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流通優位を象徴するセブンプレミアムビール

東洋経済オンライン 11月19日(月)21時55分配信

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流通優位を象徴するセブンプレミアムビール
流通優位を象徴するセブンプレミアムビール

 大手小売り企業が企画して独自のブランド名で展開する商品群であるプライベートブランド(PB)。小売り企業と製造を委託されるメーカーが直接取引することで、商品流通のコストや広告宣伝費などを抑え、安価な価格で商品を提供できるのが特徴だ。

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 PBの分野で近年、台頭が目立つのが、「セブン-イレブン」「イトーヨーカ堂」の店頭に並ぶ「セブンプレミアム」である。お手ごろな価格ながら一定以上の品質を持った製品をとりそろえ、人気を博している。前期4200億円を売り上げたセブンプレミアム商品は、今期には4900億円を超える勢いで、「セブン−イレブン・ジャパンにおける貢献度は非常に高くなっている」(セブン&アイの村田紀敏社長)。

 そのセブンプレミアムが歴史的な一歩を刻んだ。

 セブン&アイとサッポロビールは11月19日、サッポロが製造するビールを「セブンプレミアム」の商品として、11月27日から販売すると発表した。商品名は「セブンプレミアム 100%MALT」。国内大手ビールメーカーがPBビールはこれが初めてとなる。

■ アサヒ「スーパードライ」を意識

 販売目標は1年間で2600万本(350ml缶換算)。国内ビールのトップブランドである「(アサヒビールの)スーパードライに次ぐブランド商品として育て、いずれはトップを狙う」(セブン-イレブン・ジャパンの鎌田靖常務)と息巻くほどの大型商品だ。

 価格は350ml缶で198円、500ml缶で258円。サッポロ「黒ラベル」に比べ1割程度安い。サッポロのビールの中で最も高いガス圧が設定され、氷点下で熟成されており、スーパードライを彷彿とさせる強いキレがある。缶のパッケージも、シルバー地に黒文字で、スーパードライを意識したデザインに見える。

 セブン-イレブンでビール系飲料を購入する消費者は、総菜やつまみを同時に買う人が多く客単価が高いことから、セブンはこの分野の取り組みを強化してきた。今年6月には「グランドキリン」(キリンビール)、9月には「ザ・エクストラ」(アサヒビール)と、セブンと国内ビールメーカーによる共同開発ビールを相次いで投入した。

 その流れに沿えば今回は、セブン&アイとビールメーカーの共同開発第3弾となる。だが、これまでの2つは、「セブンプレミアム」商品ではなかった。最大のインパクトはビールの缶に「セブンプレミアム」のロゴが初めて入ることである。

 PBはメーカーにすれば自社ブランドを一部犠牲にすることになる。一方、サッポロは国内ビール大手4社中4位と上位には差をつけられている。ビールという中核ビジネスをPB化することに伴う犠牲を払っても得られる対価が大きいと、サッポロは判断したということだろう。

 「国産ビールメーカー初のPBビール」を取り込んだセブン&アイ。国内食品市場では、”流通優位”の勢いが増していることを象徴している。

 (撮影:尾形 文繁)

福田 淳

最終更新:11月19日(月)23時5分

東洋経済オンライン

 

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