「やり直し」といきなり聞き慣れない言葉で、相撲ファンなら一番楽しみにしていた日馬富士と豪栄道の一戦が、あっという間に見られないものになってしまった。途中で行司が割って入って勝負を止めたものだから、見慣れた取り直しなのかと考えたが、どうも審判陣営の間違いであったらしい。
かなり時間をかけてからこの前後のことを客に説明してくれたのだが、土俵上のことは、客にはなかなか分からないものだ。
こういったものを見聞きするたびに、なぜもっとビデオを多用しないのだろうと私は考える。ビデオは昔と違って随分利用しやすくなったし、使用によって潜在的な不満の中に取り残されたままのさまざまなものを解消してくれるだろう。
そのへんのことを親切にすくい取ってやらないと、相撲を止められた両力士も客も納得いかないままで取り残されることになるだろう。
この2人の勝敗は、直接優勝にも響くものだし、2人の勝敗が大相撲の命運を左右するものに近いと思えば思うほど、こういう力士の将来を大事にしてやりたい。そう思うのは私だけだろうか。 (作家)
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