12184934天才と狂人は紙一重とよく言われますが、本当なのでしょうか?ノーベル賞で有名な、スウェーデン・カロリンスカ研究所のSimon Kyaga氏らが、10月9日付けでJournal of Psychiatric Researchオンライン版に発表した論文によると、天才になくてはならない創造性と精神障害には有意な相関があるようです。

 

Kyaga氏らは、昨年、芸術家や科学者など創造的な職業に就く人は、本人かその親族に、双極性障害や総合失調症の病歴をもつことが多いことを報告しました。そして今回の論文では、病歴を、総合失調性感情障害、うつ、不安症候群、アルコール依存症、薬物依存症、自閉症、注意欠陥過活動性障害、神経性無食欲症、自殺にまで広げ、さらに入院患者ばかりではなく通院患者を含めた患者とその又従兄弟までの親族、総勢約120万人(前回は、30万人)を対象に、前回の追試験を行ったのです。

 

その結果、双極性障害以外の病歴と、ダンサー、研究者、写真家、作家といった創造性を必要とされる職業との相関は認められませんでした。逆に言えば、双極性障害との関連は、再度確認されたことになります。一方で、職業を作家に限定した場合、本人かその親族が、総合失調症、双極性障害、うつ、不安症候群、薬物依存症といった病歴をもつ場合が有意に多く、また平均の1.5倍も自殺率が高いことがわかりました。

 

さらに、親族を限定すると、創造的職業に就いている人は、その親か子に総合失調性、双極性障害、神経性無食欲症の病歴をもつか、兄弟に自閉症の病歴をもつ場合が有意に多いこともわかりました。

 

この結果は、創造性とは、狂気と紙一重の恐ろしいものだと捉えることもできる一方で、精神疾患には必ずしも負の側面ばかりではなく、創造性というポジティブな側面もある可能性を示唆していることから、精神疾患は必ず完治させなくてはならない病気だとするこれまでの見方に一石を投じるものだと、Kyaga氏はコメントしています