発見!鎌倉・室町・安土桃山時代のにいがた


 密教法具が出土 【上越市柿崎区 木崎山(きざきやま)遺跡】
 輸入陶磁器が多数出土 【阿賀野市(旧北蒲原郡水原町) 堀越(ほりこし)館跡】


密教法具が出土 −上越市柿崎区 木崎山遺跡−   【県指定文化財】

 木崎山遺跡は、今から約800年ほど前の鎌倉時代末期〜室町時代初めに造られた城館跡です。遺跡の中心部が調査されておらず、将来上杉謙信の重臣、柿崎景家にかかわる資料が見つかる可能性が残されています。
 出土品の中で最も注目されるのは、右側の写真にある鎌倉時代の密教法具と陶器です。五鈷鈴を除く10点の銅製の密教法具は、瀬戸焼の壷に納められ、直径40cm程の穴に埋められていました。これらの法具は壷の口から入らないものがあり、壷は頸の部分を破損させることなく巧みに外し、法具を納めた後に漆で再び接着しています。法具を納めた壷は、掘立柱建物の北東隅付近に埋められていたことから、当時の人々が建物を建設する際、土地の神様を鎮めるために埋めたものと推測されています。


木崎山遺跡出土地鎮具
奥左から:花瓶・五鈷鈴・古瀬戸四耳壷
中央左:六器(高台付小鋺) 中央右3点:飯食器
前5点:六器(台皿)


輸入陶磁器が多数出土 −阿賀野市(旧北蒲原郡水原町) 堀越館跡−

荘園「白河荘」

 鎌倉〜室町時代にかけ、現在の阿賀野市の一部(旧水原町・旧安田町・旧笹神村)は「白河荘(しらかわのしょう)」と呼ばれる摂関家の荘園で、上杉氏の一族が入ってきた15世紀には、越後国の府中であった現在の上越市に次ぐ政治的な中心地として栄えた地域でした。
領主は「唐物」がお好き?
 14世紀〜16世紀に営まれた堀越館跡は、白河荘の有力な領主であった堀越氏の館跡と推測されています。調査の結果、多数の輸入陶磁器が出土しました。特に、SX34と呼ばれるゴミ捨て場は日用品の割合が少ないうえに、中国製陶磁器の割合が高く、館の領主が使用した家財類を捨てた場所と考えられます。

奥左:越前焼壷 奥右:茶臼
中央左3点:天目茶碗 中央右:青磁
前左:天目茶碗 前中央3点:白磁 前右2点:青磁
*中央・前の陶磁器は全て中国製 

茶・花・香は武士の嗜み

 堀越館跡で出土した陶磁器には茶の湯にかかわる茶道具が多数見られます。お茶を入れた壷には、中国製の褐釉壷や信楽焼の壷、瀬戸美濃焼の祖母懐壷などがあり、当時大変希少価値の高い品物でした。これらの壷に、京都の宇治を中心とした関西の生産地でお茶を詰め全国に流通したと考えられます。お茶の葉を擦る茶臼も流通した数が少ない石材が使用されていました。
 お茶を楽しむ天目茶碗も瀬戸美濃焼のものより中国産の割合が高く、領主の「唐物」嗜好が現れています。
 室町時代、茶・花・香は武士の嗜みとしてとらえられていましたが、一方ではこれらの道具が武士の権威を現すもう一つの武器「威信財」だったのです。「唐物」を所有し、飾ることは武士階層のステイタスシンボルだったのでしょう。

中国製褐釉壷
茶壷として使用

信楽焼壷
茶壷として使用

瀬戸美濃焼の祖母懐茶壷

装飾硯
滋賀県の高嶋産と推定される

upload:2003/02/04

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