小糸製作所は東京工業大学の細野秀雄教授や名古屋大学の沢博教授らと共同で、発光ダイオード(LED)照明に使う新しい蛍光体を開発した。1つの素子で現在のLED照明用よりも広い範囲を照らすことができる。部屋全体を照らす照明に使う場合、LED素子の数を10分の1以下に減らせるという。屋内照明向けに、3~5年後の事業化を目指す。京都市で開かれるディスプレー関連の国際会議「IDW2012」で12月6日に展示する。
現在の白色LEDは、青色LEDが出す光と、青色を蛍光体に当てて黄色にした光を合成して白色に変換している。
青色の光は直進しやすいため、白色LEDの光源を大きくすると、中心部分は明るいが、周辺は青色の光が弱く黄色みがかった色になるなど、バラツキも大きかった。光源は点状の小さなもので発光する部分の面積が狭いという問題があり、素子を数多く配置することで補っている。
新たに開発した蛍光体は紫色の光を高い効率で黄色の光にする。紫色を青色に変える蛍光体と組み合わせることで、効率の高い白色LEDを実現した。ひとつの光源を大きくでき、LED素子の数を10分の1以下に減らせる。
現在、素子の生産コストはLEDの約半分を占めるとされる。「素子を減らせば大幅なコスト削減になる」と蛍光材料を開発した大長(だいちょう)久芳主管は話す。
蛍光体の主成分はシリコンやカルシウムなど地球上にありふれた元素を使っている。イットリウム、ガドリニウムといったレアアース(希土類)が必要だった従来の黄色蛍光体と違い、資源調達のリスクが低いという。
名古屋大が大型放射光施設SPring―8を使って蛍光体の詳しい結晶構造を解析した。蛍光体には発光中心と呼ぶ元素が入っており、今回はユウロピウムを使った。層状化合物であることやユウロピウムが入る場所を突き止めた。その結果、構成する元素の組成比やユウロピウムの添加量を変えて黄色が出る最適な材料を開発できた。
(科学技術部 黒川卓)
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら
LED、細野秀雄、沢博、小糸製作所、名古屋大学
小糸製作所は東京工業大学の細野秀雄教授や名古屋大学の沢博教授らと共同で、発光ダイオード(LED)照明に使う新しい蛍光体を開発した。1つの素子で現在のLED照明用よりも広い範囲を照らすことができる。部…続き (11/18)
世界のソーラーカーレースでもっとも過酷とされる南アフリカ共和国一周レースに挑んだ東海大チームが、このほど3連覇を達成、「実力世界一」の座を固めた。もはや敵なしだが、ソーラーカーの実用化を目指すチーム…続き (10/26)
京都大学iPS細胞研究所の所長を務める山中伸弥教授は、ノーベル生理学・医学賞受賞の報告を受けて首相官邸を訪問する直前に、バイオ業界のイベント「BioJapan2012」(横浜市)で講演。iPS細胞(人工多能性幹細胞)がなぜできるか…続き (10/26)
各種サービスの説明をご覧ください。
・次期政権、敵か味方か 気をもむ東電と日航
・デジタルガレージ、料理写真SNSに出資
・アイシン化工、ブレーキパッドのタイ生産を2倍に 2018年
・JFEテクノス、立体型の車両展示設備~駐車装置を応用
・住友鉱山、電線向け銅素材を増産 スクラップ活用でほぼフル稼働…続き