お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

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Help!! 緊急提言3 子どもを汚染地帯に行かせてはいけない (10/21)



福島の子どもたちの甲状腺異常の状態。


1)通常の小児の甲状腺異常(結節など)は100人に1人程度。多くても3人。


2)福島の子どもたちの100人に約40人に異常が発見され、特に小学生の女児は100人に55人に及んだ。


3)甲状腺異常がガンになるのは大人で100人に数人だが、子どもは20人から30人(小児科専門医からの情報による)。


4)放射線の被曝による損害は5年(大人、子どものデータは不足しているが3年ぐらい)の余裕がある。


5)従って、被曝による影響は「重大あるいは取り返しのつかない損害」が発生する可能性がある。



日本が国際的に約束している「予防原則」。


予防原則:  原則15:環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。」(RIO DE JANEIRO DECLARATION 1992)



・・・・・・・・・



2011年の原発爆発以来、次のようなことがありました。


1)事故直後から、教育委員会、校長先生に「子どもたちの汚染を減らすように全力を挙げて欲しい」と何回も呼び掛けましたが、当時、1日に50万件を超えるアクセスがあったにも関わらず、普通の先生以外は反応無し、


2)1年5ミリシーベルト(セシウムだけ)の給食が始まったとき、これが1年17ミリ以上になるので受け入れないように呼び掛けたが、反応無し、


3)給食責任者から「汚染された食材を拒否する親がいて困る」という相談があり、「汚染された食材を拒否する方が、食品提供者と考えが合うはずだ」と答えるようなことまであった、


4)一関などが汚染されたので、子どもが被曝したり、汚染された食材を食べないように注意を喚起したら、市長や議会から抗議を受け、メディアからも「なんで一関の名前を出すのだ」と一斉に攻撃を受けた(一関ではその後、汚染牛、汚染食材、高線量率を出した)、


5)1年20ミリという福島の被曝量は、1年に胸のレントゲン400回に相当すると警告したが、教育関係者は「お上が言うのだから」と自らの判断を避けた、



6中国地方の中学校と記憶しているが、修学旅行に日光に行くということで心配した親から連絡があり、「大人でも行かないのだから」と校長先生にメールを差し上げたら、「昨年も行ったから」という回答があった、


7)東京の学校が日光に次々と行くので、何回か控えるようにお願いしたが、生徒の全体の被曝量を計算せずに、日光に行ったときだけを計算していた、


8)親が心配しているので、行事の参加をいやがる子どもを「そんな人間は日本人ではない」という先生が多かった、


9)先日、汚染地帯に行くのをいやがった子どもに対して、次のようなことをした先生がおられることをメールにあった(かなりの数があった)
「子供は学校で校長先生や他の先生に囲まれて参加しないと残念な気持ちになる とか日光でも生活をしている人がいるのにその人たちの心を考えた事があるか など 泣くまで延々と説き伏せる行為に及びましたこのような状態の中で学校が子どもたちを汚染地帯に連れて行くのが跡を絶ちません。」



・・・これが被爆した国日本、そして文明国でしょうか・・・


大人の理由は、

1)子どもたちを被曝させても声が小さい、


2)親の内、心配している親は少ないので、親同士のイジメで解決できる、


3)子どもたちがどのぐらいの被曝をしているかは計算しない。これまで被曝していないとすると、汚染地帯に連れて行っても問題は無い、


4)日本人を被曝から守る法律はないと主張する、


5)国は子どもたちを被曝させても問題は無いと言っている、


6)これまでのつきあい、リベートなどがある、


7)汚染地帯の人の生活が大切で、子どもの健康を犠牲にしても良い。



特に原発事故の後、日光などの汚染観光地へ子どもを連れて行くことが多いのですが、大人の観光客は激減しているところに、「大丈夫だ」と言い、保護者同士で監視をさせて強引に行事を実施しています。



校長先生!! あなたの人生は教育だったのです。是非、教育者の本来の姿を取り戻し、子どもたちを汚染地帯に連れて行かないようにしてください。将来に対して先生は法令を超える責任を持てますか?


(平成24年10月21日)




--------ここから音声内容--------




私も色々あの…原発事故から一所懸命やってきたと言えばやってきたんですが、しかし人間は一所懸命やっただけではだめで、やっぱりやっただけの成果が上がって来なければダメなんですね。まぁそういう意味では、今回の福島の子どもたちの甲状腺異常が出たという事はですね、大変に私としても反省材料であって、まぁショックでもあり、この緊急提言に至った訳ですね。ですから私が何かこれを繰り返してるのはですね、私達はこれが現実なので、「現実をとにかく逃げない」という事をですね、まぁ大切だと思いますね。




この「Help!!」というのを先に付けたのも、これ実はチャレンジャー号が墜落した前にですね、ブースターに欠点があり、それを指摘した技術者がですね、「Help!!」という題のついた手紙を経営者に送ります。「事実から目を逸らさないで下さい」という意味だった訳でね。しかし経営者はその事実から目を離し、それによってチャレンジャー号は墜落したと、こういう事が技術の歴史の中では非常に大きな事件であった訳ですね。





福島の子どもたちの甲状腺異常は通常の小児が100人に1人から3人なのに対し、福島の子どもたちは100人に40人に上ります。また、特に小学生の女児は100人のうち55人に及ぶというようなですね、事になったという事ですね。それから甲状腺ガンに発展するのはですね、まぁ今後なんですが、今までの事実ですと、大人では少ないんですが、子供は(異常のある人数から見て)4分の1くらいになるという。しかしまだ少し余裕があるので、我々は予防原則を適用してですね、「重大あるいは取り返しのつかない損害が起こる時には、十分な科学的確実性が無いという理由で対策をサボってはいけない」という事を厳しく考えたい、というのがこのシリーズであります。





今度は子供にもう少し特化しまして、2011年の原発爆発以来ですね、私の身の回りには次のような事がありました。事故直後から私は教育委員会・校長先生にですね、子どもたちからの汚染を減らすように、被曝を減らすようにと、全力を上げて下さいと何回も呼びかけました。当時一日に50万件を超えるアクセスがあった訳ですから、教育関係者もご覧になったと思うんですが。ご返事が来たのは普通の先生だけで、校長先生とか教育委員会の方からは一切レスポンスはありませんでした。






まぁそれも仕方がないと思っておりましたが、もう一個は1年5ミリシーベルト…セシウムだけの給食が始まった時に、相当一所懸命やったんですが、これはセシウムだけでは1年5ミリなんですけれども、その他の食材入れますと…元素を入れますと1年17ミリになります。反応はありませんでした。





ある時に給食責任者からですね、汚染された食材を拒否する親がいて困る、という相談がありまして、まぁやはりですね、この給食担当者は比較的誠意のある人で、悩んでいはいたんですけれども。汚染された食材を拒否する親の方が適当であって、このような食品提供者と考えが合う訳なんですよ、本当はですね。ただその給食担当者は、「給食を出す」という事だけに熱中しておりまして、それが汚染された食材であっても良い、という考えでしたね。これは農薬…危険な農薬が、規制にいけない農薬が入っていたら私は絶対出せないと思うんですが、放射線の汚染なもんですから…放射性物質の汚染なもんですから、このような変な事がありました。





一関の問題は、大きくマスコミにも取り上げられましたが、私は一関が汚染されたので、子供がそれによって被曝したり、汚染された食材を食べないように注意を喚起しようと思いましたら、一関市長とか議会から激しい抗議を受けます。メディアもですね、「何で一関の名前を出すんだ」っていう調子でしたが、しかしですね、その後一関は汚染牛が出て、汚染食材が出て、高線量率の場所が出てきました。






やっぱり私はですね、その町が爆撃されそうだという時に、B29が…爆撃機ですよ、そっちに行ったっていう情報は何でいけないんでしょうかね?それは別に一関の責任じゃありませんから。まぁ今でもこの謎は解けませんし、一関市長に再考を促しておりますが、返事は頂けません。一関市長は私の発言の翌日にすぐ来ましたから、やっぱり誠意を見せて欲しいと思いますね。





それから1年20ミリという福島の小学生の被曝量は、1年に胸のレントゲン400回に当たるという警告をしましたが、これに対して、教育関係者は「お上が言うんだから別にいいじゃないか」というような態度に終始しました。また少し離れまして、中国地方の中学校と記憶しておりますが、修学旅行に日光に行くっていうんで心配した親から私の方にメールで連絡があって、私が校長先生にすぐですね、「大人でも日光を控えてんだから、お子さんを連れて行くのは問題である」とお話しましたら、その校長先生から「去年も行ったから今年も行くんだ」いう回答がありました。





例えばですね、去年はインフルエンザが流行っていない、今年は流行っている、というところに本当に連れて行くでしょうか?それからその後、東京の学校は次々と日光に行くんで、何回か控えるように学校の方にメールを致しましたが、いずれも生徒が日頃から受けている全体の被曝量を計算せずに、日光に3日行くんだからこのくらいだ、という計算をされております。これについてはですね、後にこれはダメだという事を明らかにしますが。





食品でもそうですね、食品規制というのは一年中食べても安全なようになっている訳で、一回だけ、一年に一回食べたら安全だという量を計算している訳ではありません。被曝量もそうですね。それから非常に問題あったのは、親が心配してるので行事の参加を嫌がる子供たちに対して、「そんな人間は日本人じゃない」というような事で、生徒をバッシングするという先生が多く出た事ですね。






先日、汚染地帯に行くのを嫌がった子供ですね、これは子供自体には判断力無いんですけど、やっぱ親がですね、心配してる事は子供分かりますしね、そういう事聞きますから、先生に。そしたらですね、これは複数あったんですけど、その中の一つだけをご紹介しますが、子供は学校で校長先生や他の先生に囲まれて、「参加しないと残念な気持ちになる」とか「日光でも生活している人がいるんだから、その人たちの心を考えた事があるか?」など、その生徒が泣くまで延々と説き伏せる行為をすると。そして汚染地帯に連れていくという、こういう事が後を立たない訳ですね。





この話を聞いてですね、信じられない気持ちになる日本人が多いんじゃないかと思うんですよ。まさか学校の先生が、汚染地帯に行く、その汚染地帯は例えば法律に違反している所もあるんですね。それに行くのも嫌がっている子供に対して、取り囲んで泣くまで責めるという事を教育者がやるのか?なぜやったのか?自分たちの出世だから、という訳でしょ。どういう事でしょうかね?





ま、それは子どもたちは被曝させても声が小さいんだと。親の中で、50人の親の中で心配してる親が5人ぐらいの時にはですね、親同士のイジメで解決させるんですよ。「あの親は変だ」というイジメで解決させますね。それから先程も言いましたように、子どもたちが日頃からどのくらい被曝しているかは計算しない。




それから日本人は被曝から守る法律は無いと主張するんですね。(法律が存在することは本当は)知ってますけどね。それから、国が子どもたちを被曝させても問題無いと言っているからと。これまでの付き合いがあってリベートなんかもあるんでしょうね?私分かりませんけどね。修学旅行とかそういうのは結構リベートががあると聞いておりますが。それが先生方の小遣いになってるのか?という気もしますが。いやまぁそれにしても、もう口に出したく無いような感じですね。






もう一つは「農家が可哀想」とか、「日光の旅館はどうするんだ?」とか。そりゃそうですよ、日光の旅館、日光の人は本当に困りますよ。そりゃもう分かります。だから子供に被曝させて良いという訳では無いんです。これは物事が違いますね、次元が。日光の旅館が困っているのは、東電からの補償で済ませなきゃいけない問題ですよ。子どもたちを被曝させてお金をもらう、っていうのはお金の正しいもらい方じゃありません。僕が言ったように、交通事故を起こした人が、それで運転ができなくなったから、もう一回交通事故を起こすって、そういうのダメなんですよ、そういう奴は。




えーっとまぁそういう事で、日光はですね、残念ながら汚染し、大人の観光客は激減した訳です。外国人はほとんど行かないという状態ですね。大丈夫だと言ったらダメなんですよ。そこが線量率がどのくらいか?という事ですね。これを保護者同士で監視し、イジメをさせるという。





校長先生にお願いしたい!あなたも出世もあるでしょう、家族もあるでしょうけれども、やっぱりあなたの人生は教育だったと思うんですね。だからぜひ教育者としての本来の姿を取り戻して、子どもたちを汚染地帯に連れて行かないようにして欲しいと思いますね。





それから、やっぱり先生はですね、将来子どもたちが万が一にもこの…甲状腺ガンになる…今から甲状腺ガンという事は無いと思いますが、色んな疾病が起こって、どうして法令に定められているのにそれを破っても責任を取れるんでしょうか?善良な国民ならですね、やっぱり、被曝はできるだけさせない、という事。特に子どもたちは声が小さいですから。農協は声を出す、色んな所…旅館も声を出す。しかし子供は声を出せない。しかし子供はだからこそ親が守ってあげなきゃいけないと思いますね。





私は校長先生に、もう何回も呼びかけましたが、まぁ教育委員会はもうだめだった、仕方がありません。せめて校長先生と現場の先生が体を張って、子どもたちを汚染地帯に行かせないようにして欲しいと。一刻も早くそうして欲しい。





それから、線量率の高い学校はですね、ぜひ学校ごと遠い所に疎開させるように、これもですね、先生方が決意をして頂きたい、と思います。一番最初に言った子供の甲状腺ガンの数とか、これが将来甲状腺ガンに進む可能性というのはですね、これは事実として、科学的事実として目を背けないで欲しい、と私は強く希望を致します。


(文字起こし by たくまー)

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