中電、浜岡1号機の燃料棒ひび割れ公表せず

(2012/11/19 14:31)

 中部電力は19日、浜岡原発(御前崎市佐倉)1号機の使用済み燃料プールに保管している損傷燃料1体について、燃料棒にひびが入っていたことを明らかにした。中電は1995年に内容を把握していたが、これまで公表や県への説明をしていなかった。
 中電は1号機で94年12月、復水器から放出される放射性ガスの測定値が上昇した問題をめぐり全燃料(368体)を検査し、放射性物質の漏えいを起こした燃料集合体を特定。微小な穴(ピンホール)からの漏えいだったとの推定結果を公表していた。
 ところが、中電が95年4月に追加調査をしたところ、燃料棒1本(直径1・2センチ)に幅0・5ミリのひびが円周方向に入っていることが水中テレビカメラで確認された。中電はひびは燃料棒のほぼ1周にわたるとみている。中電は追加調査を実施したこと自体を明らかにしていなかった。
 中電静岡支店の西田勘二原子力グループ部長は「外部に放射性物質が漏れるなどの影響はなく、当時は公表基準に該当しなかった」と釈明。長尾一郎・県危機管理監代理は「説明が異なっていたのは由々しき事態。きちんと確認した上での説明を求めたい」と苦言を呈した。

浜岡1、2号機使用済み燃料 年明けから移動作業 中部電力
 中部電力は19日、廃止措置中の浜岡原発(御前崎市佐倉)1、2号機の使用済み燃料を同5号機の使用済み燃料プールに移すため、海水流入トラブルを受けて実施していた5号機の原子炉圧力容器、炉内構造物の点検を一時中断すると発表した。5号機の点検再開は2014年度となる。19日午前、県危機管理部と御前崎市議会原子力対策特別委員会に説明した。
 中電静岡支店によると、1号機のプールにある損傷燃料1体は12年度末までに、2号機のプールにある使用済み燃料1098体は13年度末までにそれぞれ搬出し、年明けから5号機のプールに移す。
 作業スペースの確保のため、現在開放中の5号機の原子炉圧力容器と原子炉格納容器の上ぶたをいったん閉める必要があることから、圧力容器と炉内構造物の点検を中断する。再開後、14年9月までに点検・評価を完了させるという。それ以外の設備や燃料の点検は継続して進めると説明した。
 5号機は政府の要請で運転を停止した11年5月、復水器の細管が損傷するトラブルがあり、原子炉内にも海水が流入した。

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