これは、日本全体にとっても、そして個人にとってもかなり厳しい現実だ。たとえば、2012年版のIMDの国際競争力年鑑を見ると、日本の国際競争力は世界で27位。バブル期には1位だったけれど、どんどん順位を落としてしまった。今後、人口減少が進み、働き手が少なくなるにつれますます下がるのでは、と多くの人が予想しているよ。
現役世代の負担もますます重くなるはず。それを表しているのが、生産年齢人口が、子どもと高齢者をどれだけ養うかを表す「従属人口指数(じゅうぞくじんこうしすう)」という指標だ。
従属人口指数=(子どもの人口+お年寄りの人口)÷生産年齢人口×100
この公式にしたがって計算すると、2005年の従属人口指数は51.3だった。それが2010年には56.5に。さらに、2025年には68.1となる見込みだ。この指標は、その後もますます大きくなっていくと考えられており、2050年の従属人口指数は、なんと93.0だ。
残念だけれど、このままでは将来、日本人の生活レベルは相当下がってしまうことになりそうだね。
働きたいのに働けない人があふれる理由
「生産年齢人口が減れば、いいことだってあるんじゃない?」と言う人たちもいる。
働き手が不足すると、企業は人手不足におちいり、女性や高齢者、身体障がい者を含め、たくさんの人を採用するようになる。結果的に失業者が減る――こんなシナリオも考えられるからね。
でもね、最初に話したように、生産年齢人口が減っても、労働力不足になることはないんだ。
まず、生産年齢人口が減るスピードを見てみよう。2010~2025年の生産年齢人口の減少率は、年率0.9%と予測されている。
ところが、これを上回るスピードで進みそうな指標がある。「平均労働生産性上昇率(へいきんろうどうせいさんせいじょうしょうりつ)」だ。ちょっと長い名前だけど、労働の量に対してどれくらい生産できるかを表すものだよ。工場の機械化やロボット化などを進めたりすることで、上がる指標だ。