ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
人口減少 ニッポンの未来
【第5回】 2012年11月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
西川敦子 [フリーライター]

人口が減るのに街は失業者であふれる!?
「雇用貧乏国」ニッポンの厳しすぎる未来

previous page
4
nextpage

 さてそうなると、製造業の仕事を失ってしまった人たちや、働きたいのに働けないでいる人たちはどうするだろう?

 心配なのは、サービス業などに失業者が殺到する可能性だ。

 サービス業は、人の力が必要な「労働集約型(ろうどうしゅうやくがた)」の産業といわれている。だから、一定の雇用は今後も必要とされるだろう。だけど同時に、正社員が少なく、パートやアルバイトで働く人たちが多い分野でもあるよね。

 その分、お給料の相場は高くない。今後、こうした分野に「ほかに仕事がないから」と働き手が集まれば、日本人の賃金の水準はますます下がっていくかもしれない。

「金の卵」を潰す従来型のシステムから
“高度人材”を育てる教育に

 生産年齢人口が減って、家族を養うのが一苦労になる――。
  一方で仕事は減り、給料も目減りするかもしれない――。

 どうやら、これからやってくる労働人口減少の時代は、若者が「金の卵」と呼ばれた高度経済成長期とはまったく違うものになりそうだ。そんな未来を生き抜くために、僕たちはいったいどうしたらいいんだろう?

 じつをいうと、労働人口そのものは不足しないものの、今の日本に不足していて、将来も必ず必要になる労働力があるんだ。「高度人材」と呼ばれる人々だよ。

 一般には、専門的な技術や知識を持つ外国人労働者を指している。人口減少の時代に労働生産性を上げ、経済成長や技術革新をおこなっていくには、不可欠な人材だと考えられているよ。

 もちろん、ただ知識や技術を持っているだけではダメ。有名な大学や大学院を出ているだけでもダメ。自分で考えて行動し、「イノベーション」を起こすことができる人材が必要だ。

 イノベーションと言ったって、山中伸弥教授が成しとげた「iPS細胞の開発」みたいな偉業ばかりを指すわけじゃないよ。パン職人がランチにぴったりのヒット商品を生み出したり、農家の人がお米の品種改良をしたり、営業マンが、お客様が欲しいと考える機能を持った商品やサービスを見つけたり――そんなことだって、立派なイノベーションだ。

previous page
4
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

underline
昨日のランキング
直近1時間のランキング

話題の記事


西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


人口減少 ニッポンの未来

現在、約1億2800万人と言われる日本の人口。しかし、国立社会保障・人口問題研究所では、人口が2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人になるとの予測が立てられている。どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているのか?この連載では、これからの時代を担う今の子どもたちに読み聞かせる形式を取りながら、日本の未来をいろんな角度から覗いていく。

「人口減少 ニッポンの未来」

⇒バックナンバー一覧