ガザ情勢緊迫 地上作戦の準備進む11月18日 6時48分
パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍が空爆を強化する一方、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスもロケット弾による攻撃を続ける姿勢を示しており、双方が一歩もひかない構えを見せるなか、イスラエル軍は地上作戦に向けた準備を進めています。
パレスチナ暫定自治区のガザ地区で続く戦闘は17日、4日目に入り、イスラエル軍はこれまでのハマスの軍事施設に加えて内務省などの行政機関に対しても空爆するなど攻撃を強化しています。
一方、ハマスのヌヌ報道官は破壊されたハマスの本部の建物の前で記者会見し、「空爆で建物を壊せてもわれわれの抵抗の意思をくじけさせることはできない」と述べて、ロケット弾による攻撃を続ける姿勢を示しました。
ガザ地区から発射されたロケット弾は4日間で700発を超え、イスラエル最大の商業都市テルアビブ近郊にも3日連続で到達しています。
イスラエル軍はガザ地区との境界の近くに戦車や装甲車などの部隊を集結させるなど、地上作戦に向けた準備を進めています。
地上戦になれば、巻き添えになって犠牲になる民間人が増えるおそれも指摘されています。
懸念される対立の激化
イスラエル軍は今月14日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区でイスラム原理主義組織ハマスの軍事部門のトップ、アフマド・ジャバリ氏が乗った車を空爆してジャバリ氏を殺害するとともにハマスの関連施設を標的に大規模な空爆を始めました。
ガザ地区からは、以前からひんぱんにロケット弾がイスラエルに向けて発射されており、大規模な空爆はこれを食い止めるためだとしています。
ガザ地区からのロケット弾による攻撃は収まるどころか逆に激しさを増し、15日にはイスラエル南部の住宅を直撃して3人が死亡しました。
この日、イスラエル最大の商業都市で人口が密集するテルアビブの近郊にもロケット弾が撃ち込まれイスラエルは予備役の招集に乗り出しました。
16日にはイスラエルの政府機関が集中するエルサレムの近郊にも初めてロケット弾による攻撃が及びました。
17日、イスラエル軍は攻撃の対象を軍事施設から行政機関にも広げ、空爆を強化しました。
ガザ地区から発射されたロケット弾はこれまでに700発を超えました。
双方の攻撃で17日までの4日間にイスラエル側で3人、パレスチナ側で40人が死亡しました。
イスラエル軍はガザ地区との境界付近に戦車などの部隊を集結させて地上作戦への備えを進めており、さらなる対立の激化が懸念されています。
事態見守る国際社会
イスラエルとハマスの戦闘は中東地域全体に影響を及ぼしかねないだけに国際社会は注意深く事態の推移を見守っています。
アメリカはイスラエルの自衛権を支持し、ハマスのロケット弾による攻撃を非難する一方で、双方の市民の犠牲に懸念を示して事態の沈静化に向けて関係各国への働きかけを強めています。
周辺のアラブ諸国はイスラエルを非難する姿勢を強めています。
ムバラク政権の下でイスラエルやアメリカと良好な関係を維持してきたエジプトは、アラブの春と呼ばれる民主化運動を受けて就任したイスラム組織出身のモルシ大統領がイスラエルに抗議して駐在していた大使を召還するとともに、16日にはカンディール首相をガザ地区に派遣して攻撃の手を強めるイスラエルをけん制しました。
17日には同じくアラブの春で政権が交代したチュニジアの外相もガザ地区を訪れてパレスチナとの連帯を強調しました。
一方、国連のパン・ギムン事務総長は近く中東を訪問し、みずから停戦を呼びかける予定で、イスラエルとハマス双方がどう対応するかが注目されます。
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