軍縮・不拡散

原子力関連条約

平成24年9月

1.多国間条約

 1986年4月のチェルノブイリ原子力発電所事故を契機として,原子力事故の際に被害を最小限に止めるための国際的枠組みを構築するために「原子力事故の早期通報に関する条約」及び「原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約」(原子力事故関連2条約)が採択されました。その後も,原子力の平和的利用の確保・拡大にあたって原子力安全や核セキュリティに関する国際的枠組みの構築が必要とされ,様々な条約が作成されています。我が国は原子力安全,核セキュリティに関する多国間条約の早期締結に努めており,1987年に原子力事故関連2条約,1994年に「原子力の安全に関する条約」,2003年には「使用済燃料管理の安全及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」を締結しました。

 また,2001年9月11日の米国同時多発テロ以降,「核テロリズムの行為防止に関する条約」の交渉が加速し,同条約は,2005年4月13日に国連総会にて採択されました。我が国は2007年8月に同条約を締結しています。

2.二国間協定

 二国間原子力協定は,特に原子力の平和的利用の推進と核不拡散の観点から,核物質,原子炉等の主要な原子力関連資機材及び技術を移転するに当たり,移転先の国からこれらの平和的利用等に関する法的な保証を取り付けるために締結するものです。

 また,日本としては,「3S」(注)を重視する観点から,最近の原子力協定においては,原子力安全面に関する規定も設けており,協定の締結により,原子力安全の強化等に関し協定に基づく協力の促進も可能となります。
日本の原子力技術に対する期待は,引き続き,幾つかの国から表明されており,諸外国が日本の原子力技術を活用したいと希望する場合には,日本としては,相手国の事情を見極めつつ,核不拡散・平和的利用等を確保しながら,相手国に高い水準の安全性を有するものを提供するなど,原子力協力を行っていくことには基本的な意義があるものを考えています。このため,原子力協定の枠組みを整備するかどうかについて,核不拡散の観点や,相手国の原子力政策,相手国の日本への信頼と期待,二国間関係等を総合的に踏まえて,個別に検討していくこととなります。

 我が国は,米国,英国,カナダ,豪州,フランス,中国,欧州原子力共同体(ユーラトム),カザフスタン,韓国,ベトナム,ヨルダン及びロシアとの間で原子力協定を締結しています。

(注) 核不拡散の代表的な措置であるIAEAの保障措置(Safeguards),原子力安全(Safety)及び核セキュリティ(Security)の頭文字を取って「3S」と称されています。

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