カズ、初弾お預けもＷ杯１勝！リビア４発撃破で初の決勝Ｔ進出…フットサル

リビアを破り、サポーターの声援に応える三浦（中央）ら日本代表（共同）

　◆フットサルＷ杯　１次リーグＣ組第３戦　日本４―２リビア（７日、バンコク・フアマークインドアスタジアム）　日本が初の決勝トーナメント進出を果たした。前半は１―１と苦戦するも、後半５分にＦＰ星翔太（２６）＝浦安＝が決勝ゴールを挙げるなど４―２でリビアを撃破。他組の結果により３位グループの上位４チーム入りが確定した。三浦知良（４５）＝横浜Ｃ＝のＷ杯初ゴールはお預けとなったが、献身的なプレーで１６強入りに貢献した。

　カズの、そして日本フットサル界の夢がかなった。リビア戦の勝利から２時間後、他組の試合結果により１６強入りが決まった。「１次リーグ突破を最低条件として、自分にプレッシャーをかけながらやってきた。フットサル界に少しは貢献できたのかな」。カズの言葉には感慨がこもっていた。

　前半は硬さが目立ち１―１。ハーフタイムにはミゲル・ロドリゴ監督（４２）が「鳥のような自由な気持ちになろう」と言葉をかけた。後半は星、稲葉、小曽戸がいずれも相手選手のボールをカットしてゴールを決めた。「（就任した）３年半前に思い描いていたことが達成できた」。指揮官の笑顔も輝いていた。

　ロッカールームでは、右目打撲で欠場した高橋が「また出られるチャンスができました」と涙を流すと、つられて木暮も泣いた。３大会連続Ｗ杯出場の木暮と小宮山は、試合前に「今日負けたら代表のユニホームは最後かもしれない」と話し合っていた。指揮官は試合終了直後、大会直前にメンバーから外れた滝田学（２６）＝町田＝と仁部屋（にぶや）和弘（２４）＝大分＝に電話をかけた。「みんな２人のことを思って戦ったんだ」

　カズは４度出場し合計６分１６秒間プレー。ピッチに出るだけで約２０００人の日本人サポーターが沸いた。りさ子夫人（４４）も見守る中で星、森岡らとのコンビで決定機を演出した。「決勝トーナメントに行くことがフットサル界の夢。出場分数を長くすることが夢じゃない」。合宿中は連日コーチの部屋に入り浸り、自身のプレーをビデオで見返した。すべてはチームのためだった。

　次戦の相手は未定だが「もっと上にいきたい。僕はずっと勝負の世界に生きているから、ベスト１６の次はベスト８、ベスト４っていう気持ちが出てくるんですよ」と力を込めた。批判を覚悟で飛び込んだフットサルの世界で結果を出した男の戦いは、まだ終わらない。

　◆決勝トーナメント（Ｔ）進出条件　１次リーグは２４か国がＡ～Ｆの６組に分かれ、各組２位までの１２チームと、３位チームのうち成績上位４チームの計１６チームが決勝Ｔ進出する。各組の順位は勝ち点→得失点差→総得点の順で決定。Ｃ組３位の日本は、決勝Ｔ１回戦でＡ組１位かＢ組１位との対戦となる。

　◆初勝利給５万円　この日の勝利により、選手全員にフットサル界初となる１人５万円の勝利給が支給される。カズが代表招集の打診を受けた際に、日本協会幹部に直談判して決まったものだ。さらに１５万円（金額は推定）の１６強進出ボーナスもゲット。カズは「良かったね。（引き分けの）ポルトガル戦も勝利扱いにしてもらおうかな。（会長の）大仁さんに言っておいてよ」と笑った。