これほどの混乱を引き起こしておいて、大臣の職にとどまるのはあまりにも無責任ではないか。来春開学予定の札幌保健医療大など3校の開設について田中真紀子文部科学相が審議会の答申を覆し、いったん不認可とした問題だ。
厳しい世論や与野党からの批判を受けて田中氏は不認可を撤回し、9日の記者会見では「心からおわびする」と述べた。
しかし、設置審査のあり方と個々の大学の開設可否を混同して3校を理不尽な状況に巻き込み、受験生まで困らせた責任は重大だ。田中氏は不認可撤回後に「3校は逆にいい宣伝になった」などと言い放ってもいる。ようやく反省や謝罪を口にしたからといって、とても信用できるものではない。
田中氏は小泉内閣の外相当時、人事などをめぐって外務官僚としばしば対立し、無用な混乱を引き起こした。このため任期途中に小泉純一郎首相に更迭された経緯がある。今回の騒動は田中氏が閣僚として不適任であることを改めて浮き彫りにしたといえる。
藤村修官房長官が「大臣として間違ったことをしたとは誰も受け止めていない」などと田中氏を擁護しているのも理解に苦しむ。首相の任命責任を避けるための、開き直りというしかない。
先の改造で初入閣した田中慶秋法相は、過去の暴力団との交際などの不祥事が明るみに出て辞任に追い込まれた。昨年9月に誕生した野田内閣で資質に欠ける閣僚を何人みてきたことだろう。
首相は自らの任命責任を認め、田中氏が自発的に辞任しないなら罷免すべきだ。それが任命権者として果たすべき責任である。
今回の騒動をめぐっては、大学設置審査のあり方や大学の数と質をめぐる問題に注目が集まることになった。文科省は検討会議をつくって見直しを進めるというが、騒ぎに便乗するかたちで、むやみに規制強化に走ったり官僚統制を強めたりしてはならない。拙速を避け、高等教育全体の将来像を見据えた改革策を練るべきだ。
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