イスラエル、人口密集地も空爆―ガザの民間人死者が増加
ウォール・ストリート・ジャーナル 11月20日(火)10時44分配信
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの指導者は19日、イスラエルへのロケット弾攻撃の停止を拒否した。一方のイスラエルはハマスの施設を標的にした空爆を拡大し、6日間にわたるイスラエルの攻撃による死者数は100人を超えた。
双方の当局者は、戦闘をエスカレートさせる構えを強調している。ただ、双方とも停戦に同意する可能性はあるとして、最終的な外交的解決への期待を高めている。しかし、攻撃停止への見返りに関する双方の隔たりは依然大きい。
ハマスの指導者メシャル氏はカイロで、ハマスはまずイスラエル軍が空爆をやめて、ハマス封じ込めを目的にガザの経済を窒息させようとして続けてきた同地域への厳しい封鎖を解くことがロケット弾攻撃の停止の条件になる、と述べた。同氏はまた、イスラエルがガザの標的攻撃を停止するだけでなく、将来にわたっても攻撃しないと約束するよう要求した。その上で、これらの要求が受け入れられなければ、ハマスは攻撃を拡大する用意があると強調した。
イスラエルのネタニヤフ首相は18日、ハマスが全てのロケット弾攻撃をやめなければ、イスラエルもハマスの標的への攻撃を強化し、ガザに地上軍を進攻させる用意があると述べていた。ただ、同国の当局者は、ガザからのロケット弾攻撃が全て停止され、ハマスやその他の武装勢力がその後攻撃を再開しないとの保証があれば、外交的解決に応じるとしている。
双方の代表はエジプト当局者と会い、交渉とは言えないとしても、間接的な対話で、双方が停戦に近づけるような方法をみいだそうとしている。
外交面での行き詰まり状態が続く中で、パレスチナ市民の犠牲者数が100人を超えたことから、解決が緊急の課題となっている。イスラエル側の死者は3人で、全て民間人だ。
パレスチナのマアン通信によると、19日のイスラエル軍による空爆では22人が死亡、このうち2人は子供、4人は女性だった。この日の死亡者の1人は、アル・シャルーク・メディアビルがミサイル攻撃された際の犠牲者だった。このビルにはハマスのほか、イランと緊密な関係があり、シリアに本拠を置く強硬派の武装組織イスラム聖戦機構(PIJ)と関係する衛星テレビ局が入っている。アナリストは、イスラエルへのロケット弾攻撃を続けているのは、ハマスと強力に結び付いているこのPIJの存在が大きいとみている。
同ビルが攻撃されたのはこの6日間で4回目で、この間の死亡者にはPIJ傘下の武装組織のプロパガンダ指導者ラミス・ハーブ氏が含まれている。ネタニヤフ首相の報道官オフィル・ゲンデルマン氏はツイッターで、「PIJのテロリストらはガザのメディアビルに隠れ、そこにいるジャーナリストを人間の盾にしている」と述べた。イスラエル軍は、ビル攻撃時に、その他に3人のPIJ関係者がいたことを特定している。ただ、この3人を殺害したかどうかは不明だ。
最終更新:11月20日(火)10時44分
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