2009年01月19日

1/18岡山・岡山で午前と午後二店!

岡山駅東口近くにある数軒の古本屋。早い時間のせいか、閉まっていたり定休日であったり…。と言うわけで急遽西口へ、地下通路を通り抜けダッシュ!


eiganobouken.jpg●岡山「映画の冒険」
駅西口、北へ延びる西口筋から奉還町商店街へ入る。進めば進むほど寂しく暗くなって行くアーケード。何だかシャッター店が増え始めたところに、輝くように忽然と現れる。ちなみに隣には、ゲーム・コミック・古本が売られている「きゃ楽&SORD」がある(時間がないのでこの日はパス…すみません)。むむむっ、それにしても腕白な店名だ。店頭には映画スターのブロマイドやハガキ・映画ポスター・スチール・フィギュア・ビデオなどが鈴なりになっている。トリュフォーやゴダール映画のブロマイドなんて初めて見るぞ…。店頭に引き続き、中も映画グッズであふれている。しかし!所々に設置されている本棚が見える…古本だな。入口左横には、松田優作とブルース・リーのコーナー。古本・新刊取り混ぜ棚が構成されており、店主おススメの気合棚と見た!大量のパンフやポスターの間を進み、右壁の中ほどにある本棚前へ。映画秘宝・映画芸術・特撮ムックが収まっている。おぉ!隣りには松田優作のLPレコードがこんなにも!奥の壁棚には映画ビデオと共に未整理の「シナリオ」誌。左奥に移動すると、壁棚に映画の古本&新刊。むぅー、何だかいい値段付けてるなぁ〜…さっきチラっと見たパンフもプレミア度全開だったもんなぁ…。おっ!秘宝の昔のムックが結構揃ってる。かと思えば松本俊夫の理論書も。後ろには映画チラシも多数あり。幅広い品揃えに店主の心意気が伝わってくる……しかし心の中に湧き上がるのは、あの水野書店で聞かされたフレーズ『それでも映画は無くならない!』…。などと夢想にふけっているところでタイムリミット。レジ下ガラスケースに並ぶ、怪獣ソフビを眺めながら精算を済ませる。外に出るといつの間にか雨が降り出したようで、アーケードを間断なく叩く水の音が響いてくる…。河出書房新社「文藝別冊 円谷英二」を購入。

そして夕方。40分の空き時間を利用し、岡山大学医学部周辺を攻めた。しかし行けども行けどもお店がみつからなかったり定休日だったり…。いつの間にか四時をまわっている…もうだめか…そうだ!最初に行ったお店が『四時から開店します』って書いてあったはずだ!よし!と踵を返し雨の中を猛ダッシュ…。


nantenso.jpg●岡山「南天荘書店」
駅東口方面にある表町商店街をひたすら南へ。もういいだろう、と言うくらいまで進むとぶつかる、西大寺町商店街の一本手前を左へ…やった!開いてる!明かりが点いている!店頭は閉店時と変わらぬ、ビニールシートに覆われた平台が多数。道路には『古書』と言う文字と、店方向を示す赤矢印が書かれた立看板がひとつ。その矢印に導かれるように、喜び勇んでサッシの引き戸に近付く…そこから見えた光景は、ちょっと入るのに二の足を踏むようなものだった。縦長の店内に複雑に置かれた本棚、その周りを取り囲む本の山…窓にはまだ『四時開店』の貼紙があるが、いいや入ってしまおうと中へ。襲い掛かる古本の匂い…パッと見でも古い本が多いのが分かる…なにせ店内が茶褐色なのだ。通路はかろうじて人ひとりが通れるくらい。その通路にもボトボト本が落ちていたりする。店主の姿は見えず、シンとした店内。壁は一面棚、真ん中には多数の棚が複雑に迷路状に入り組み、大体四つのエリアを作り出している。手前右(入口あり)・手前左(カーテンの掛かった窓あり)・奥右(レジあり)・奥左…とここで奥の通路から老店主が顔を出した。私を見つけるなり「いらっしゃい」と声を掛け、スタスタこちらに近付いて来る。むっ!ここは人のすれ違えない古本けものみち。私は棚のへこみに身体を滑り込ませ、店主をやり過ごした。入口まで来た店主はガラス戸に手を伸ばし、『四時開店』の貼紙をピッとむしり取る。「へへっ、これはがし忘れてるね」と会釈して引き返す。この凄い店の店主とは思えないほどフレンドリーだ。さて、店内の様子だがかなりのカオス状態である。元々のジャンルは本の山に隠れた棚を見れば想像つくのだが、はみ出してしまっている本の量がとにかく多く、むしろこちらがメイン状態になっている。文学。文学評論・美術・社会・政治・思想・歴史・風俗・文化・雑誌・新書・文庫・洋書・各種学術本…古い本・戦前の本・仙花紙本も多数含まれている。そして店内の主要通路である『古本けものみち』が、意外にしっかりと整備されているので、どの棚にも一応たどり着けるようになっている。この構造にはちょっと感銘を受ける。何故なら大抵はここまで本が増えると、奥の通路をつぶして倉庫状態にしてしまうからだ。ただし通路の向かう先はすべて行き止まり。引き返す時は本の山を崩さぬよう慎重を要する。途中「入ります」と声を掛け、礼儀正しく入店して来た中年男性。棚を眺めながら、突然背文字を読み上げ始めた!そして一冊につき短いコメントを発していく。「資本論か…書いたのはマルクスだな」…静かな店内に緊張が走る!…しかし「よし、これを下さい」とこれまた元気に礼儀正しく本を買い上げ、風のように去って行った。…全部の棚を見ないと気が済まない私より、よっぽどマトモかもしれない…。本はかなりお安め。だが店内の全貌を明らかにするには、もはや学術調査並みの綿密な発掘&分類が必要と思われる。勇気と体力と時間のある方は是非!構想社「高橋和巳の思い出/高橋たか子」を購入。

と言うようなわけで何とかカタチになった岡山ツアー。危うくシャッター祭の二の舞になるところだった…。そのシャッターを閉ざしていたお店たちは、どれもよさげな雰囲気が漂っていた。次の機会は日曜以外に来岡したいものです。

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この記事へのコメント
映画の冒険さんは、地元の映画好きが集まるお店で有名ですね。チラシやパンフもポスターも水野さんと並んで、全国のブルース・リー・マニアや優作マニアの間では、知られてました。

昔、よく映画雑誌の広告でもお見かけしましたが、雑誌自体はなくなっても、映画マニアはいなくならないんですよね。

ビデオやDVDの時代になっても、お互いに語りたいことがあるんでしょうね。

ところで、20日、私も2時〜3時、神保町を歩いてました。ブログ主さんと時間帯が同じだったら、すれちがってたかもしれませんね。
Posted by 古本道 at 2009年01月21日 21:06
ブログ主さん、すみません、表記ミスです。

×映画マニアはいなくならないんですよね。
○映画マニアはいなくなることはないんですよね。
Posted by 古本道 at 2009年01月21日 21:32
し、知りませんでした。二店ともそんな有名店だったとは…。確かに二店とも宝の山です。昔はちらしを集めてたことなど思い出しながらも、買うのはやっぱり古本でした。そして20日のまさに二時過ぎに、神保町におりました。古本屋に通う限り、またどこかでニアミスすることでしょう!
Posted by tokusan at 2009年01月22日 00:02
 
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