初代の誕生から30年を迎えようとする、歴史シミュレーションゲームの金字塔「信長の野望」シリーズ。多彩なハードで歴史を積み上げてきた同シリーズの最新作『信長の野望・天道 with パワーアップキット』(以下『天道』)がPlayStation® Vitaに登場。奥深い戦略性と携帯ゲーム機ならではの要素を詰め込んだ本作の魅力を徹底チェック!
「信長の野望」の舞台は、戦国大名が火花を散らした日本の戦国時代。プレイヤーが戦国大名のひとりとなり、内政により国力を高め、他国との合戦を通じて領土を広げながら、全国統一を目指すというのがゲームの目標となる。シリーズ13作目となる『天道』では、継ぎ目のない地図として再現されたマップ上で配下の武将たちを指揮し、領地を広げていく1枚マップ制のシステムが採用されている。
勢力を広げるうえでポイントになるのは“道”。全国に散らばる町などの集落と、自勢力の城を街道でつなげることで支配下に置くユニークな国盗りの攻防が本作ならではの戦略性を生み出している。お気に入りの戦国武将たちを従え、全国に覇の道を広げるのだ!
PS3®版をベースに開発されたPS Vita版だが、PS3®版のグラフィックをそのままのスケールで落とし込んだ映像に加え、ハードの特性を生かしたさまざまな新要素で、より遊びやすく、楽しめるよう進化を遂げている。画面タッチ操作によるマップ移動や部隊の呼び出しはまさにその進化のひとつ。広大な日本列島のあらゆる地域に一瞬で移動し、指示が行える快適さはほかのハードにはない要素だ。さらに各種のデータ交換や“near”による武将の武者修行システムなど、3G通信にも対応したネットワーク機能も見逃せない!
『天道』の前にはPS Vitaのロンチソフトの『真・三國無双NEXT』も手掛けている古澤ディレクター。シリーズ最新作の魅力と、PS Vitaならではの機能がゲームにどう生かされているかを中心にお話をうかがった。
──シリーズ13作目となる『天道』ですが、まず本作自体の特長を教えてください。
「タイトルに『天道』とついているとおり、本作では道が戦略上で大きなテーマになっています。城から道をつないで集落を支配する領土の広げ方もそうですし、戦闘でも敵の城まで道をつなぐことで部隊の移動時間を短縮したり、逆に道を壊して敵の進軍を阻んだりと内政、外交、合戦、すべてに道作りが密接に関わるのがシステムの特徴ですね。内容面でもパワーアップキットが一緒に入ったことで、さまざまなシチュエーションのシナリオが26も用意され、「文化」というさらに戦略性を深める概念も導入されました。ボリューム面も含め『天道』の決定版といえる内容です」
──その『天道』がPS Vitaでどう進化したのでしょう?
「ほかと大きく違うのは、タッチ操作と通信を使った要素です。タッチ操作については前面と背面、両方に機能を割り当ててマップ上の視点を動かしたりといった操作に対応させています。通信については“near”での武者修行、エディットデータの交換が3G通信も含めて利用できるようになっています。開発に際してはベースとなったPS3®版のクオリティをどれだけ再現できるかが焦点だったのですが、グラフィック面をはじめハードの性能にも助けられて、PS3®版に負けない物ができたと思います」
コーエーテクモゲームス
古澤正紀
コーエーテクモの看板タイトル『真・三國無双』シリーズの開発に長年携わる。PS Vita用タイトルでは昨年発売された『真・三國無双 NEXT』でリードプログラマーを担当。PS Vita版『信長の野望・天道 with パワーアップキット』ではディレクターを務める。
──本作を制作されてみて、歴史シミュレーションとPS Vitaの相性はどうでした?
「「信長の野望」「三國志」をはじめ、弊社の歴史シミュレーションは画面内の情報量が非常に多いので、携帯ゲーム機で実現するのは大変なんです。でもPS Vitaは画面が大きいですし、解像度も高いのでフォントの大きさにもこだわりながら、PS3®とほぼ同スケールでマップを再現できました。あのサイ ズでどこにでも持ち歩いて遊べる点は、長い時間繰り返し遊ぶ歴史シミュレーションと相性がいいと思いますし、3G通信でいつでもインターネットに接続できるという点も、新しい楽しみをプラスするために役立ちます。両者の親和性はかなり高いと思いますね」
──通信機能を使った新要素がふたつ加えられていますが、こちらのコンセプトは?
「先ほどあげた“near”武者修行とエディットデータ交換ですね。前者はお気に入りの武将を“near”経由でほかのプレイヤーにギフトアイテムとして送り、一定期間が経つと成長して戻ってくるもの、後者は武将、家宝、AIデータといったプレイヤーが作成したオリジナルのデータを交換できるという機能です。コンセプトとしてはプレイヤー同士でインターネットを介して活発に交流してもらうことが目的で、どちらもいわゆる非同期型の通信要素です。武者修行に関しては最初、実際に送り出した武将が居なくなるということも考えたんですが、どんどん通信をして楽しんでもらおうということで、最終的に使えば使うほどお得な、デメリットがまったくない形になりました」
──それぞれどちらも3G通信対応ですね。
「Wi-Fiと3G通信のどちらでもひとしく遊んでもらえるようになっていますが、3G通信で使用するメリットを挙げるなら、どこかに出かけたときや通勤・通学時に近くにいる人とのやりとりを即時的に楽しめるという点になります。ちょっと遠出をしたとき、たとえば九州に行ったときに通信をしてみたら、島津家の武将が武者修行にたくさん出されていたとか、オリジナル武将でも島津なんとかさんがたくさん配信されていたとか、そういったケースもあるんじゃないかと……。もちろんこうしたことは家に帰ってからWi-Fiで接続しても確認できるんですが、その場で「なるほど!」と思えると、またちょっと異なる楽しさというか、喜びがあると思います」
──地域ごとにその地方の大名のAIデータが見つかったりしたら楽しいですね。
「長野や山梨に行ったら、騎馬隊がすごく強い武田家用のAIが見つかったとか、そういったことがあると面白いでしょうね。ゲーム側で特に制限はないのでそこはプレイヤー次第ですが、地元に根ざしたプレイにこだわるというのも「信長の野望」のひとつの楽しみですし、そうした遊び方をしていただけると制作側としてもうれしいです。AIエディタでは本当にいろいろな設定が試せますから、データ交換で手に入れたAIを使って、どんなAIが全国制覇するかを競わせるのも楽しいですよ」
──最後になりますが、記事をご覧のみなさんにアピールをお願いします。
「ゲームは発売中ということで、すでに遊んでいただいているプレイヤーの方はPS Vita版ならではの通信機能を積極的に使っていただけるとうれしいです。エディットデータに関しては僕ら開発側もチェックして楽しませていただいていますし、開発スタッフがこっそり作ったデータも混じっているかも……。デメリットはないので、いろいろな場所でどんどんつないで、楽しんでいただきたいですね。
また、この手のゲームに慣れていない方は歴史シミュレーションと聞くと「難しそう」とか「めんどくさそう」と思う方もいらっしゃると思いますが、本作ではそうした人も遊び方、楽しみ方がきちんとわかるように力を入れたチュートリアルを用意しています。プレイ時間に関しても、地域を限定した「群雄覇権モード」なら1~3時間ぐらいでクリアできるシナリオが複数ありますし、まずはここから歴史シミュレーションの面白さを体験していただければ。いろいろな機能と圧倒的ボリュームを盛り込んだ本作には、歴史やさまざまな伝承を元にしたイベントのコレクション、最強AIの研究、ごひいきの武将をひたすら成長させる育成など、幅の広い楽しさを入れこんでいます。ぜひ手にとっていただいて、奥深さを感じてもらえればと思います」
発売日:発売中(9月27日発売)
プレイ人数:1人(ネットワーク機能搭載)
価格:7,140円(PS Vitaカード版)
6,090円(ダウンロード版)
ジャンル:歴史シミュレーション
メーカー:コーエーテクモゲームス
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