事実上、天皇直属の宮内庁という強力な機関を動員し「不敬記事」は徹底して取り締まる。講談社は2007年、オーストラリアのメディア関係者が皇太子妃の皇室生活について書いた『プリンセス・マサコ』の日本語版を出版しようとしたが、宮内庁から圧力がかかり、突然出版を中止した。1990年には、ある週刊誌が皇太子の結婚問題を取り上げたところ、宮内庁から事実無根だと抗議された。雑誌の編集長は電撃更迭され、社長は宮内庁を訪れて謝罪した。93年には、『週刊文春』が皇室内部の事情を暴露する記事を掲載し、美智子妃自ら「事実ではない報道で、大きな悲しみと当惑を感じた」と反論、文芸春秋社の社長宅に銃弾が撃ち込まれるという事件も起こった。
日本は英国やオランダのような立憲君主制国家だが、日本と英国・オランダなどの間には厳然たる違いがある。英国では、君主制が必要かどうかを問う世論調査で「王室は必要ない」という回答が過半数を占めたという結果が報じられた。しかし日本では、皇室の存在について是非を問うこと自体、タブー視されている。日本はまだ近代国家ではなく「前近代国家=神の国」だからだ。
こんな国を相手に、練り上げられていない言葉で「謝罪せよ」と要求しても、要求が通るはずがない。李明博(イ・ミョンバク)大統領による「天皇謝罪発言」後、「親韓派」の日本人の怒りの表情や一変した姿を見て「韓日関係いまだ道遠し」という印象を強く受けた。