NHK受信料未払い訴訟:ホテル3社に7億3600万円請求 「全室分」支払い求め、業界に波紋

毎日新聞 2012年11月16日 東京夕刊

 受信料を10月から値下げしたNHKが、ホテル事業者3社を相手に「全室分」の受信料計7億3600万円の支払いを求めた訴訟が、東京地裁で係争中だ。各室にテレビがあるホテルや病院の支払額は交渉で決められることが多く、裁判に至るのは初めて。NHKは全室分の一律徴収を広げていく考えで、業界内にはさらに波紋が広がりそうだ。

 放送法は「受信設備を設置したら契約をしなければならない」としか定めていない。そのためNHKは受信料徴収を規約で、一般家庭は「世帯ごと」、ホテルや病院など事業所は「部屋単位」としている。09年からは2件目以降の受信料を半額にし、事業所にテレビをリースする業者向けの団体割引なども導入した上で、全室分の支払いを求めてきた。

 213社が加盟する「全日本シティホテル連盟」によると、加盟社を対象とする団体割引を利用して全室分を支払っているのは約半数。それ以外の個別契約の実態は不明という。

 NHKに訴えられた3社のうち、約5億5000万円の支払いを求められている「東横イン」(全国約4万室)は、業界団体に非加盟。従来は交渉で支払額を決めてきたといい、昨年10月からの1年間については全客室の約25%分、2億3600万円を支払った。しかし今年分から唐突に全室分を要求されたという。

 同社代理人の石川達紘弁護士は「部屋の稼働率は50〜80%で、NHKの視聴者も限られる。実態に即した柔軟な対応をしてほしい」と反論する。

 NHKの強硬姿勢の背景には、04年ごろから相次いだ職員の不祥事による受信料収入の大幅減がある。05年以降、「受信料の公平負担」を掲げて営業活動を強化し、不払い世帯を相手取り次々に提訴。ホテルを対象とする訴訟も、その一環だ。

 NHK幹部は「業界全体に全室支払いを波及させるため、今後もこうした訴えを起こすことは十分考えられる」と話す。【土屋渓】

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