防衛省は東日本大震災の津波で被災した航空自衛隊松島基地(宮城県)のF2戦闘機18機のうち12機について、修理は困難と判断し、処分する方針を決めた。残り6機は購入費よりも高い計約800億円をかけて修理して使う。
防衛省によると、松島基地には約2メートルの津波が押し寄せ、18機のF2すべてが海水につかった。防衛省は修理できるかどうか見極めるため、136億円の予算を投じて分解調査を進めていた。
この結果、12機は被害が大きく、使用を断念。使える部品などは取り出して、別の装備で再利用する。残る6機は修理可能だが、1機につき約130億円の修理費がかかるという。
松島基地のF2は1機あたりの価格が110億円余で、修理費は購入費を上回るが、F2は今年度で生産終了となるため、残る6機は修理して使用することにした。同省は第3次補正予算に機体の修理費に約800億円、エンジンの修理、整備機材の購入などで計約1090億円を要求した。
松島基地のF2が納入されたのは2000〜05年。調達費の総額は約2千億円だった。
松島基地のF2は主にパイロットの教育訓練用に使われている。被災後、防衛省は、隊員の教育訓練を国内の他の基地や米国の基地に振り分ける措置をとっており、今後も続ける方針だ。(渡辺丘)