね」と言いながら見送ってくれた。

 「玄関を出たとき、ヤベエと思いました。リコねえの声が震えてたんで。ヨッシャー! と気合が入りました」

 大事な試合。相手はここまで53戦48勝(27KO)3敗2分の成績を誇る百戦錬磨の男。1回級下のスーパーライトではWBC世界1位。ウエルター級では東洋1位。2度の世界挑戦もある。この男を破れば、念願の世界ランク入りが確実になる。果てしなく遠かった世界がかすかに見えてくる。勝ちたかった。

 いつものように肉を切らせて骨を断つファイトスタイル。しかし、KOがトレードマークの男は、どこかクールだった。5回にダウンを奪った。終盤も相手をダウン寸前に追い込んだが、深追いはしなかった。結果として、連続KOは7で途切れた。だが「判定でも勝つことが重要だった。世界王者になることが、中学時代からの夢。ランク入りすれば、やっとスタート地点に立てる」と胸を張った。

 6月に生まれた長男に、伝説のヘビー級王者マイク・タイソンにちなんで太尊と名付けた。「タイソンの父が弱かったら恥ずかしい。自分に気合を入れるつもりで命名した」。これから、タイソンおやじの本当の戦いが始まる。 (竹下陽二)

 ▼渡部あきのり(わたなべ・あきのり) 本名・渡部信宣。1985(昭和60)年7月10日、埼玉県北葛飾郡杉戸町生まれの27歳。175センチ。花咲徳栄高ボクシング部在学中に協栄ジム入門。卒業目前にプロデビュー。2005年全日本ウエルター級新人王。06年、亀田家と行動をともにするようになり、リングネームを牛若丸あきべぇにする。07年6月、協栄に戻り、現在のリングネームに変更、15連続KO勝ちの日本タイ記録を達成。11年4月、東洋太平洋と日本のウエルター級王座を同時に獲得。プロ通算31戦27勝24KO4敗。通称あきべぇ。

 

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