『月野どんぶり』 written : S★D★A★


 ある土曜の昼下がりだった。

「たぁだいまぁ!!」

 扉が勢いよく開き、二つの影が玄関に入ってきた。
 だが、反応がない。

「……はれ?誰もいないのぉ?」

 はた、と動きを止めて、金色の髪をもつ少女は首を捻った。

「あれ、うさぎちゃんったら覚えてないの?」
「ええと…」
「温泉旅行でしょ、日帰りの」

 あ゛。
 とばかりに、うさぎと呼ばれた少女は冷や汗をながして声の方を向く。

「もっちろん覚えてたわよ〜!そうそう旅行にいってたのよねぇ〜」
「ほんとに覚えてた……?」
「あはははははぁ〜〜〜〜」

 気の抜ける、間延びした声が乾いた笑いを上げた。
 そういえば町内会の…えっと、まぁいいか───面倒になって細かい所を思い出すのを放棄したうさぎは、靴を脱ぎ散らかし、入ってきた時とはまるで逆に背を丸めながらずりずりと足をひきずって居間へと向かう。
 そしてその後を、黒猫が心配そうに後を追った。


「やっぱりぃ。なんだ、夜まで帰ってこないんだぁ」

 食卓の上に置いてあった手紙を無造作に投げ捨てると、うさぎはそう言って疲れ切った溜息を一つ吐き、そして鞄を床に投げ出しながらソファにその身を沈めた。頭の後ろで腕を組み、天井を見上げながら目を閉じる。

「今日はスゴかったよね〜」

 そう言いながら、少女はついさっきまでの戦いを思い出していた。
 戦い。そう。
 少女の名は月野うさぎ。当年とって1●歳。地球の平和を守り続ける、セーラームーンがその正体だった。

「そうね。だんだん、敵が強くなっているわ」

 そう言ったのは足下に蹲る牝の白猫だった。
 何故猫が人間の言葉を喋れるのか、もううさぎは気になどしていないが、彼女の名はルナ。セーラームーンのお目付役、といった所だった。

「にゃはは、だぁ〜いじょうぶよぉ。余裕余裕っ」
「ちょっと、少しは真面目に考えてよ。うさぎちゃんだって、おかしいとは思わない?」
「へ?おかしいって、何が?」
「だから、最近の異変がよ」
「異変なんてぜ〜んぜん大丈夫だってば。あたしだって、みんなだっているんだから、なんとかなるなる!」

 前肢で顔を覆いながら、ルナは低く唸り声を上げた。
 いつもながらの脳天気さに頭が痛くなる。とはいえ、確かになんとかなってしまうのがこの娘の恐ろしい所なのだが。

「でもさ…ふぁ…疲れたよねえ……ふぁ〜ぁ…まだ進悟もいないし………学校………ああもう…つか…れ………」

 きしっ。

「くぅ〜……すぅ〜……すぴぃ〜……んぁ……」

 うさぎの身体がソファへと倒れ込む音がして、しばらくすると寝息が流れてきた。

「へ……?ちょっとうさぎちゃん?!こんな所で寝たら風邪ひくわよ」

 くぅ……くぅ……

 しかし、そう声をかけた時にはもう熟睡してしまった後だった。
 ルナはやれやれとばかりに首を振ると、ソファの背へと登って主人の顔を眺め下ろす。

「はぁぁ……眠ってれば、可愛いんだけどねぇ」

 もう数年経てば、可愛いから美しいへと変化するであろう美少女の姿がそこにはあった。記憶の底にある、月の王国のプリンセスの姿へ。そして世界で最も美しかった女王の姿へ。
 白い肌。細い手足、そして豊かに息づく胸。頭の上でおだんご状に結い上げられたツインテールの金色の髪が波打ちながら床へと垂れ、見るにも愛くるしい童顔が健やかな寝顔を形作っている。
 常日頃から天然だとバカにされ、誰もその美しさを表だって評してくれなどしない彼女だったが、眠っていればそれは物語の中の人物の如くに可愛く、あどけなさをふりまく美貌だけが強調された眠り姫に見えるのだ。

「んがっ…んごぉぉっっ……ぐがぁぁ…ずびぃぃっっっ……」

 だがさらにしばらくすると、全てをぶち壊す音が周囲を満たしていく。信じられない事に、大口を開けてとても気持ちよさそうに鼾をかく少女がそこに寝ていた。しかもその格好たるや、百年の恋も一遍で醒めるが如き姿だった。

「はぁぁ……前言撤回。やっぱ眠っててもダメね」

 左手を背もたれと頭の間に入れてはいるが、右手はだらしなく床へと落ちている。なんどか寝返りなどでずれた結果、セーラーの上着が上にずれ、白く薄い少女のお腹とへそが剥き出しになっている。しかも左脚が畳まれて膝立ち、右脚は手と同じくずれ落ちているため、セクシーな制服と近隣で評判の五番町●学校のミニスカートが大きく捲れ、スカートの下の純白のパンティを大股開きで見せてしまっている。

「はぁぁ……これじゃ、衛さんに愛想つかされても仕方ないかもね……」

 そう深く溜息を吐く、ルナだった。
 
 
 
 
 
「ただいまっ!」

 扉の開く音と一緒に、甲高い少年の声が家を巡った。
 同時にピクリとルナの耳が動き、丸まって寝ていた身体が一瞬伸びをする。

「暴れん坊将軍のお帰り…ね。あたしあの子苦手なのよ〜。先、戻ってるわよ、うさぎちゃん」

 もちろんルナはうさぎ以外の家人からはただの飼い猫に過ぎない立場だ。だから聞こえていないだろうとは判っていたが、囁くように一応それだけ声をかけると、素早い動きで居間から抜け出ていった。
 
 
 
 
 
 ドタドタドタ。

「なんだよ、バカうさぎはまたこんな所で寝てんのかよ」

 しばらくして居間にあらわれたその声の主は、ソファの陰から見えている髪と手を見つけると途端に嘆息して、心底あきれ果てた声でその持ち主を罵った。
 彼の名は月野進悟。うさぎより4つ下の●学生。姉をはなからバカにして生きている小生意気な弟だった。

「だからよ、いつもいってんじゃねぇか、ここで寝んなよバカって……」

 いたずらがきでもしてやろうかと表側に回った途端、進悟の言葉が失われた。

 ごくり。

 唾を嚥下する音が静かな居間に響く。
 そう。
 その視線の下には、無防備にその姿をさらすうさぎの肢体が拡がっていた。

「っ…ん………く………っ………」

 進悟の瞳にそのお腹の、太ももの肌が艶めかしく映り込み、だらしなく開いた股間の奥にある剥き出しのパンティが飛び込んできた。
 心ある者にとってなら粗雑でみっともないだけのその姿も、異性の、それもまだまだ子供にとってみれば充分すぎる刺激となる。
 進悟は不覚にも、ヘソを丸出しにしたお腹のラインが綺麗だと思った。筋の浮く太ももの肉が美しいと感じていた。フリルもなにも無い、ただワンポイントがあるだけの純白のパンティに目を奪われた。
 そして、自分の半ズボンが窮屈になってしまった事に気付いていた。

「こ…この下にも、あるんだよな…」

 もちろん進悟はまだ●学生だった。しかもこのあいだ、つい半年程前に精通を経験したばかり。だが、誰にも話せない事だったがもう彼は大人だった。
 最近、同級生の女達が煩くて仕方ない。黄色い声で騒ぐだけの壊れたスピーカー。固いだけの肉体を短い袖とスカートからこれみよがしに突き出した、男となんら変わりのない、口が達者なだけのバカ女共。
 仕方のない事だった。大人の肉の堪えようのない味。しっとりと包み込まれる安堵感。腰から下が吸い出されそうになるとてつもない絶頂感。それを知ってしまったからには、次の日から違う視界が広がってしまうものだ。
 だから判る。なんとなく判るのだ。この肌から匂ってくるトロリとした粘ついた香りが。男の精を浴び、染み込ませた肉が放つ絡みつくような光沢が。
 いやらしい。
 そう感じた瞬間、進悟は躊躇無くその思いを行動に移していた。
 
 
 
 
 
 さわさわ……

 夢の中でうさぎは愛しの衛といちゃついていた。熱い唇が顔をついばみ、右手がお腹を、そして左手が太ももを撫でさすってくる。じんわりとした愛撫はどんどん大胆さを増し、快感が痺れるほどに送り込まれてくる。

 ん?……気持ちいい……はぁ……あたし…ああ、マモちゃ〜ん。んふぅぅ……☆

 うさぎも負けじとその指を衛の股間へと垂らし、その反り返ったモノを愛撫していく。びくりと痙攣し、その先からぬるぬると出てくる汁を塗りたくって。

 ああん…美味しそうな匂いぃ……ふふ、もう出てる…やらしい匂い、匂いがぁ……

 つんと鼻をさすニオイが立ち上り、うさぎのまろやかな肉体の丘陵を駆け登ってくる。愛しいおチンチンのニオイ。セックスのニオイ。
 ……??
 それが、いつもと違う。
 
 
「うはっ、う、うさぎっ……ば、バカ……うさぎっ……ぃっ……」

 声が耳に届いて、うさぎは目覚めた。可愛い、かぼそい声だった。
 ───誰の声だろう───
 だがなんとなく危険を感じて、薄目で状況を確認したうさぎの目に、信じられない光景が飛び込んできた。

 しゅっ、くちゅっ、ちゅっ、ぐちゅっ!!

 自分より小さな手が、何かを握って、そして前後に擦っている。水分を含んだ音が断続的に響き、なにやら甘く、クサイ匂いが鼻をつく。
 そして、一旦それを握っていた手がその動きを止めた。

「あっ…くぅ…ふ、ふぅ……」

 な、なんで、目の前に、目の前になんでおチンチン?!!!!

 声を上げそうになるのをぐっと堪えて、うさぎは眼前の異常な状況を理解しようとした。目の前に男の性器がある。股間から反り返った、小さいが確かに男の性器が。
 だがひとつ呼吸を置くと、いくら混乱した頭でも状況が理解できてきた。視界の隅に見える床に落ちた半ズボン。ムダ毛ひとつ生えていない綺麗で華奢な足。
 ───進悟だ。
 弟の名を思い浮かべて、うさぎは別の意味で硬直した。

「うぁ、凄ぃ……この、このパンティの奥にも、オマンコあるんだよな…バカうさぎの、きっと綺麗なピンク色のオマンコ、あるんだよな………」

 声と、男性器が、薄目を開けるうさぎの肉体の前を右往左往していた。顔の前で止まり、お腹の前で止まり、そして股間の前で止まる。
 その間も、オナニーの摩擦音と熱い快楽の呻きだけは止まらない。

「うは…はっ……ぅっ…ぉっ……」

 ちょっとちょっと、どうすればいいのよぉ!───
 だが半分パニック気味に慌てながらも、逆にうさぎはそれに魅入ってしまっていた。なにしろ異性のオナニーシーンなど、想像すらできるものではない。驚きと嫌悪と好奇心のせめぎ合いは……好奇心の勝利に終わっていた。

 くちゅ!しゅっ!しゅちゅっ!くちゅ!

 それはひたすらに格好悪く、そして信じられないほどいやらしいものだった。目の前で勝手に盛り上がり、そして高まっていく何かが見えるようだった。
 弟の顔がだらしなく緩む度に、何かに耐えるように歪む度に、うさぎの中の何かが反応し、胸の奥が熱く疼いてくる。腰の奥がぬるんでくる。

 うわぁ…凄い…あんなに…ああ、あたしもなんか……うわ、やらしい気分になってきちゃうよぉ………

 そういえばマモちゃんのって、どれくらい見てないのかなぁ───ふと思う。もう長い間、彼に会っていない。手ひどい言葉でフられ、仲間に慰められたりもした、最愛の……

「で、でちゃうぞバカうさぎ……お前がこんなにやらしいから……」

 物思いにふけろうとした刹那、うわごとのような進悟の声でそれは打ち破られた。
 切羽詰まった声と熱い息づかいの音が高まっていき、Tシャツの下の手の動きが一段と速くなり、そして足を引きずるようにしてよりソファへと、そして何よりうさぎの近くへとにじり寄ってくる。

 ───ひえっ?!

 うさぎは息をのんだ。自分の横に立たれた瞬間に茫洋とした思いは吹き飛び、オトコという脅威に対して目が醒めた。

 ───ちょちょちょっと待ってよ!もしかして顔?こいつあたしの顔にかけるつもりなんじゃぁ……?!!!

 その途端、傍目にも判るほどうさぎの顔は青くなっていた。
 だが、既に快感の最終段階に入っている進悟には気付く由もない。だだ腰をぶざまに突き出し、固く握りしめた右手の中の肉棒を、最も気持ちのいいタイミングで放出しようという本能だけが渦巻いている。

 ───ま、マモちゃんにだって、お顔に直接なんてされたことないのに!い、いや、いやぁぁああああっっっ!!

 思考がキレた。

「こ、こらっ!進悟っ!何やってんのよっ!!!」
「え?!!」

 完全に裏返った、しかし強烈な否定を込めた叫声が迸った。
 叩き付けられた当人は雷に打たれたかのように硬直し、飛び出しそうなほどに目を剥いた表情で時を止めていた。

「し、下すっぽんぽんでお姉ちゃんに精液かけようなんて、な、何考えてんのよあんた!」
「う、あ……」

 顔を真っ赤にしながら、うさぎは続けざまに弟を睨みつけた。
 だが、赤いのは純粋な怒りからだけではなかった。盛り上がってしまっていたいやらしい気分と、そして覗き見をしていた恥ずかしさとが入り混じった色だった。

「う、うるせぇ!そ、そんな格好で寝てるのが悪いんだろ、バカうさぎっ!!」

 矢継ぎ早の叱責に竦んだ弟が、滅茶苦茶な理屈で精一杯の抵抗をはかっていた。
 だが、いつもならいくらでも返ってくる反撃の言葉が、今はそれきり出てこない。いたずらや喧嘩とは違う、性的行動に特有の後ろめたさが、生意気ざかりの進悟からいつもの姿を奪い去っているかのようだった。
 
 
 
 
 
「と、とにかく、それ、しまいなさいよっ」

 両手を顔にあて、視線を塞ぐようにしてうさぎは弟の股間を指さした。
 もちろん、その手の指は大きく開かれ、目はその間を通して進悟の縮んでしまったペニスに吸い付いている。
 しかし、気付かない所で、うさぎは無防備な姿をさらしてもいた。へそはまだ丸出しのままだった、ただ反射的に開いていた股間を閉じただけで、捲れ上がったスカートすらきちんと戻してはいなかったのだ。
 しかも、その股間の閉じ方が問題だった。無意識に膝を合わせてソファの背もたれ側へと腰を捻っていた為、逆に太ももとお尻がさらされる格好になっていて、ぷっくりと膨れた股間をぴったりと覆ったパンティがさらにいやらしく見える形になっていたのだ。

 んっ…ごく。

 進悟はそれに気付いていた。そろそろと足下に落ちていたパンツを足に通していく間中、視線は姉の膨らんだ股間に釘付けになり、しかもなんとなく湿っているような色に変わっている部分に意識が集中していく。

 …しゅ……しゅ……

 だが、どんなにゆっくりした所で、パンツ一丁穿くのにさほどの時間はかからない。進悟は露骨に残念そうな顔をしながら最後まで引き上げると、その縁のゴムを二、三回なぞって動きを止めた。

 あ…あれ?───だが、そのブリーフを穿き終えたところで、進悟は情けない表情を顔にへばりつかせていた。

「な、なによ進悟、どうした…の?」

 ゆっくりとした着替えを実はかなりドキドキしながら楽しんでいたうさぎは、途端に表情を変えた弟に疑問の声をかけた。

「な、なぁ、バカうさぎ……その、オレのチンチン…勃たないんだけどさ…」

 恐怖すら垣間見える震えた声で、進悟は姉の顔を見やった。自分の性器が、頭で興奮しているにも関わらず全く反応してくれていないのだ。

「あ゛………な、何言ってんのよアンタは……」

 呆れた声で、うさぎは顔に縦筋を入れる程の表情を浮かべながらそう言った。
 まだまだ何も知らない●学生である。例え経験があろうとも、自分のモノというものに対する認識など、ヤりたいと思っただけで簡単に勃つものだという程度の浅いものしかない。

「だ、だって、バカうさぎのそんなやらしい格好見てんのに勃たないんだぞ?!お、オレのチンチンが勃たなくなってたらどうしてくれるんだよ」
「いや、そういうことじゃなくて、勃たないって、今の状況じゃあたりまえだって───」
「ば、バカうさぎが途中で邪魔するからだぞ!だからオレの、おかしくなったのかもしれないだろ?!!」

 再びブリーフを引き下ろし、見せ付けてまで己の正当性を主張しながら進悟は逆ギレ状態で叫んでいた。射精もしないで勃起状態を抜けたのが、進悟にとって初めての経験だったのがそれに拍車をかけていた。考えてみれば朝勃ちの時は別に射精などしないのだが、興奮しきった頭ではそんな事すらも頭には上がってこない。

「あたしのせいだっていうわけぇ?!」
「違うのかよバカうさぎっっ!!」

 はれはれ……もう、なんだっつうのよ一体……

「もう、何言ってんのよ、なら、かしてみなさいよ」

 経験者としての気安さがあったのかもしれない。
 うさぎは売り言葉に買い言葉とばかりにその身を起こすと、進悟の股間へとその手を躊躇無く差し入れていた。力を失って、掌に収まりそうなくらいになっている可愛いペニスがその瞬間キュッと縮まり、そして、ムクムクとその容積を膨らませていく。

「ほら、きちんとおチンチン勃つじゃない。へへ〜んだ、お姉ちゃんを騙そうったってそうはいかないんですからね。進悟みたいな毛の生えてない子供に騙されるほど、わたしは子供じゃないんだからぁ」

 言いながら、うさぎは無意識のうちにその手首をこね回していた。勃起した性器の先っぽを甘く見つめながら、進悟の皺袋を下から優しく包み込んでやわやわと揉みしだくと、そのまま袋を指の間を通して落とし、股間の両側を指先で撫で上げつつ柔らかい皮につつまれた先っぽへと進んでいく。

「ぅあ…」

 進悟が小さく呻いた。その途端、ペニスの膨張が一気に加速し、ぬるりとした粘液を振りまきながらへその方まで完全勃起する。

「へっへ〜、かぁわいい声出すじゃないのぉ。もうやぁらしいんだからぁ!」

 うさぎは優越感を満面に湛えて弟の股間を弄んでいた。いつもやり込められている反動からか、唇を咬んでそれに耐えている進悟の表情からこれ以上はない勝利の陶酔が沸き上がってきていた。

「バカうさぎ…慣れて……んだな」

 びくん、とうさぎの手が止まった。

「い、いいでしょ、そんな事は」
「よくねぇよ……だって……な、なぁ、その、オレ、我慢できないんだ……バカうさぎの……ううん、お姉ちゃんの綺麗な裸みてたら…それに…もう少しだったし……オレのチンチン…もう爆発しちゃいそうなんだ……」

 進悟の目の色が変わってきていた。滾るような男の目の色だった。
 言葉遣いを変えてまでその想いを果たそうとするほどに真剣な表情の中央で、決壊一歩手前の色を湛えた瞳が揺れていた。

「ちょ、ちょっと、あたしたち姉弟なんだよ?!そんな……」
「そんなの関係ないだろ」
「関係ないわけないでしょ」
「関係ないよ!だって、ママだって…」
「ママとパパは違うでしょぉ!二人は結婚したからママとパパなんだから、その前は素敵な恋人同士で、愛し合って、あたしたちが産まれたんだから」

 進悟の表情に何とも言えない懊悩の色が浮かぶ。

「そうじゃなくってさ……!!そうじゃ……くっ…うっ……ひっ…ひっく…う……うぇ……」

 いきなり、嗚咽が漏れた。進悟の顔が下を向き、肩がブルブルと震えている。

「だって…だって………」

 意外な展開にうさぎは戸惑い、そしてうろたえた。
 だが、女は子供の涙に弱かった。それがたとえ少女であったとしても。

「な、泣いてるの?」
「う、ひっ……くっ…ぅあ……ぇっ…」

 嘘泣きではなかった。だだをこねる副産物としての涙が、年相応に進悟にも備わっていただけだった。ただ、今迄は姉の前で見せたことがなかっただけだった。

 ───ま、いっか。
 いつもは殴りたいほどに憎たらしい弟も、こうしてみると可愛くも思えてくる。涙をこぼし、肩を振るわせる仕草は子供らしく大仰で、それが自分に対しての想いからだと言われてしまえば、それほど悪い気もしてこない。

「わ、わかったわよ、進悟。わたしのせいでおチンチン勃っちゃったんだし…いいよ、しても───でも、ちょっと後ろ向いてて。あ、その、進悟も……シャツ脱いじゃってね」
 常のうさぎらしい、即断即決の展開だった。ただ、事がどれだけ重大であるかという事を何も考えていないとしか思えない所もいつもと同じだった。

「う、うん」

 今や進悟の心は既に悦びで埋まっていた。興奮にペニスが震え、蹲りたくなる程に全身が期待に打ち震える。
 そして恥ずかしげに姉弟で目を交わすと、弟は後ろをむき、上半身を覆っていたTシャツをもそもそと首から抜きとった。

 この子と…いまから……やっちゃうんだ………

 それを目にしながら、うさぎは肉体の芯が熱くなっていくのを感じていた。幼い弟の、すらりと反った背中や、キュッとしたお尻を見ているだけでゾクゾクと鳥肌が全身を覆ってきて、強く腿を摺り合わせたくなってしまう。

 キュ…キシ…ギュシ…ファサ…バサ……ギシ……

 ぼーっとした熱さを顔に感じながら、うさぎはゆっくりと自分の服を落としていった。スカーフを解き、セーラーから首を抜く。ホックを外してチャックを下ろし、スカートを足元へとぽとりと落とす。そして、あまり飾り気のない特注のブラジャーを丁寧に外してから、N字になった姿勢で手を伸ばし、つま先からパンティを抜き去っていく。

「いい……わよ…進悟」

 恥ずかしげな声を合図に、進悟はおそるおそるといった風に振り向いた。
 そして、息を呑んだ。

「うわ…」

 ソファに横たわる姉の姿は、想像を遙に超えて綺麗だった。だらしない表情と格好ですらあれほどにいやらしかったカラダが、恥ずかしげにはにかむ表情と組み合わさって目の前に現れた途端、とてつもない劣情を少年のカラダに注ぎ込んでいく。

「は、恥ずかしいじゃない…進悟ってば」

 ぶるん。

 弟の視線に耐えられず、思わず身を捩った拍子にその胸がたわわに揺れた。
 とても●学生の持ち物とは思えない、破壊的なボリュームを誇る乳房が二つ。

 ゴキュ。

 生唾を呑み込みながら、進悟はその予想以上の乳の形に目を奪われていた。
 進悟の知っているものとは違う、ボールのような、綺麗で張りのあるおっぱいがそこにあった。それがおっぱい自分の重さで潰れて、楕円形にずれた形で胸の上に乗っている。

「お、お姉ちゃんのおっぱいって、こんな大きかったんだ……ね……ねぇ……いい……?」

 棒を呑んだような表情で硬直する弟にちょっと優越感を感じて、うさぎは弟に優しく微笑んでみせた。

「いいよ」

 ピンク色に紅潮していやらしさを増す肌の色が、興奮にうっすらと汗をかき、振りまくようにあたりに香る肌の匂いが、進悟を虜にし、その箍を外させていく。

「うわっ…気持ちイイ……」

 遠慮がちに触れた途端、掌が得も言われぬ弾力を伝えてきた。反射的に揉み込んでいくと、まるで柔らかいゴムを握っているような、なんともいえない握り具合が進悟の全身に総毛立つような達成感を感じさせる。

「こんなにデカいなんて…それに…乳首もこんなに……」

 ちゅぴっ…

「あああっっ?!あんっ!し、進悟、こらっ」

 おずおずとだったが、その動きは直線的だった。おっぱいを揉まれることにうっとりしそうになっていたうさぎの肉体が、乳首を舐められた事でビクリと波打つ。

「ああ、硬くて、コリコリしてて……んちゅ……はぁ、うさぎの、うさぎの乳首すごく……ちゅぱ…ん、美味しいよぉ……」

 ちゅぴ…れ…ちゅぱ…ちゅぅ…!

「んひゃぁ……!んんっ、うはっ、し、進悟そこっ……あた……しっ…あひっ……んんんっっっ……!!」

 進悟は無我夢中でうさぎのおっぱいにしゃぶりついていた。
 乳首を含み、乳暈も吸い込んで、ひたすらに吸い上げていたかと思うと、両手で根本から乳房を絞り、その頂点で揺れる乳首に噛み付いていく。前歯で、奥歯で甘噛みする度に溢れ出す涎を、今度はおっぱいに塗りつけるように舌の腹全体で猫のように舐めていく。

「ひゃぁ!うひっ?!い、いいいっっ!んんっ……ふう……ふぁぁあっっ!ああっ、あああんんっっっっ!!」

 乳房を掴めるほどは大きくない手でおっぱいを絞る。両脇から挟み込み、持ち上げ、こね回す。乳首を摘み、それを持ってぐりぐりと円を描くように弄び、上から押し潰しながら何度も何度も揉みしだいていく。

「うはひゃぅ…はぁひぃいっっ…うは、ひいいいいっっ!…ああああああ!!」

 彼女にとっては敏感すぎる性感帯である乳房と乳首をいいように弄られている快感に、うさぎは激しくお腹を波打たせながら引きつった喘ぎ声を上げ続けていた。
 こね回され、吸い上げられる度に痙攣するかのような悦びがつま先までを満たし、腰の奥からとめどなくぬるみがこぼれ出していくのが感じられる。激しい悶えに呼応して、身体中に珠の汗が噴き出し、不快ではないぬるつきが全身を覆っていくのが判る。

 くちゅ、くちゃ、ぐにっ、ぬちゅっ…

 いまや進悟はその豊満な乳房に顔を埋め、蜥蜴のように身を捩りながらその胸を、腹を、太ももをうさぎの肉体に擦り付けるように擦り付けていた。
 二人の肉体からいくらでも噴き出す熱い汗が、ぬちゃぬちゃとべたつく音を立てて耳と肌を愛撫していく。熱い寧泥にまみれるような汚さといやらしさに包み込まれ、吐息が、そして絡みつく動きがどんどんと加熱していく。

「ね、ねぇ、お、オレもう我慢できないよぉっ……」

 喘ぎながら、揉みしだきながら進悟が乳房の間で懇願した。小さく赤い舌で乳房の間を這いずりまわりながら、顔を押し潰すように両脇から乳房を挟み込んだ姿のままで。

「お姉ちゃん、おねえちゃん、入れ、いれさせて、ねぇ、入れさせてぇぇええっっ!!」

 そしてなにより進悟は自分の腰を、うさぎの太ももに突き刺すように擦り付けていた。

「え、だ、だめよぉ、そんな、そんな事したら赤ちゃんできちゃうよぉ…」
「だって、だって俺…おねえちゃんやらしいんだもん、おっぱい、おっぱいやらしいんだもんっっ!!」

 いつもの生意気さが消え去った口調で、進悟はただただ甘えた声でだだをこねていく。腰をくねくねと動かし、熱く膨らんだ生殖器を柔らかい姉のお腹へと押しつけ、ねじり込むように捏ねまわしていく。

 くちゅ…ぬちゅ…ちゃ…くちゃ…

 あ、お腹の上におチンチンがある…はぁ、すっごく熱くてぇ…硬くてぇ…ぬるぬるでぇ…進悟のぉ…おチンチン…すっごぉぃ……

 その答えとは逆に、うさぎの頭の中はもうトロトロに蕩けていた。進悟の行う、執拗で、そして精一杯の乳房への愛撫に心がぬるみ、ストレートにセックスを求める表現に股間が熱くぬかるんでいた。

 い、いいよね…だって、気持ちイイもんね……わたしの…

「ね、ね、じゃ、約束する…?…ね、イクときは、抜いて出すって。出す時は、お腹でも、おっぱいでも…お顔でもいいから、外に出すって…」

 今となってはうさぎにとっても、我慢できないのは進悟と同じだった。
 愛する男にその身を捧げ、一度女になってしまった肉体。特段男の肉の味を覚えたわけではないが、しかし一度火のついた疼きを捨てるには、その悦びを経験しすぎていた。
 それに───あまりに長い間放っておかれた辛さがそれを助長している。オナニーでは消しきれない、満たされる悦びを求める牝の本能がうさぎの、●学生の心を千々に乱れさせていく。

 外に出せば、赤ちゃんできないもん───おぼろげで怪しげな知識が、うさぎの心に妥協点を与えていた。

「うん、うんっ!」

 首をガクガクと縦に振りながら、進悟は満面に悦びの表情を浮かべた。
 そのあまりの純粋さに、うさぎの顔が一層真っ赤に染まっていく。

「じゃ…来て」

 ソファの上でうさぎの両脚が大きく開かれた。
 
 
 
 
 

 パッパンパパッパンッ!

「しっ、進悟ぉ!あ、んたのっ、あんたの凄いひっ、よぉおっっっ!!!」

 進悟のペニスがうさぎの膣の中をとんでもない速さで突き抉っていた。
 腰がピストンのように前後し、言葉が寸断される程の勢いでうさぎの肉体を揺らしていく。

「わたし、わたしわけわかんなくなっちゃうよぉぉおおおっっっっ!!」
「うさぎぃ!うさぎっ!バカうさぎっっっっ!!!」

 いつもの蔑むような調子ではなく、何かに必死にしがみつくような声で進悟は姉の名を連呼していた。汗だくになる程の動きで腰を前後させ、自分の精子を注ぐ筒を姉の穴の奥深くまで打ち抜くように突き入れる。

「進悟、しんごっ、しんごぉぉおおっっっっ!!!」

 進悟の腰の突き上げに合わせて、うさぎの腰が浮き上がる。革張りのソファがキュッキュと軋み、二人の汗にまみれてぶちゅぶちゅと音を立てる。

「うひっ!ああっ!お、おっぱいっ!ひゃぁ!ああ!うあぁぁああっっ!!!」

 乳房にしがみつくように指がめり込んでいた。
 大きく、形のいいおっぱいが無造作に、そして強引に変形させられながら進悟の動きの支えになり、うさぎが痛みと悦びに身体が波打つのに合わせるかのように膣が抉られ、さらに全身を波打たせていく。

 進悟のおチンチン凄いっ!!ああ、どんどん膣に入ってくるぅ!おチンチンだけじゃなくって、おチンチンの玉まで突っ込まれちゃうみたいにぃぃいいっっっ!!

 股間から注がれる肉の悦びに頭を打ち振りながら、うさぎは哭き喘いでいた。
 瞳が濡れたように潤み、だらしなく開いた口からとめどなく涎が垂れ滴る。
 激しい、ただ貪るだけのセックスに、うさぎの肉体が蕩け崩れていた。

「もっとぉっっ!もっと突いて、おチンチン突いてぇぇへえぇえっっっ!!進悟の、進悟の勃起おチンチン、わたしのオマンコに、全部入れてぇぇへぇぇええええっっっっ!!!」

「うはぁ!あぅ、こぅ?ああっ!こ……うぁ、う、うさぎのオマンコオマンコいやらしいよ!オレのチンチン全部呑み込んで、吸い込んでっぇぇっっっ!!」

「凄いの、凄いの、進悟のおチンチン凄いのっ!あたし、あたしいやぁ!イッちゃう、うひっ?!あ、あひっ!じゅぶじゅぶっって、うは、あひああああっっっっっ!!!」

 弟のペニスに思うまま貫かれながら、姉の膣にいいように扱きぬかれながら、いまやただひたすらにセックスを貪り合う姉と弟は、全身を濡れそぼらせながらソファの上で悶え、喘ぎ合う。

「あぅ、イク、イッちゃうよ、オレ、オレ!」
「あ、だ、ダメよぉ、進悟、そと、いやん、ぁあ凄いぃっ!ダメ、だめよ、うはぁ?!そ、外にっ……ひぃいいっっ!!」

 外っ!そとっ!
 うさぎは僅かに残った頭でうわごとのようにそれを繰り返した。

「で、でもイクんでしょ、お姉ちゃん、イクんでしょ!」
「う、あひっ!ひっ、いっ、イク、うっ!あはっ!ああっ!あぃっ!!」

 ずぽっ!ぱんっ!じゅぱっ!じゅっ!ぱっ!ぱんっ!

「うひっ?!ひっ!いや、やぁあっ!あああっ!あおおっ!おはっ!は、はひぃいいっっ!!」

 うさぎの全身がおこりのように震え、甲高い声が一層高く、裏返っていく。進悟はそんな声に耳からも悦びを感じながら、股間に駆け上がってくる衝動に意識を集中させていく。

「い、イキそう…オレ…オレ……!!」
「いっ……いひ……ああああああああああああっっっっっっっっっっっっ!!!」

 ビクンビクンビクン!!!

「うあああああっっっっ!!」

 その瞬間、進悟の腰が跳ねた。絶頂の締め付けに絞り出されるように、全身が引きつったように硬直し、そして───

 びゅくぅっ!びゅくんっ!どびゅぅぅっっっ!

「うはっ!ひっ!おあ、あぅ、お、ほっ…ああっ……!!!」

 次の瞬間、進悟はその股間から姉の股間へと思うさまに注ぎこんでいた。

「うっ!んあぁっっ!ば、バカうさぎに射精して…るっ!!」
「ちょ……!進悟ぉ?!!!!」

 びゅぶっ!どくんっ!どびゅるっ!!

 股間に迸る堰が切れたような勢いの射精。絶頂に恍惚と溶け崩れていたうさぎが、予期していなかった刺激に反射的に我に返り、驚愕の声を上げる。

「な、中はダメって言ったでしょ!?ああ、いやぁぁぁぁ………!!」

 だが、当然のようにうさぎの叫びなどおかまいなしだった。
 思考の驚愕と肉体の悦楽に首を振るしかない姉に対して、進悟は後ろ手に自分を支えながら股間を密着させていく。一番深く挿入し、子宮に1ミリでも近い所で精子を注ぎ込もうという本能に従って射精を続けていく。
 根本まで突き込まれた亀頭の先から、膣の奥へ奥へと熱い精液が激しく注がれていく。

 びゅるっ!びゅぶぅっ!ぶびゅ!びゅるるっっ!!

 すごい、すごいや、ち、チンチンチンチン吸い込まれちゃう!!
 精液が、オマンコの奥に精液がじゅるじゅる吸われてるっ!!

「うはぁ……ひっ……お、オレ、おねえちゃんを妊娠させてるんだぁ……精液いっぱい射精して…オマンコ妊娠させてるんだぁ………」
「いやぁあ……進悟の精子が入ってくる……弟の精子が………ひぃっっ……!!」

 しゃ、射精されてるよぉ!
 し、進悟の精子、弟の精子、ドロドロの、熱くってネバネバの子供の精子があたしのオマンコの中に、あたしの子宮の中にドバドバぁっってへえぇぇっっっっ!!!!

 うさぎは絶頂の直後で敏感になりすぎた感覚で弟の射精に翻弄されていた。そして精を受け止める女としての悦びと、騙されて射精される事に対する嫌悪と怒りに心をないまぜにされながら、尻の奥に、とてつもない何か、痒みと疼きが入り混じったかのような何かが外から入り込んでくる感覚に総毛立っていた。

「い、いやっ!ひぅ…な、なにこれっ…うひっ!ああ、うぁあっ!あああっっ!!」

 普段の悦びとは違う、暴れだし、悶え狂いたくなるような感覚。肉体のどこかにある芯を容赦なく捩られるような、蹲ってのたうちまわりたくなる堪えようのない感触。
 それは背徳の悦びだった。弟に犯され、弟に射精され、弟に妊娠させられる恐怖とスリルが呼び起こす至高の快楽だった。

「凄い、凄いよっ!うさぎのオマンコ、ママのオマンコよりキュッキュッって締まって……どんどん射精しちゃう!オレのチンチンどんどん射精しちゃうっ!!気持ちイイっっっっ!!!」

どぶっ!ぶびゅぅっ!ばしゃっ!びゅるばしゃっ!!

「ひっ!ま、まだでてっ…うあぁっ!!……ママ?ママってあんたひょっとしてママを妊娠させたのもあんたなの?ああんもぅ信じらんないよぉぉおおっっ!!!」

 ママも───ゾクリ、と肉体に疼きが走る。熱く満たされた膣になにか漏らしたようなぬるみが被さっていく。

「ママは悦んでくれたよっ!もっと、もっと射精させてくれたよっ…うはぁ!…まだ出るよっ、まだ射精するよぉっ!おねえちゃんの子宮の中に射精するよぉぉっっ!!オレのっ、オレの精液でお姉ちゃん妊娠させてるよぉぉぉっっ!!!」



 妊娠、ママとおんなじ精子で、わたしも妊娠しちゃうのぉぉっっっ??!!!
 このまんまじゃ、このまんまじゃマモちゃん以外の精子でちびうさを妊娠しちゃうぅ!

「まだ入ってくるぅっ!進悟の、進悟の精子がわたしのオマンコにドビュドビュってぇぇっっっ!!」







 ───いや、そんなのいやぁ…誰か、誰か助けてぇ……!!


























「プリンセス…プリンセス……!」
「何よぅ!いや、いやなのぉ!マモちゃん、マモちゃん助けてぇぇっっ!!」

「プリンセス!!!」
「へ……?あ、刹那さ……プルート……?」

 泣き顔を腫らしながら、うさぎは大音声に耳を殴られたように覚醒していた。

「え…ここ、どこ?」

 どう言えばいいのだろう。何も見えない闇の中に、うさぎは立っていた。しかも、服を着ていた。ついいままで裸だったはずなのに、見慣れた制服でもなく、戦闘服ですらない。それは水晶の力を解放する時のコスチューム。即ち、王女の正装を。
 目の前には、跪いて頭を垂れる闇翠色のセーラー戦士がいた。右手に長い杖を持つ、時の番人。褐色の美戦士、セーラープルート。
 そして、二人の足下の、さらに下に、繋がったままのうさぎと進悟が、受精の体勢のままで凍り付くように止まっていた。

「はい、プリンセス。あなたのルナに連絡を受けました。勝手とは存じますが、今、時を止めさせて戴いております。おそらくはまだ受精はされていない筈です。今なら、命が生まれるまえに浄化をかける事が可能ですが」

 先ほどの声はどこへやら、闇のように静かに、プルートは俯いたままでそう話しかける。

「命……?」
「はい……プリンセスの地上での弟君との受精という事です」
「あ、そ、そっか」

 受精───いきなり恥ずかしくなって、うさぎは顔を真っ赤にした。そうだ、いまさっきまで、自分は進悟に射精されてたんだっけ。でも、それが……浄化?

「で、なに、浄化するって?」
「かつて月の王国で行われていた妊娠回避システムです。地球に育まれた命を絶つ事はできないとされている我々ですが、それを未然に防ぐ装置は既に」

 小難しい話は苦手だった。でも、なんとなくわかる。

 それは女だけの王国ならではのシステム。
 かつて地球と交流を始めた時にはすでに運用が開始されていた非生産的な冒涜の技。

「じゃ、じゃぁ、それすれば、ちびうさのパパがこいつになる事はないのね?!」
「はい」

 ちびうさ───その瞬間、プルートの声が殺気すら帯びて低くなった。

「スモールレディの父君はエンディミオン様以外にはあらせられません。プリンセス、それは当然の事です」

 スモールレディ。その単語だけ、怨念すら感じられる程の想いがこもった声で二人の間を渡った。
 うさぎはその声に何か怖いものを感じて、思わず身を震わせる。

「え、えっと、その浄化ってどうやるの?」

 

「よろしければわたくしが」
「ん、じゃ、その、お願い」

 そう言ってうさぎは目を閉じた。口をつぐみ、眉に皺をよせる。

『痛いのかなぁ?苦いのかなぁ?長いのかなぁ?だったらいやだなぁ』
「あ、あの、やっぱちょっとストップ!」

 言ったはいいが、やっぱり怖い。
 うさぎは両手をふって、慌ててその行為を制止しようとした。だが、目を開けた時には、プルートの杖が軽くそのお腹に触れた後だった。

「プリンセス、動かないで……もう、終わりました。安全です」
「え?そうなの?!」

 きょとんと、うさぎは目をしばたたかせた。
 お腹のあたりをさすり、首を捻ってみる。

「はい。完全です。プリンセスの膣内及び子宮内の全ての精子は死に絶えました。この媾合によって生命が生まれ出る事はありません」

 事務的な口調で、生命への冒涜的な事実が語られた。それを紡ぐプルートの表情が、常の無表情とは違う一種痛々しい雰囲気を纏っている程に重い事実だった。
 だが、その直後、後ろ暗い雰囲気を吹き飛ばすような、明るい声が響いた。

「ほんとに?マジでマジで?これで妊娠、しないの?!」
「え、ええ」

 気圧されるように、プルートの声が揺れる。

「そっか、妊娠しないのかぁ」

 とんでもなく嬉しそうな声だった。

「ねぇ、あのさ、ぷるーと、お願いがあるんだけどさ……」
「はい?なんでしょうか、プリンセス?」

 なんとなく不審なものを感じ取りつつ、プルートは丁寧に応じた。
 王女に、女王に忠実である事こそ戦士の努めなのだから。

「マモちゃんには内緒ね」
「ええ、もちろんですわ」

 そう応えた瞬間、にんまりと、うさぎの顔が崩れた。

「よかったぁ。さすがプルートよね、何にも言わないでも頷いてくれるなんて、凄い!」
「え…あ、あの、プリンセス?」

 いまやうさぎは自然とプリンセスの立場に口調を変えていた。
 自由で、奔放で、傲慢で、無理難題を戦士達に押し付けては喜んでいた無邪気なプリンセスの頃の口調に。

「もう一回するからさ、そんときもしてね!」
「………は?」

 プルートの目が点になる。
 思わず杖を取り落としそうになり、慌ててきつく握りしめてしまう。

「んとね、進悟のね、すっごく気持ちいいの。もちろんマモちゃんのが一番なんだけど、なんだか最近、マモちゃんあたしの事さけてるから、ずっとしてなくて」
「は、はぁ…」
「あの進悟があんなに凄いなんて思わなかったから〜、ダメ、考えただけで我慢できなくなっちゃう!」
「ちょ、ちょっと」
「凄いのよ、あの皮かむったおチンチンから、ぴゅーびゅーって精液出る時。まもちゃんみたいに子宮のお口までは届かないんだけど、勢いは同じくらい、ううん、もっと強いから、びちゃびちゃ子宮口叩かれちゃってさ〜」
「え、ええ」
「うん。だからよろしくね。愛してるからね、プルート☆」

 いきなり、そして自然にうさぎはプルートの額にキスをした。そして胸元のペンダントを軽く手で撫でる。

「あ……」

 遠くでプルートの驚きの声が聞こえ……そしてうさぎは天井を見ている自分に気付いた。
 時が、また動き始める。

















「うは…まだ射精してる……凄い…進悟の精液……いっぱぁいわたしの子宮にどぷどぷぅ………」

 いまやとめどなく注ぎ込まれる精液の勢いに流されるままに、うさぎの心は流されていた。全身を包み込む初めての悦楽に、熱い喘ぎだけが迸っていく。

「う、うはぁ……」

 虚ろな目で射精の快楽に溺れる弟の下で、その姉は安堵と悦楽に身悶えしながら喜悦の涙を垂れ流していく。
 焦点の合わない潤んだ瞳で何処かを見つめながら、力の抜けた全身に染み渡ってくる弟の精子の感触に蕩けきっていく。

「お、おねえちゃ…ん……うは……抜かないで、もう一回……いい?」




 腰がぬちゃりと浮いた。それが答えだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



 さてさて、どうでしたでしょうかね(笑)。1本の作品でまとめるには、これくらいはヲチ付けておかないと寝覚めが悪いです(苦笑)。
 じゃぁなんでもう一つの方にヲチが無いのか、という事を言えば、要するにそういう事です(ってどういうことだよ)。まだヲチてないわけですよ(含笑)、あっちは。

 ちなみにフォントはFAぽぽる推奨です。一応あかるいSSSはこっちでいこうという形で考えつつありますね。

 しかし、セラムンSSS(つうかUSS専用寄贈SSS(笑))、書いてて愉しいです。自分がこのさき自発的に書いていくであろう作品群では明らかに使う事のないシチュエーションが満載なので、出し惜しみの必要がほとんど無いっていうのが凄くイイのです。一作入魂、全力傾注って感じ。
 事実前提の妊娠という背徳。正しい意味での近親相姦。妊婦との媾合、etc。自分の限界を拡げていく感じがして、未踏の領域を踏みしめる感じがして、素人の手探りだっていうのにこゆの受け容れて下さるひんでんさんには足向けて寝れません。ただひたすらに感謝。

 ちなみにこれ、他の作品だと「あ、この描写は次にとっとこう」とか、「この尻シチュはあれで使うんだからここは我慢我慢」とか、結構難しい事いっぱいだったりするのですよ(爆笑)。特に星界なんか酷いのよ?あれストーリー物だから段階踏んで濃くしないと最後まで使い続けてはもらえんだろうという大前提があるんで、キャラが使ってる単語にすら裏では意味があったりね。表現描写を抑えてる部分なんか、正直フラストレーション溜めながらだったり(苦笑)。だからって1年半ほったらかしってのもまずすぎると思うけどさ(死)。