あらゆる政策手段を導入し名目3%成長を目指す=自民党

2012年 11月 16日 16:12 JST
 
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[東京 16日 ロイター] 自民党は16日、日本経済再生本部(本部長:安倍晋三総裁)を開き、マニフェスト(政権公約)のたたき台となる日本経済再生に向けた「中間とりまとめ(骨子案)」を議論した。

1日も早いデフレ・円高からの脱却に最優先で取り組む方針を明記し、金融政策については2%の物価目標を設定し、「目標達成に向け、日銀法の改正も含め政府・日銀の連携強化の仕組みを作る」と、より強力な金融緩和を求めている。また、政府・日銀と民間出資による「官民協調外債ファンド」を創設し、基金による外債購入などの方策を検討するとし、外債購入による円高是正も検討課題として盛り込んだ。

会合での意見を踏まえ、今週末には最終案をまとめ、近く決定するマニフェスト(政権公約)の経済政策部分に反映させる。自民党幹部によると、マニフェストは21日にも決定される予定。

骨子案では「日本経済再生本部」を内閣の新しい司令塔とし、民主党の「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」への転換を図ることを基本方針に据え、「成長戦略の立案・実施、金融緩和、規制改革、有効需要の創出など、あらゆる政策手段を導入して、名目3%以上の経済成長を目指す」方針を明確にした。

経済財政運営に関しては、「欧州債務問題深刻化、新興国の景気減速、消費税引き上げに伴う需要不足等のマイナス要因、リスクに備え、弾力的かつ十分な政策対応を行っていく」とし、「今後2─3年は当面の景気の落ち込みと今後のリスクに対応できる、より弾力的な経済財政運営を準備する」と機動性を強調。衆院選後の新政権発足後、「速やかなに補正予算を編成し、新年度予算と合わせ切れ目ない経済対策を実行する」とした。補正予算については茂木敏充事務総長は、「相当な規模になる」と語った。

また、「海外リスク、エネルギー危機、自然災害等へのリスク対応力を強化するため、全国レベルで生活インフラ、ライフライン等の見直しを行うと同時に、危機タイプ別の緊急時対応計画を策定する」方針を盛り込んだ。

また、成長戦略の推進と「ニッポン産業再興プラン」の実行を掲げ、世界で勝ち抜く製造業の復活と付加価値(所得)の高いサービス産業の創出を目指す。具体的には、「産業競争力強化法(仮称)」の制定による先端設備投資の促進や戦略的な長期資金に対する政策金融の強化(融資から出資へ)を挙げた。また、企業の海外流出防止策として「立地競争力復活」プランを掲げ、電力・エネルギー制約の克服や法人税の20%台への引き下げを明記した。

さらに、成長するアジア経済圏の活力を取り込むため、日本企業の活動を「金融、情報、制度前などで支援」する。また、「アジア圏内の通貨・金融面での連携強化」を図るほか、戦略的な海外投資と経済連携協定、国際資源戦略に取り組む方針を明記した。

(ロイターニュース 吉川 裕子;編集 山川薫)

*内容を追加して再送します。

 
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