社説
衆院選 維新・太陽 付け焼き刃の合流では(11月19日)
中小規模政党による「第三極」連携の動きが活発になっている。
東京都知事を辞めた石原慎太郎氏の太陽の党は、橋下徹大阪市長の日本維新の会に合流した。代表は橋下氏から石原氏に代わった。みんなの党とは選挙協力を目指す。
政策や理念の一致のないまま勢力を拡大しても単なる数合わせに終わる。そんな野合はたくさんだ。国政の場で何をするのかを明確に示して有権者に問うべきだ。
合流発表の記者会見で橋下氏は政策の大筋一致を強調した。中央集権体制の打破を基本理念に、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加や消費税の地方税化を目指すという。
だが橋下氏が主張してきた「2030年代の原発ゼロ」の目標は盛り込まなかった。原発容認論の石原氏に配慮したものだ。国民に関心が高い問題で不一致が残った。
基本理念も違いが目立つ。維新は参院廃止による一院制を唱え、太陽は二院制を基本としてきた。尖閣諸島購入へ動き、中国など周辺国に強硬姿勢の石原氏は、竹島の日韓共同管理を提唱した橋下氏と外交政策で一致できるだろうか。
石原氏は「小異を捨てて大同につく」と繰り返すが、基本的な政策や理念の違いは「小異」ではない。記者会見などの場で、疑問に答えようとせず、都合の悪い政策不一致を隠そうとする態度が目に余る。
言動が次々と変わるのはこのグループの特徴だ。石原氏は太陽の党と河村たかし名古屋市長の減税日本が合流すると発表した。だが日本維新の会が難色を示すと白紙撤回した。
橋下氏は「カラーが違う」と言っていたたちあがれ日本の平沼赳夫氏を、日本維新の会の国会議員団代表として迎えた。詳しい説明はない。
民主、自民の二大政党に飽き足らない無党派層を引きつけるため、選挙目当ての主張を掲げるだけでは有権者から背を向けられるだろう。
橋下氏は「大戦(おおいくさ)がくる」「石原さんが総大将だ」と既成政党との戦いを強調する。典型的な劇場型政治だ。国民の不満をあおって改憲や安全保障政策の転換を図る姿勢は危険だ。ブームに惑わされて国の重要政策を白紙委任するわけにはいかない。
小沢一郎氏の国民の生活が第一は、非民主、非自民勢力を集めた緩い連携体制を目指し、北海道を基盤とする鈴木宗男氏の新党大地・真民主との協力を模索する。
考えが違う議員を寄せ集めて政権を取っても、いずれ路線対立が表面化して党の分裂を招くことは民主党政権でよくわかった。同じ失敗を招かぬよう、有権者として確かな目を持つことが大事だ。