2012年11月6日に、神奈川県逗子市の自宅で、ライター三好梨絵さん(33)が元交際相手の小堤英統容疑者(40)=東京都世田谷区=に刺殺された事件に関し、11月4日、小堤容疑者は、当方へ三好さんの自宅調査を相談する連絡を入れていた事が確認されました。
結果として、当社は、小堤氏の異様な雰囲気から、依頼を受けるべきではないと判断し、依頼を拒否しました。もちろん殺人を犯す事まで予想できたわけではありませんが、以下転記のメール内容と以下列記の確認事項からして、まともな調査依頼でないと判断させていただきました。
- フリーメールを使用している点
- メールアドレスの@マーク以前が「bitch_shibarie」となっている点
- メールアドレスそのものでネット検索した結果不気味な書き込みが多数ネット上で見つかった点(恩人を捜索する内容とはかけはなれている)
人探しについて見積もりを立てていただきたくご連絡いたしました。
調査して欲しい相手は、私の恩人です。
私が、重度の鬱病を発症して入院した際に、鬱病について無知だった私に鬱病のことを色々と教えてくれたり、親身に相談にのってくれた方です。
幸いにして今では、私も鬱病が寛解して普通の生活を送れるようになりました。
調査して欲しい相手の方のほうが先に退院してしまったので、お礼の手紙をしたためたいと思いこの度は、御社にご連絡させていただきました。
今、私が自殺せずに生きていられるのは、その恩人のおかげだと思っています。
どうしても直接、お礼をしたいので、住所調査を依頼したく、お見積もりをお願いいたします。私の方で把握している恩人の情報としては、氏名、生年月日、出身大学、以前の勤務先、現在のおおよその住所(神奈川県逗子市小坪)、などです。
お手数をおかけいたしますが、見積もりの方をよろしくお願いします。
今回、当社は、ストーカー殺人加害者の幇助を未然に防いだとはいえ、他社が調査依頼を受任し、結果報告したとの報道がありました。
本当に恩人と連絡を取りたいという依頼内容であれば、調査手法に問題さえなければ、ご依頼を断る事ができませんし、また、依頼人に悪意がないなら恩人や知人を探すことも正当な権利でしょう。
以下新聞記事の有識者が語る、DV法と同じく、ストーカー加害者の行動を抑止できる法改正も早急に望まれます。また、されに、ストーカー加害者による被害者への住所調査等を探偵業者が間違って受任してしまう事態の予防の為、警察や裁判所等の行政側によるストーカー加害者の一般公開データベースの設置等も、今後、探偵業界からの要望として、立法者へ陳情していきたいと思っています。
当面は、依頼を受ける前の段階での、メールアドレス等のメディアチェックや、偽名・虚偽住所での依頼でないかどうかの確認等、業者側で自主的にできる防衛対策を強化していくしかないでしょう。因みに、小堤氏は、本名と実住所で依頼申し込みをしてきていましたが、メールアドレスのアカウント部分で馬脚が現れていました。
逗子女性刺殺 送検後、情報把握せず 県警「反省してないとは…」
2012年11月14日 東京新聞 朝刊
神奈川県逗子市の住宅で、ライター三好梨絵さん(33)が元交際相手の小堤英統容疑者(40)=東京都世田谷区=に刺殺されたとみられる事件で、昨年六月に三好さんへの脅迫容疑で小堤容疑者を逮捕した県警が、送検後に容疑者が三好さんに執着する言動を繰り返していたことを把握していなかった。専門家からは「送検後も(警察など捜査機関が裁判内容などの)情報把握に努める必要がある」として、継続的な対応が不足していたとの指摘が上がっている。
逗子署の山口雅見副署長は「容疑者が反省していないことを知っていれば、取る対応は違った」と話す。このため、有罪判決で釈放後、三好さんへ送った千通以上のメールの内容も「面会を強要していない」と判断した。
小堤容疑者は昨年六月、三好さんに包丁の写真を添付したメールを送ったとして、脅迫罪に問われ、同九月に保護観察付き執行猶予の有罪判決を受けた。
裁判で弁護を担当した弁護士は「小堤容疑者の母親と諦めるよう説得したが、容疑者は三好さんを捜すことにこだわっていた」と振り返る。小堤容疑者が「三好さんの住所を特定してほしい」と頼むこともあったが、弁護士が断った。
諸沢英道・常磐大大学院教授(被害者学)は「ストーカー加害者の心情は、現場で被害者を保護する警察が知るべき情報だ」と指摘する。
戒能(かいのう)民江・お茶の水女子大名誉教授(ジェンダー法学)は、「三好さんが一番危険性を認識し、何度も訴えていた。被害者が裁判所に事情を申し立て、裁判所が中立的な立場で加害者の行動を抑止できるDV防止法を参考に、法制度の見直しを検討すべきだ」と提言した。