新潟 ヨウ素剤を住民みずから配布11月18日 18時53分
東京電力柏崎刈羽原子力発電所に隣接する新潟県長岡市の住民の代表が、原発事故が起きた際に甲状腺の被ばくを防ぐヨウ素剤を、希望する住民に独自に配り始めました。
去年3月の原発事故を受けた国の対策が遅れており、みずから安全を守ろうというのが理由ですが、ヨウ素剤には副作用があり、専門家は「国は住民の安心できる対策を早急に示す必要がある」と指摘しています。
18日は柏崎刈羽原発からおよそ13キロ離れた長岡市青葉台3丁目の町内会で、ヨウ素剤が希望する33人に配られました。
ヨウ素剤は原発事故が起きた際、甲状腺の被ばくを防ぐもので、国などの指示を受けて服用しますが、去年3月の福島第一原発の事故直後には、国から指示がすぐに出されず、住民に配布されないなどの課題を残しました。
こうしたことを受けて、町内会の役員が「国や自治体の判断を待っていては間に合わない」などとしたうえで、副作用についても説明し、「みずからの判断と責任で服用してほしい」と呼びかけました。
ヨウ素剤を巡っては、国の原子力規制委員会が、配布する範囲や服用などの具体的な基準の検討を先週から始めたばかりで、事故から1年8か月がたった今も対策は遅れています。
ヨウ素剤を受け取った住民は、「子どもの被ばくを避けるために必要だと思うが、どのようなときに飲めばいいのか、国には早く基準を示してもらいたい」と話していました。
これについて緊急被ばく医療の国の検討チームの鈴木元医師は、ヨウ素剤を持つことは、「安心材料」になると一定の理解を示す一方で、「プラス面だけでなくマイナスの面もある。そのあたりを十分理解していないと極めて危険で、国や自治体は住民が安心できる対策を早急に示す必要がある」と指摘しています。
[関連リンク] |
|