さてそうなると、製造業の仕事を失ってしまった人たちや、働きたいのに働けないでいる人たちはどうするだろう?
心配なのは、サービス業などに失業者が殺到する可能性だ。
サービス業は、人の力が必要な「労働集約型(ろうどうしゅうやくがた)」の産業といわれている。だから、一定の雇用は今後も必要とされるだろう。だけど同時に、正社員が少なく、パートやアルバイトで働く人たちが多い分野でもあるよね。
その分、お給料の相場は高くない。今後、こうした分野に「ほかに仕事がないから」と働き手が集まれば、日本人の賃金の水準はますます下がっていくかもしれない。
「金の卵」を潰す従来型のシステムから
“高度人材”を育てる教育に
生産年齢人口が減って、家族を養うのが一苦労になる――。
一方で仕事は減り、給料も目減りするかもしれない――。
どうやら、これからやってくる労働人口減少の時代は、若者が「金の卵」と呼ばれた高度経済成長期とはまったく違うものになりそうだ。そんな未来を生き抜くために、僕たちはいったいどうしたらいいんだろう?
じつをいうと、労働人口そのものは不足しないものの、今の日本に不足していて、将来も必ず必要になる労働力があるんだ。「高度人材」と呼ばれる人々だよ。
一般には、専門的な技術や知識を持つ外国人労働者を指している。人口減少の時代に労働生産性を上げ、経済成長や技術革新をおこなっていくには、不可欠な人材だと考えられているよ。
もちろん、ただ知識や技術を持っているだけではダメ。有名な大学や大学院を出ているだけでもダメ。自分で考えて行動し、「イノベーション」を起こすことができる人材が必要だ。
イノベーションと言ったって、山中伸弥教授が成しとげた「iPS細胞の開発」みたいな偉業ばかりを指すわけじゃないよ。パン職人がランチにぴったりのヒット商品を生み出したり、農家の人がお米の品種改良をしたり、営業マンが、お客様が欲しいと考える機能を持った商品やサービスを見つけたり――そんなことだって、立派なイノベーションだ。