2012年度予算の執行に欠かせない赤字国債発行法が成立した。13~15年度については予算案が成立すれば、赤字国債を自動的に発行できるようになった。
衆参両院の多数派が異なる「ねじれ国会」の下で、予算の執行に支障が生じないようにするための工夫である。しかし野放図な借金が許されるわけではない。
予算案の議決は衆院の優越が認められるが、財源の一部を賄う赤字国債法案にはその規定がない。昨年以降は野党が与党を追い込む「人質」として利用し、成立が大幅に遅れる事態を招いた。
今年は野田佳彦首相に衆院解散を迫る手段と化し、地方交付税の支払いなどを先送りせざるを得なくなった。国民の生活にも影響を与えかねなかっただけに、法律の成立をひとまず歓迎したい。
12月16日投開票の総選挙後にどんな政権が誕生しても、赤字国債に頼らなければ予算を組めないのが実情だろう。ねじれ国会を解消するめども立たない以上、赤字国債を自動的に発行できるルールを導入したのはやむを得まい。
心配なのは財政規律が緩まないかどうかだ。財政法は公共事業などの財源に充てる建設国債の発行だけを認めている。社会保障などの財源を穴埋めする赤字国債は特例措置にすぎない。そこにたがをはめるために赤字国債法案を毎年提出してきた経緯がある。
第1次石油危機後の1975年度から本格的に発行した赤字国債の活用は常態化し、12年度予算では38兆円に達した。一般会計の歳入総額の4割を超える規模だ。新たなルールの導入が赤字国債をこれ以上膨らませるのでは困る。
日本は財政再建の努力が決定的に足りなかった。その結果が赤字国債の膨張である。新たなルールへの道を開いた民主、自民、公明3党は、財政規律の維持に責任を果たすべきだ。赤字国債を減らす不断の努力を求めたい。
14年度からの消費増税は財政再建の一歩にすぎない。社会保障などの歳出抑制や経済成長を通じた税収の底上げも含め、健全化の取り組みを続ける必要がある。今回の措置が将来に禍根を残さぬよう注意しなければならない。
赤字国債の発行を抑えるために、予算や決算の監視も強化すべきだ。景気情勢への配慮はもちろん欠かせないが、財政赤字を効果的に削減する新たなルールづくりを考えてもいいのではないか。
野田佳彦、赤字国債、ねじれ国会
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