◇九州場所<8日目>
横綱白鵬(27)=宮城野=が豪風を豪快に突き倒して8連勝し、千代の富士に並ぶ史上最多25度目のストレート給金(1場所15日制定着以降)を決めた。関脇豪栄道も無敗を守り、自身初の8日目勝ち越し。新横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は大関琴欧洲を上手投げで退け、7勝1敗とした。大関対決は稀勢の里が琴奨菊を寄り切って6勝目。かど番の琴欧洲と琴奨菊は2連敗で、栃煌山に敗れた大関鶴竜とともに3敗目を喫した。十両は栃乃若が8戦全勝でトップ。
白鵬は風のように土俵を走り抜けた。右かち上げから豪風を突いて突いて突き倒し。4秒4で勝負をつけた。
優勝争いから遠のく大関陣を尻目に、千代の富士(九重親方)と並び史上最多タイとなる25度目のストレート給金。序盤で取りこぼさないのは強さの証か、と聞かれると「その証明と勲章をいただきます」と自信に満ちあふれたコメントが返ってきた。
なんら欠点がないように見える横綱。実はこどものころは足首が細いことにコンプレックスを抱いていたという。
「父にそのことを話したことがあるんです。そしたら、速い馬の足を見てみろと言われた。細いだろって」
この日の朝稽古後、馬の話題が出た。「サラブレッドに乗ったことがある。サッと、すぐにスピードが出る。気持ちがよかった、風が」。豪栄道が全勝で並走しているものの、白鵬は無人の草原を風になって走り抜けている気持ちではないだろうか。
記録に並ばれた九重親方は「まだ万全じゃないな。2、3番てこずった相撲がある」と前置きしながらも、「安定しているということ。3場所も優勝から遠ざかって、気合が入っている」と高く評価する。
「10勝が横綱の勝ち越し」と公言する白鵬。ただ、記録に関しては「もちろんモチベーションになる。優勝という目標があるが、こういう記録もあれば、頭の中で意識が生まれる」と最高の気分で折り返した。
さあ、これから始まる後半戦。さらにスピードを上げてゴールを目指していく。
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