お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

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Help!! 緊急提言1 国と専門家の大転換を求める (10/18)



この緊急提言を行うきっかけは福島の子どもたちの甲状腺異常です。次の事実を踏まえて提言をします。でも、この提言の内容は2010年までは日本の常識であり、むしろマスコミ、知識人などが主張していた事でもあります。また、Helpと冒頭につけたのは、被曝が進んでいる子どもたちの声を代わりに言いました。子どもたちは教育委員会、自治体、農家と違って声が小さく、被害だけを受けています。



1)通常の小児の甲状腺異常(結節など)は100人に1人程度。多くても3人。

2)福島の子どもたちの100人に約40人に異常が発見され、特に小学生の女児は55人に及んだ。

3)甲状腺異常がガンになるのは大人で100人に数人だが、子どもは20人から30人(小児科専門医からの情報による)。

4)放射線の被曝による損害は5年(大人、子どものデータは不足しているが3年ぐらい)の余裕がある。

5)従って、被曝による影響は「重大あるいは取り返しのつかない損害」が発生する可能性がある。

これを踏まえて、


まず第一に、日本が国際的に約束している「予防原則」に立脚すること、


予防原則:  原則15:環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。」(RIO DE JANEIRO DECLARATION 1992)



この予防原則は日本も参加した国際宣言であり、環境を大切にすると言ってきた日本がこれを破ることはできない。すでに事実の一部が福島で明らかになっている。



また、チェルノブイリの事故の前後で、ベラルーシとウクライナの人口が急減している。人口減少の主たる原因が死亡率の増加と出生率の低下であることが明からで、チェルノブイリの事故との因果関係について「科学的確実性」をもっていないが、福島、関東、東北の人口が急減する可能性が高い。



これだけの証拠があって、「科学的確実性」を求めて対策を遅らすことは不適切である。



政治、専門家は一日でも早く、予防原則に戻り、国民に対する誠意を取り戻さなければならない。それができなければ政府、自治体の責任ある立場の人は退陣し、かつ起こったことのすべてに私財を投じて弁済しなければならない。


(平成24年10月18日)




--------ここから音声内容--------



この提言がですね、国とか専門家の人に届くか届かないかは別にして、ま、届かなきゃいけませんが、絶対に緊急提言を行わなければならない事になりました。しかしここでいう提言の内容はですね、2010年までであれば、日本の普通の常識であり、むしろマスコミとか知識人が率先して主張した事でもあります。




また、この題名の上に「HELP!!」と付けたのは、こういう歴史的な提言があったからなんですが、被曝が進んでいる子どもたちの声が届かない訳ですね。子どもたちというのは教育委員会とか自治体とか農家などと違って声が小さいので、今度の福島原発で被害だけを受けるという立場にあります。この子どもたちが今は「HELP!!」と言っているだろう、という事でこの冒頭に「HELP!!」というのを付けました。





まず事実を整理しますと、通常の小児の甲状腺異常(結節、嚢胞など)は100人に一人程度であり、多くても3人である、という事ですね。それから福島の子供たちの検診でですね、100人に約40人に異常が発見され…甲状腺ですね、特に小学生の女児の場合には55人に及んでいる、という事実があります。





で、こういったものから甲状腺ガンになるのはですね、大人では100人に数人、まぁそれでも多いんですけれども、子供の場合、小児科の専門医の方にお聞きすますと(100人に)20人から30人だろうと、いう風にお答えになりました。これから見ますとですね、福島ではですね、甲状腺の異常が100人に40人、それから発展するのが25人としますとですね、だいたい100人中に10人、実に10人に1人がですね、甲状腺のガンになる可能性があるという段階になった訳ですね。これは頭で考えたり、過去のチェルノブイリとか広島・長崎の事を議論するんではなくて、事実我々の目の前に、福島の被曝としての今後の可能性として出てきた、という事ですね。





まぁもう一方良い方ではですね、放射線による被曝による損害は取り返しがつかないかっていうと、もし対策を取ればですね、5年とか3年の余裕がある、という風に考えられている事ですね。つまり5年で平均5ミリとか、そういうような規定が今までもありました。この規定はもちろん学問的裏付けがある規定でありますので、それに賭けると言う事ができると、つまりこれから減らすという事が大切だろうと。





で、被曝による影響がですね、重大あるいは取り返しのつかない損害になる可能性が出てきた訳ですね。まずですね、ここで予防原則、このブログでしょっちゅう指摘しておりますが、日本が国際的に約束をしている予防原則はですね、「環境を防御するために各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを以って、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。」という事ですね。





つまり、こういった事態が起こった時に「まだ科学的に確かじゃ無いじゃないか」と言ってはいけない、と言ってる訳ですね。この予防原則は日本も参加しているという事です。これまで環境を大切にしてきた日本がですね、自分でこれを破ると言う事は非常に問題が大きいという風に思います。繰り返して言いますけれども、これはもう福島でですね、重大あるいは取り返しのつかない損害が起こる可能性が、事実の一部として上がっているという事ですね。





それからもう一つは、チェルノブイリの事故の前後で、ベラルーシとウクライナの人口が急減している、という事ですね。この事もつまり、重大または取り返しのつかない損害が起こる可能性がある、という事を言っている訳です。で、私はですね、「科学的確実性が無い」と言ってる人が居ますね。「現在の被曝では被害が出るかどうか科学的確実性が無い」。しかしですね、健康診断の結果は科学的確実性では無くて、事実そのものであります。従ってですね、ここまで事実が出ても、まだ科学的確実性を求めるというのはですね、極めて異常な事である、という事が言えます。





従って、私はここでですね、今まで事故以来1年半、政治家、自治体、専門家がですね、「大したこと無い、大したこと無い」と言ってきましたが、私は一日でも早く予防原則に戻ってですね、お子様はまだ一年半しか被曝しておりませんので、もし三年以内に戻すという事ができればですね、お子さんの健康を回復してですね、甲状腺異常のお子さんがですね、その病気の進展を逆転させて、健康体に戻る可能性があります。





私は一刻も早く、福島の子どもたち、及び被災地の子どもたちがですね、これ以上の被曝をしないように、遠く北海道とか九州に疎開をしですね、そこで放射線の被曝を受けない生活に一刻も早く戻すべきだ、という風に思います。もしこういう事が出来なければ、つまりもう時間は刻一刻と過ぎておりまして、一年半を経過致しました。あともし三年とすれば、一年半の余裕がありますので、この一年半以内に、もしも被曝が食い止められればですね、子どもたちの重大あるいは取り返しのつかない損害を起こさずに済む事があります。これこそ予防原則でありますので、どうしてもやってもらいたいと思います。





万が一、脅すような事になりますが、もしも甲状腺ガンがこの予防原則を破って…私達が自分たちで宣言した予防原則を破って、子どもたちを疎開させない、という事になると、この責任はですね、サボタージュ(破壊活動)した政府・自治体始め、「重大あるいは取り返しのつかない損害は起らない」とした人が私財をなげうって救済に努めなければならないと思います。しかし、それは後ろ向きな事であります。前向きにはですね、とにかく今の段階で子どもたちを疎開させ、甲状腺異常の人たちの子どもたちがガンに進まないように、全力を尽くすのがですね、日本の大人の役割だと思います。






これはですね、緊急提言をこのあとにですね、さらに食材とか、子供を相変わらず被曝地に連れて行くとか、福島で子どもたちの参加する行事をやるとか、もうとにかくこの実際に目の前で起こっている甲状腺の異常というものについてですね、目を塞ぐという行動を取っておりますので、それについても提言をしていきたいと思っておりますが、とりあえずとにかく子どもたちを疎開させる、そして重大あるいは取り返しのつかない損害が起らないように万全を尽くす、これはもう我々日本人の大人の最も大切な事だと思います。

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* 結節(Wikipediaより)

結節(けっせつ、nodule)とは直径1cm以上の充実性の隆起。発疹の分類の一つ。丘疹より深く真皮あるいは皮下組織に及ぶ。炎症性細胞、腫瘍細胞の浸潤、代謝産物の蓄積により形成される。


* 嚢胞(Wikipediaより)

嚢胞(のうほう)とは、軟組織内に病的に形成された液状成分を持ち、液状成分周囲を固有の単層上皮に覆われている球状の嚢状物を指す。内容物が固体の場合は嚢腫と言う。


大部分において害は無く放置しても大丈夫とされるが、面積が大きなものや周囲の臓器との癒着を伴うもの等は手術による摘出を必要とする。また、極稀に癌に変化するものもあるとされる。類皮嚢胞・ 歯周嚢胞・歯根嚢胞・鰓嚢胞、正中頸嚢胞、側頸嚢胞、くも膜嚢胞などがある。

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(文字起こし by たくまー)




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