うたをつぐもの―うたわれるもの・After― (根無草野良)
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~第〇幕・3~ 世相
クンネカムンの動乱から早七年。
戦の疲弊にもたらされた平和は長く続くことはなく、
不穏の火種は着実に芽を現していた。
貧困にあえぐ集落は生き残るために他の村を襲い、
支配する者は隷属する者たちへの搾取を強め、
力を蓄えた国々はさらなる富と国土を求めて他国へと侵攻する。
今や世は、戦国の時代を迎えていた。
強き者だけが生き残り、力なき者は死に潰える時代を。
だがそれは自らの名を上げようとする者達にとっては絶好の機でもある。
エヴェンクルガの若き侍、タイガは戦乱の世を渡り、自らの剣を鍛えていた。