バイオ炭窯ドラム缶アタッチメント
(これ以外にも、まだ実験していませんが、種類などいろいろな種類の未利用バイオマスが炭にできると考えています。籾殻は、別にくん炭器を用意していただくことで、簡単にサラサラのくん炭を作ることに応用できます)。
竹や木、それらの小枝など、剪定材、トマトの木のような植物の茎、トウモロコシの芯、ササなどのような、茎の太い雑草などのバイオマスは、始末に困るときがあります。
その一方で、化学肥料や農薬、大量の水を使うことが前提の農業が世界的に行き詰まりつつあります。世界中の多くの地域では、化学肥料や農薬のために土壌が痛んで農地が現象し、大量の水を使うために川が枯れ、地下水も枯渇しつつあります。そして追い打ちをかけるように、気候変動や毎年の異常気象。それは日本も例外ではありません。
日本では昔から、炭を土づくりに使う習慣がありました。世界では、1950年代頃に発見された地球上で最も農業に適していない痩せた土壌と激しい気候のアマゾンで、「テラ・プレタ」と呼ばれる黒い土が、原住民たちが何千年間も手入れしなくても、豊かな収穫ができる謎が研究されていました。2007年頃、そのカギが炭だということがわかり、世界的に「バイオ炭」として研究、実践が盛んになり、炭の土壌への効果が科学的に解明されてきました。化学肥料や農薬、使用する水の量を減らすことができるだけでなく、今後の食料生産の課題である気候変動や異常気象などの耐性もあると言われています。
始末に困るような未利用のバイオマスを、炭にして、食料生産に役立てることで、資源の有効活用にもなります。竹林や里山でなら環境保全にもなり、炭素固定による温暖化対策にもなるなど、多くの問題を改善していくことができます。
今までは、未利用バイオマスを炭にするには、多くの手間や技術と、高額な器材が必要な上、煙が出るために、炭が環境や土壌にいいとわかっていながらも、なかなか活用されるまでにはいっていなかったように思います。
炭を購入するのも農作物からの利益などにとっては高額になってしまいます。低コストで、簡単に、煙を出さずに炭にするために、このドラム缶取り付け式のバイオ炭窯を開発しました。
<今までは炭があまり使われなかった理由1>
農業の売上に対し、炭が高額で使えなかった
炭が土壌にいいことはわかっていても、土窯で焼いた木炭なら、キロあたり400円から1000円、1反に最低限必要な量50kg使おうと思っても、20,000円から50,000円となってしまう。それだけの手間と技術力が使われているので、高いわけではなく、適正だと思いますが、農作物の価格自体が低いために回収が難しい金額となっています。機械で焼いたのでもキロ当たり200円~300円ほど。それでも最低限必要な量使うには10,000円はかかり、炭も海外製だったりします。
<今までは炭があまり使われなかった理由2>
炭化炉も高額で、ドラム缶などで手作りするのも難しい
一番簡単と言われているのがドラム缶窯です。しかし、それでも加工が難しい上、完成したとしてもまる1日火を焚いて、完成までに一晩かかります。これは、農業用のやわらかい炭を作るための技術ではなく、燃料や工芸品にするための硬い、形のいい炭を作る技術だからです。
機械メーカーなどが作った炭焼き窯を使うのもお勧めですが、これも数十万円単位の金額がかかり、石油やガスなどを燃料にするものが多いので、燃料費もかかる上、環境によくな
<今までは炭があまり使われなかった理由3>
炭焼きは技術も手間も必要なので、作るヒマがない
普通にドラム缶などで炭を焼こうとした場合、半日ほども薪を燃やしていないとならないので、やっている時間もない。それに難しそうだ。
<今までは炭があまり使われなかった理由4>
煙で近所迷惑にもなる。
炭を作るときは、煙が出てくるため、近所迷惑を考えてしまって使えなかったと思います。無煙の器材もありますが、ガスや灯油で煙を燃やす構造のため、材料が材料の力で炭になるのに、灯油をかけてはもったいない。
上記のような理由から、炭を使って土作りをする長い文化を持つ日本でも、あまり炭が使われなくなってきました。
そこで、それらの問題を解決し、もっと炭を使っておいしく安全な食べ物を作ってもらい、猛暑や冷夏などの異常気象にも強い農業をし、7世代も先まで健康で豊かな土壌を残すために考えたのが、ドラム缶アタッチメント式バイオ炭ストーブです。
<特徴1>
市販のドラム缶の底に小さな穴を開け、取り付けるだけで完成
オープンタイプのドラム缶であれば、底に金属用のドリルで1cm~1.5cmの穴を40個ほど開けるだけで済みます。あとは、DIYキットを載せるだけで完成。クローズタイプのものだと、道具を持っていない場合は、上部を切り抜かなければならないので、鉄工所などにお願いするか、自分でサンダー、もしくはタガネとハンマーなどを使ってコツコツと切り抜くことができます。洗浄していない使用済のドラム缶は、開封作業のときに着火の恐れがあることと、炭に不純物質が混じるので、使用しないようお願いします。安全に開封作業ができ、洗浄できる環境がある場合のみ、使用してください。ドラム缶を洗浄して販売するリサイク会社が地域にありますので、そちらからご購入をお願いします。
ドラム缶の入手先のURL
ドラム缶買取・回収・販売の渡辺容器株式会社
<特徴2>
煙がほぼ出ない
材料ややり方によっては、煙が出てしまうこともありますが、基本的に、バイオマスをガス化して、ガスとなった煙に火をつけて燃やす装置なので、煙はあまりでません。煙が多く出る場合は、材料が湿っていて火がつかなかったり、底から空気が入りすぎるなどの原因がありま
<特徴3>
技術が不要
材料や、乾燥具合などによってやり方も変わってくるし、煙を出さないようにすることや、量を多くとることなどは何回かやってみないとわからないので、完全に技術が不要とは言い切れませんが、通常の炭焼きに比べると、上から火をつけてアタッチメントをかぶせるだけなので、ほとんど技術はいりません
<特徴4>
炭化中の熱で、鉄板やフライパンを置き、バーベキューが楽しめる
里山活動などに利用した場合、本体の平らな面に鉄板やフライパンを載せることで、簡単なバーベキューを楽しみ、交流を図ることができます。
細かい剪定材や竹の枝を始め、トマトの木や、茎が太いササなどの雑草も炭にすることができます。
<特徴6>
熱でボディのドラム缶が傷んできた場合、取り替えることができる。
炭焼き器具の大きな課題の一つは、高温になるため、使っているうちに傷んでくることです。水をかけて消火するような道具なら、なおさらその寿命は短くなります。このTLUDストーブでは、ボディにドラム缶を使用するため、傷んだ場合でも交換可能です。消火も、フタをして酸素を遮断して行うので、ドラム缶でも長く使うことができます。
<特徴7>
水をかけて消火する必要がないので、乾いた農業に使いやすい炭を作ることができる
水をかけて消してしまうと、なかなか乾かない上、消火し損ねて再発火する場合もあります。湿らせてしまうと塊になり、土壌へまくときに扱いにくくなります。ドラム缶アタッチメント式バイオ炭製造窯では、酸素を遮断して消火するため、ドラム缶の痛みも少なく、扱いやすい炭を作ることができます。
<デメリット1>
一度に入れられる材料が200リットルのドラム缶1個分
材料を細かくすれば、隙間が少なくなり、たくさん入りますが、1回に作れる量は、竹炭の場合で、5~10kg。少ないようですが、土窯で2~3日かけて必死で炭焼きしても、50~70kgの間なので、2時間弱という時間を考えると少ないわけではありません。隙間にもみ殻を入れることで、効率良く竹ももみ殻も炭にできます。また、竹と一緒にもみがらを炭にすることで、もみ殻だけで焼くよりも高温になり、温度によって炭の役割が変わってくるので、多様な能力の炭を作ることができます。
<デメリット2>
ほぼ無煙であるため、木酢液や竹酢液の採取ができない
煙を極力出さない構造になっていますので、木酢液や竹酢液を取ることは期待できません
<デメリット3>
ある程度乾いた材料でないと火がつきにくい
薪を燃やす場合も同じですが、生木や雨を多く吸収した材料は火がつきにくいです。薪にできるくらい乾いた材料なら大丈夫です。通常の炭焼きだと、生の材料を入れたとしても、「乾燥炊き」として何日間か材料を乾燥させるのですが、このストーブでは、すぐに着火し、2時間ほどで炭にするため、乾燥のプロセスがありません。そのため、材料にできるのは、薪にできるくらい乾燥したものが好ましいです。しかし水分が抜けきれていないものは、炭化中の温度が安定するドラム缶の下側の方に、乾燥したものと一緒にある程度は混ぜても大丈夫です。油を多く含んで温度が高くなる乾いた竹を一緒に入れるとさらに安定するでしょう。竹なら外に放置してあるものでも、茶色っぽくなったものは簡単に火がつきます。
上から着火していくと、ろうそくの炎が直ぐ下のロウを揮発させて燃えているように、すぐ下のバイオマスを熱分解し、ガスを発生させます。2次空気孔から入る酸素とガスが混じり、ガスを燃焼させることで、煙を燃やします。ガスが出た後のバイオマスは炭素の塊である炭となり、下へ向かって熱分解し、一番底まで炭になったら完成です。
■活用事例
竹林の整備: サクマホーム様
お客様感謝デーのイベントのさつま芋掘りでは、炭焼きの熱を利用して焼き芋を作りました。 イベントの様子はこちら サクマホーム様 http://39mg.com/ |
ぶどう農家での剪定材の炭化
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その他の活用方法の提案
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炭焼きを始めて3年がたち、炭の能力を知るにつれて、もっとたくさん作れれば、多くの環境を浄化したり、土壌を豊かにすることができると考えていました。いつも車を運転しているときに、竹やぶや、刈り取られた雑草、荒れた里山、剪定材が山積みになったような光景を見ると、「もったいない…。あれを全部、炭にすることができたら…」と思っていました。
しかし、土窯で数日間かけて作る炭もほんの限られた量ですし、大規模な工場を作るにしても資金がない。大規模なものを作ったとしても、多くの未利用バイオマスはそこにたどり着けず、結局あぶれてしまうものも多い。
最近では、多くの間伐材がペレットなり、エネルギーとして有効利用されて素晴らしいことだと思っています。しかし熱量の低くてペレットとして活用しにくいバイオマス、例えば農業で出てくるトマトやオクラの木や、トウモロコシの茎や芯、放置竹林の竹やなどは、、炭にして食料生産に使うことができます。しかも持続可能なやり方で。
大規模に炭にすることができないのなら、小規模で簡単に低コストで、煙が少なく周りに迷惑がかからないようなやり方を編み出して、炭を作ることへのハードルを低くすることで、炭を作って活用する人を増やし、多くの未利用バイオマスを炭にして食べ物の未来を守ることにつながるのではないかと思っていました。
2010年に地域の国際交流協会の事業で、高校生の引率としてアメリカへ行く機会がありました。そこで購入してきた1冊の炭についての本に、謎の構造の炭焼き窯が載っていて、ホームスティ先のホストマザーが、見せてくれたアメリカでの炭焼きの動画にもおかしな窯がたくさん炭焼きに使われていました。
それらはTLUDストーブと総称され、もともとは森林破壊の深刻な発展途上国で、少ない薪で十分な熱を得るための調理道具で、煙も出ないので呼吸器の病気になる心配もなく、調理後に炭ができるというものでした。
発展途上国では、調理後にできた炭を痩せた農地に使うことで食料の増産ができ、煉炭のように固めて、エネルギーとして再利用しているようです。帰国後、オイル缶や食品の缶詰を組み合わせていろいろな実験を開始しました。
その過程で、旧山古志村の方に研究中のTLUDストーブの話をした時、「似たようなのが昔からあったなあ…。『ぬか釜』という…」ということを聞き、籾殻を燃料にご飯を焚いて、調理後は炭になるというので、日本の伝統技術には世界を救う可能性があるのではないかと思いました。
バイオ炭ストーブは両者を組み合わせて、独自の工夫を凝らして実験を重ね、三条市の㈱オーテック様と共同で開発したものです。最初は、アウトドア用の調理コンロサイズを作っていたのですが、ドラム缶にアタッチメントをつける仕組みにすれば、安くて簡単で、たくさんの炭を作れるのでは、と考えたのが、このドラム缶アタッチメント式バイオ炭ストーブになりました。
本体 42,000円(+送料)
オープンタイプのドラム缶(中古+送料+加工) 10,000円前後(自分で手配した場合)
煙突 約1000円(ホームセンターで購入)
合計: およそ53,000円
*DIYキットであることや、送料が余計にかかることで、基本的にドラム缶の入手や加工は、購入いただいた方にやっていただきます。地域に洗浄済みのドラム缶の販売会社でドラム缶を購入いただき、鉄工所などで加工してもらうことができます。自分で加工してもドリルで穴を開けるだけです。
*上記の価格は、ドラム缶を通販などで購入した場合です。ドラム缶を近くで手に入れることができ、自分で加工ができる場合は、中古洗浄済オープンタイプドラム缶1個約4,000円です。その場合、必要な費用は約47,000円+本体の送料です。
稼働中の動画
煙が出ていないので、火がついていないようにみえますが、火がついていて炭化中です。煙突の上は煙が燃えて500度近くになっています。除き穴を開けていると、少しですが、煙が燃焼している炎が見えます。
大量生産ではないので、工場の開いている時間を利用して作っていただくことと、耐熱塗料の乾燥なども含めて、ご注文いただいてから完成まで最低でも約2週間かかります。そのため、1ヶ月の生産能力も30台ほどのため、3月は30台限定で注文を受け付けさせていただきます。
農作業の準備をする春の多くの数を準備できずに申し訳ありませんが、ご理解いただけますようよろしくお願いします。申し込みいただいた順に出荷となりますので、お早めの申し込みにご協力をお願いします。
お申し込みいただいた後、納期と送料を連絡いたします。それをご確認いただいた後、ご注文確定となります。このフォームを送信してもまだご注文確定ではありません。
申し込みフォームがうまく作動しない場合は、必要情報をご記入のうえ、info@charcoalblacks.org まで送信をお願いします。 |
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