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第32回全国豊かな海づくり大会で来県する天皇皇后両陛下や要人らの警護に向けて、全国から警察官の沖縄入りが本格化している。期間中、県警を含めた警備態勢は約3千人を予定。天皇ご夫妻や要人が17~20日にかけて大会会場の糸満市や視察先の恩納村、久米島町に足を運ぶため、広範囲にわたり厳重な警戒態勢が続き、県内は物々しい空気に包まれそうだ。
ご夫妻の来県は2004年の国立劇場おきなわの開場以来。天皇陛下自身は皇太子時代を含めて9回目になる。県警は約1年前から新たに「警衛対策課」を設置し、警護方法や会場周辺の安全を確認してきた。
14日は警護を応援するため、那覇港には九州から機動隊の車両など約40台と250人余の警官が到着した。今後、幹線道路で検問するほか、会場周辺やご夫妻が訪れる万座毛などで厳重に警備するという。期間中、会場周辺や沖縄自動車道などで一時通行止めなど交通を規制する。
一方、周辺海域では第11管区海上保安本部が巡視船を出して警備。テロを警戒して船舶の盗難に注意を呼び掛けているほか、万座毛や久米島の周辺を警戒海域に設定。停船を求めるほか、立ち入り検査も実施するという。
万座毛周辺の海で営業している恩納村内のダイビングショップ店員は「そんなに厳しい警戒があるとは知らなかった。当日も予約客がいる。行き先の変更も考えなくては」と対応に頭を悩ませていた。ご夫妻が立ち寄る予定の糸満市内のスポーツ施設は16日から休業に入る。職員は「片付けや清掃などはこれからです」と忙しそうに話した。
久米島町、旗5000本購入
「過大支出」指摘も
天皇皇后両陛下を初めて迎える久米島町は、町予算で日の丸の小旗5千本を買った。当日の20日は、沿道36カ所での歓迎を呼び掛けている。町人口は約8500人で、専門家は「過大な支出の疑いがある」と指摘した。
町は広報誌で「両陛下をお迎えしましょう」と呼び掛け。事務局を務める「奉迎実行委員会」が約400人を集めて総決起大会を開き、区長にチラシを配るなどしてきた。町は「参加は強制ではない。町としては、100年に1度あるかないかの賓客をもてなすのは当然だ」と説明した。
県は、沿道の歓迎を経済団体に依頼している。「自主的に集まった形にするため、半年前から内々に協力を要請した。正式な依頼ではないので、文書も出していない」という。経済団体側は17、18の両日に沿道で数百人を動員し、車列に向かって小旗を振る予定だ。
沖縄大学の仲地博副学長(行政法)は「行政が来賓を歓迎することは問題ないが、天皇制の歴史的経緯から来る拒否反応もあり、意に反する参加がないよう配慮すべきだ」と指摘。「8人に5人分の小旗購入は、公費の使途として妥当性を問われる可能性がある」とした。