盲導犬アトム号捜索日誌No.006 / 「お疲れ様」の一言のために
福岡県久留米市街から国道210号線を日田方面に7キロ程向かえば「柳坂曽根のハゼ並木」がある。その景観は、新・日本街路樹100景にも選ばれている。11月18日現在、全体的に紅葉していて見頃だという。私は、昨年も一昨年も盲導犬候補生と共に出掛けて約200本のハゼの木の下を1キロ歩いた。しかし、今年は紅く染まったハゼ並木を歩くことはないだろう。なぜなら、心は長崎にあるからだ。
11月18日、私ら夫婦は一路長崎市を目指した。所々色づいた山々を横目に鳥栖と長崎を結ぶ長崎自動車道を車を飛ばす。体長1メートル、体重34キロの大型のラブラドール。現役のオスの盲導犬。彼が長崎市のユーザ宅から連れ去られたのは今年の1月23日の夜のこと。既に10ヶ月が経過した。春が来て、夏も終わり、秋が深まって初冬の季節を迎えた。私は、この間に雲仙市を皮切りに、大村市、島原市、そして長崎市諏訪町とチラシを配布し聞き込みを続けてきた。その盲導犬アトム号を捜す旅も今回で6回目となる。
我が家を出発してから2時間半。長崎市N町に着いた。駅前の駐車場に車を停め、チラシ200枚とアトム新聞第2号100枚を持って下車。そこで目に飛び込んできたのが公園祭りの横断幕。迷わずに祭り会場を目指した。M・シュナウザー、ゴールデン・レトリーバーの飼い主の方を見つけて話しを聞いて頂いた。祭り会場を後にして駅前の住宅地回り。ペットショップに飛び込んで事情をお話した。チラシを店頭に貼り出してもらった。
>長崎新聞にチラシが入っていたよ!
>早く見つかるといいね。
>頑張って下さい。
どうやら、九州盲導犬協会が11月17日の朝刊にアトム探索のチラシを折り込んでいたらしい。住民の多くの方がチラシを目にしていた。グッドタイミングなN町入りであった。
>私もチラシとアトム新聞第を貼り出してもらいます。
>是非、お願いします。
N町で出会った若い女性にチラシと新聞を託することもできた。同町にはラブラドール・レトリーバーが多いようだ。公園の近くには、黄ラブと黒ラブがいた。彼女によれば、駅の裏手の住宅地には「もっといる」という。が、そこまで足を伸ばすには時間が足りなかった。後ろ髪を引かれつつN町を後にした。
>アトム、お疲れ様!
私が訓練士ならば、盲導犬アトム号に一目会いたい。そうして、「頑張っていたんだね!お疲れ様!」と言ってやりたい。「お疲れ様」の一言。私は、その一言のためにアトム号を捜していると言っても過言ではない。「諦めなければ願いは叶う」と言う。ささやかな私の願い。それが叶う日がいつかは来る。そう信じて我が家を目指してハンドルを握っていた。助手席から聞こえてくる寝息を耳にしつつ・・・。
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http://www11.ocn.ne.jp/~husky/index.htm
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