2004~2008年の平均上昇率を見ると、1.19%。今後もこのスピードで上昇するものと仮定すると、生産年齢の減少率0.9%を上回って進むことが考えられる。これなら、生産年齢人口が減ってもどうやらカバーできそうだね。
ただ、困ったことがある。不足分をカバーできる分、就職できない人たちがあふれてしまうことだ。
それを表しているのが上の図。一番上の点線は「労働意欲人口」を示している。失業者や専業主婦、お年寄りなど、働いていない人を含む「働きたい人全体の人数」だよ。そして下から2番目の点線は、実際の就業者数。見ての通り、2つの点線の間にはだいぶひらきがあるよね。
つまり、失業問題は、生産年齢人口が減ってもこのままでは解消される見込みがない。それどころか、このグラフ以上に深刻なものになる可能性もある。
失業者がサービス産業に殺到する未来
なんでこんなことが起きてしまうんだろう?
「工場の機械化やロボット化によって、労働生産性が向上するから」というのは、もう説明したよね。ほかにも理由はいくつか考えられる。
たとえば、2025年の国内の市場規模(いろいろなモノ、サービスの売り買いの額の大きさ)は、今より1割減るとされている。人口そのものが減るだけじゃなく、年金暮らしのお年寄りなど、買い物をひかえる人が多くなるからね。
しかも今後は、家電製品や衣類など、いろいろなモノがますます海外から輸入されるようになる。安い海外製品に押されて、日本の製品はだんだん、人気がなくなってしまう――なんてこともおおいに考えられる。そうなると、国内にある工場は今以上に、人を雇わなくなってしまう。
ただでさえ、今の日本のメーカーは海外に工場を移し、現地の人びとを積極的に雇っているからね。この動きは、国内の市場規模が小さくなっていく以上、今後も活発になっていくはずだ。