| 円墳から青銅鏡が出土 | 【長岡市（旧三島郡和島村） 奈良崎（ならさき）遺跡】 |
| 古墳時代前期の集落跡 | 【新潟市北区（旧豊栄市） 正尺（しょうじゃく）Ｃ遺跡】 |
| 円墳から青銅鏡が出土 | −長岡市（旧三島郡和島村） 奈良崎遺跡− |
| 古墳が語る社会の変化 3世紀後半〜7世紀にかけて全国各地で巨大な古墳（お墓）が作られた時代を古墳時代と呼んでいます。古墳時代は前（3世紀後半〜4世紀）・中（4世紀末〜5世紀末）・後期（5世紀末〜7世紀）の３つの時期に分けることができます。一口に古墳と言っても、前方後円墳、前方後方墳、円墳、方墳など様々な形があり、それぞれの時期で古墳の形・大きさ・構造、副葬品（死者と一緒に埋葬される物）、そしてその性格が変化して行きます。では古墳の持つ意味は社会の変化と共に、どのように変容していったのでしょうか？ 古墳時代前期は、それまで各地域で異なっていた首長の墓の造り方が、ヤマト政権の中心地であった畿内の墓制にまとめられていった時期です。すなわち、各地の首長が畿内の墓制を取り入れることで、ヤマト政権と政治的に親密な関係をつくり、その関係のシンボルが古墳であったと言えます。この時期、ヤマト政権などから与えられた「青銅鏡」は権威の象徴として盛んに副葬され、その呪術性から、被葬者が祭礼などを司る支配者であったことを推測させます。新潟市秋葉区（旧新津市）の古津八幡山古墳（円墳）、新潟市西蒲区（旧巻町）の山谷古墳（前方後方墳）、菖蒲塚古墳（前方後円墳後円墳）、三条市の保内三王山古墳11号墳（前方後円墳）などはこの時期に造られた古墳です。 中期になると、飛び抜けて巨大な大王の前方後円墳を頂点に、古墳の形や規模が首長の権力の大きさや、身分の序列を現すようになっていきます。この時期は、副葬品に前期のような呪術性が薄れ、武具（甲冑・鉄鏃・刀・剣など）や馬具、農耕具などの鉄製品が副葬されるようになり、軍事的あるいは世俗的な権勢を示すものと考えられています。上越市の黒田古墳群（円墳・方墳）、南魚沼市（旧六日町）の飯綱山古墳群（円墳）などはこの時期に造られた古墳です。 それが後期になると、それまで古墳を造ることができなかった階層である、有力な家長とその一族までが、中・小規模の円墳を密集して造るようになり（「群集墳」と呼ばれる）、より多くの階層の人々が古墳に葬られるようになったのです。群集墳の中心的な古墳には、須恵器や耳飾などの装身具、金銅の装飾の付いた大刀などが見られ、首長が役人的に変化していった様子が読み取れます。上越市清里区の菅原古墳群（前方後円墳・円墳）や上越市三和区の水科古墳群（円墳）、上越市牧区の宮口古墳群（円墳）はこの時期に造られた古墳です。 このように、古墳の形や規模、副葬品などを調べることで、古墳時代の社会を知ることができるのです。 |
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| 奈良崎遺跡の円墳から青銅鏡が出土！ 奈良崎遺跡では、標高30ｍの丘陵上で古墳時代前期の古墳が2基発見されました。いずれも墳丘部分が後世に削られてしまい正確な規模を測ることはできませんでしたが、残された周溝から１号墳は直径約18ｍの円墳、2号墳は1辺約10ｍの方墳であることが確認されました。 1号墳では、中央部に棺を埋葬した墓穴が確認され、中から「捩文（ねじもん）鏡」と呼ばれる青銅鏡1点と水晶製の勾玉1点、緑色凝灰岩製管玉1点が出土しました。 |
奈良崎遺跡1号墳から出土した「捩文（ねじもん）鏡」 復元直径9.0cm |
巻町菖蒲塚古墳出土「だ龍（だりゅう）鏡」 直径23.6cm |
捩文鏡とだ龍鏡 「捩文鏡」は一つのまとまりを持つ鏡群で、直径20cmを超える大型の青銅鏡「だ龍鏡」の文様の一部を真似て、主要な文様にした直径約13〜6cmの小型の青銅鏡です。古墳時代前期、青銅鏡の大小は意図的つくり出され、地方首長に対するヤマト政権の信任の程度によって、分け与える鏡の大きさを変えていたと考えられています。 新潟県下の古墳に副葬された青銅鏡は、10面をわずかに超える程度でそのほとんどが小型鏡です。その中にあって巻町の菖蒲塚古墳（前方後円墳後円墳 全長53m）から出土した「だ龍鏡」は直径23.6cmと際立って大きく、これまでも注目を集めていました。このことは山梨県や山口県の例と合わせて、大型の「だ龍鏡」を前方後円墳に、小型の「捩文鏡」を小古墳に配布するという組み合わせが一定の地域で成り立つ可能性を示しています。 奈良崎遺跡の捩文鏡は、古墳時代前期の青銅鏡の生産や流通が、政治的な背景とどのように結びつくのかを解く、重要なカギになりそうです。 |
| 古墳時代前期の集落跡 | −新潟市北区（旧豊栄市） 正尺（しょうじゃく）C遺跡− |
| 正尺Ｃ遺跡は今から約1､700年前の古墳時代前期の集落跡です。古墳時代前期の土器が良好な状態で多数出土しており、新潟県内の古墳時代前期の土器を調査する上で貴重な資料となりました。 壷（貯蔵の容器）・甕（煮炊きの鍋）・椀（盛り付ける器）・甑（米の蒸し器）・器台（おまつりに使う壷をのせる台）・高杯（盛り付ける器）など様々な形の土器が出土していますが、特におまつりに使われたと考えられる赤く塗られた器台が多く見つかっています。多くは新潟県内に広く見られる北陸系の土器ですが、中には東海地方や東北地方の影響を色濃く示す土器も見られます。 この地域には正尺Ｃ遺跡のほか正尺Ａ遺跡など古墳時代前期の遺跡が密集しており、一定の勢力を持つ集団がこの地に存在したことが想定されます。正尺の人々はこのような力を背景に、遠く東海や東北地方の人々とも交流を深めていたのでしょう |
正尺C遺跡から出土した古墳時代前期の土器 |
| 旧石器時代 | 縄文時代 | 弥生時代 | 飛鳥・奈良・ 平安時代 |
鎌倉・室町・ 安土桃山時代 |
江戸時代 |
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