それゆえか、隣家から漂ってくるタバコの害、ガーデニングによる害虫、避難経路をふさぐ物置、ペット飼育など、ご近所トラブルが絶えません。
その実例と解決法について、「快適で安全な女性の暮らし」をモットーに活躍する不動産アドバイザーの穂積啓子さんにお話を伺いました。
■隣人に嫌がられる「ベランダ喫煙」は遠慮しよう【トラブルケース1】幼い子どもがいるため、いつもベランダで喫煙しているAさん。
ある日、隣の住人がベランダ越しに、「タバコの煙が漂ってくる! 臭いでベランダに出るだけで気分が悪い。
ベランダでの喫煙はやめてほしい」と言われ、ちょっとした口論になったと言います。
Aさんはヘビースモーカーで休日はかなりベランダでの喫煙回数が多いそうです。
どのように対処するべきでしょうか。
穂積さん:4〜5年前から増えているトラブルです。
入居時に室内での「禁煙」が条件となるマンションは急増していますが、ベランダでの喫煙は、マンションの規約の禁止事項になっていない場合がほとんどです。
喫煙者の良心やマナー、モラルに任せられることになるケースですが、重要なのは、規約がないからこそ法的指針による解決策が見えず、もめごとが大きくなる事例があるということです。
Aさんには、ベランダ喫煙でのトラブルが増えていることを伝え、できるだけ部屋の換気扇の下で吸うようにして消臭剤を併用する、空気清浄器を使うなどを提案しました。
喫煙の自由はあるものの、隣家に煙が流れていること、実際に隣人が被害を訴えているため、トラブルを起こさないことを念頭に行動することが大事でしょう。
また、ベランダでは「バーベキューや花火など、発煙、発火の行為は禁止」です。
タバコの火の不始末、吸い殻が隣家に飛ぶなどがあると火事になる恐れもあります。
東京消防庁発表の「最近10年間(平成12年〜平成21年)の建物から出火した『たばこ火災』の推移と出火箇所の状況」(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/220614.pdf)によると、「建物から出火した火災の出火場所」では、ベランダからの出火が増加しており、平成21年は10年前と比べて30件(90.9%)増加、ほぼ倍増したというデータもあります。
■隣家のガーデニングから害虫が……【トラブルケース2】「隣人がベランダいっぱいにガーデニングをしていて、アリや蚊など害虫が集まってくるし、土が流れて共用の排水溝が詰まって困るんです」と訴えるBさん。
もめ事は避けたいので今は我慢していると言いますが、隣人に注意することはできるのでしょうか。
穂積さん:注意する必要があるでしょう。
直接言うとトラブルになることがあるので、管理会社か家主に伝えましょう。
隣人には、「ベランダは共有部分であり、緊急時の避難経路のための場所であること」、「ガーデニングや物を置くための場所ではないこと」を認識してもらわなくてはなりません。
ベランダの床に敷くウッドデッキや取り付け式の屋根やテントも、多くのマンションの規約で禁止されています。
火災の予防、避難経路の確保などのためです。
また、ベランダの排水には十分な注意が必要です。
土やごみで排水溝が詰まると、雨の日には階下へ水漏れすることがあります。
肥料の臭いも、ケース1のタバコの煙や臭い同様に、隣家にとっては迷惑なだけです。
ベランダでのガーデニングは避難経路をふさがないよう、ご近所に迷惑をかけないよう、掃除とお手入れをしながら楽しみましょう。
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