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年金減額遅れ13年10月から 「もらいすぎ」9.6兆円に
政治の高齢者優遇で現役世代にツケ

2012/11/16 20:36 (2012/11/17 3:30更新)
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 過去の特例措置で、高齢者が本来よりも高い公的年金を受け取っている「もらいすぎ年金」を来年10月から段階的に解消することが決まった。年金減額を盛り込んだ改正国民年金法が16日、成立した。減額の開始は当初の政府案から1年遅れ、年金の過払いは累計で約9.6兆円にのぼる見通しだ。政治が高齢者優遇を続けた結果、現役世代にツケを回した。

 現在の公的年金の支給水準は本来より2.5%高い。減額は3段階で実施する。2013年10月分から1%、14年4月分から1%、さらに15年4月分から0.5%下げて解消する。

 年金は物価が上がれば年金額を上げ、物価が下がれば下げるのが本来のルールだ。もらいすぎ年金は00~02年度に物価が下落していたにもかかわらず、年金額を据え置いたことで生じた。当時の自公政権が高齢者優遇の政策として決め、民主党を含む全会一致で決まった。

 年金財政への影響は深刻だ。00年度から11年度までの累計の過払い給付は約7兆円。税負担では1.7兆円規模となる。今年度から、もらいすぎを解消する15年4月までにさらに約2.6兆円の過払いが発生し、累計9.6兆円に膨らむ。

 過払い解消が遅れたのは政治家の選挙対策が理由だ。年金減額は高齢者の反発を招き、選挙結果に響くとの心理がある。政府が今春に提出した法案では今年10月から年金減額を始める内容だったが、通常国会では成立せず、臨時国会で焦点になったのは開始時期だ。来年4月分からと来年10月分からの案が浮上したが、結局は参院選後の来年10月からに落ち着いた。

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 09年にまとめた公的年金の財政検証では、年金のもらいすぎは11年度までに解消し、12年度から年金額を0.9%抑制する「マクロ経済スライド」を発動する予定になっていた。38年度まで続けることで年金財政を改善する狙いがあった。

 とはいえ、もらいすぎの解消は15年4月と09年時点の想定から4年遅れる。マクロ経済スライドの発動はもらいすぎの解消と物価上昇が条件で、今後少なくとも4年間は発動できない。仮にデフレがその後も続けば、マクロ経済スライドは発動できなくなる。月内に設置される見通しの社会保障制度改革国民会議では「デフレ下でもマクロ経済スライドが発動できる仕組みの検討が必要だ」と西沢和彦・日本総合研究所主任研究員は語る。

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