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[町田]記念すべき“Jリーグ元年”は、最下位という厳しき現実。試合後、囲み取材に応じた唐井直GMは「ゼルビアはどこのカテゴリーにいても存在し続ける」とコメント

 11日(日)、FC町田ゼルビアはJ2第42節・湘南ベルマーレ戦を戦い、0-3で敗戦。J2最下位が決定しました。J2からJFLへの降格制度が導入された今季、JFLで優勝を決めたV・ファーレン長崎と町田の入れ替えが実施されるかは12日のJリーグ理事会で決定される予定です。今回のブロゴラでは11日の湘南戦後に行われた唐井直GM、下川浩之社長の囲み取材でのコメントを紹介します。【写真/徳丸 篤史】


■唐井 直GMコメント
――最下位という戦績を受けて。
「J2リーグ参入1年目のシーズンに、ゼルビアというクラブはチャレンジした1年でしたが、ファン・サポーターのみなさま、スポンサーパートナーのみなさま、石阪丈一町田市長をはじめとする行政の大きな支援をいただきながら、最下位という結果に対しては非常に申し訳なく思っております」

――16試合勝利なしという状況の中で監督交代という選択肢はありましたか?
「今日の先発メンバーの中で、平本(一樹)とイ・ガンジン、練習生から契約を勝ち取った加藤(恒平)を除けばJFL時代からのメンバーが主体です。まだまだウチのクラブの力では下のカテゴリーから上がってきた選手と限られたメンバーをベースに戦ってきましたが、その中でシーズンを振り返ると、結果的に最下位とはなりましたが、ボールを大事にするというスタイルを築き上げてきたと思います。
 例えば、太田(康介)などは3年前には酒屋の仕事をしながらアマチュアで頑張っていた選手で、そういった選手たちがチームのベースになって戦ってきました。一方で年代別代表候補の三鬼(海)や加藤なども台頭してきました。J2というカテゴリーに上がり、『町田らしいサッカーにこだわること』を掲げてきた中で、チームを作ることは時間がかかることでした。それは簡単なことではありませんし、少しずつチームが進歩しているという手ごたえはありました。長い期間勝てずにみなさまにご心配をかけたと思いますが、監督交代をすることはなく、ここまでブレずにやり続けてきました」

――ボールを大事にするというサッカーは、J2で確実に勝ち点を取っていくには難しいスタイルだと思いますが、唐井GM自身、監督とのコミュニケーションを図って来ましたか?
「クラブにとってJ2残留は大きなミッションでした。Jリーグもアクチュアルプレーイングタイムの強化をする中で、町田はJ2の中ではポゼッション率が高かった。ただしボールを回せばいいというわけではなく、その中でも7月に結果を求めるということで、北井(佑季)や平本(一樹)、勝又慶典など前線の選手をめがけてロングボールを蹴ることは織り交ぜて戦ってきました。ベースにはボールを大事にするということ考え方を貫きながら、ロングボールを織り交ぜる戦い方でやってきた結果が最下位でした。スタイルを変えずにやってきたという認識の1年間ではありません」

――仮にJFL降格が決定した際の来季の体制について。
「まだ最下位が決まったに過ぎません(JFLへの降格正式決定は12日のJリーグ理事会で)。天皇杯は16強まで進出していますし、ゼルビアというクラブが歴史を刻む大会が残っているので、まずはそれを戦い抜くことが先です。仮定の回答はできませんが、ゼルビアはもともとJFLから上がってきたクラブ。今日のところの回答は、ゼルビアはどこのカテゴリーにいても存在し続けるということに留めさせてください。それ以上のことはご勘弁ください」

――試合後の会見で監督は来季もやりたいと話していたが?
「オズワルド・アルディレス監督自身の希望はありがたいお話で、監督の希望も踏まえクラブとしてどう決断するか。町田のスタイルを築くには継続性が重要な要素だと思っていますし、監督の意向も踏まえてクラブとしては取締役会の中で検証していき、その上での結論になります。一つのスタイルを築くのは時間がかかることですし、実際に若手が伸びて来ています。今季はJ2で通用するのかどうかという経験をしてきた中で、J2でもできるという一人前の選手が前述の太田のようにベテランの中にも出てきました。成長を示した選手もいる中で、どのような判断を下すのか。そこはクラブの判断になります」

――限られた予算の中で選手層を厚くするというご苦労はされてきたと思いますが…。
「昨年について言えば、JFLのときの経営状況を開示していますが、J1・J2の40クラブの中で、ゼルビアは予算が低いレベルであることは否定しません。ただし、サッカーというスポーツは小さいものが大きいものに向かって試合に勝つということも醍醐味の一つです。いまは身の丈に合った経営で全力を、最前を尽くすということがクラブの使命です」


■下川 浩之社長コメント
――仮にJFLへ降格となった場合は1年でJ2に戻るという方針でよろしいでしょうか?
「現時点では最下位ということ結果だけが残っています。Jリーグの理事会などを経て最終的にどうなるか分かりませんが、そういう方針で出直しを図ることになります」

――限られた予算規模の中でも、社長の立場としてこれができたんじゃないか、もしくはこれができていればというようなことはありますか?
「町田市立陸上競技場にメディアセンターも作って、来年の2月に完成する新しいメインスタンドも作りながらJ2のシーズンに挑んできました。先ほど石阪町田市長には『立派なスタジアムを造っていただいたのに申し訳ない』と話をしました。いろいろとやれることはたくさんあったかもしれませんが、その場その場で現場は密に連絡を取り合っていました。経営陣が試合の内容をああだこうだとは話さないようにしてきました。今年に限っては経営のことでいっぱいいっぱいでしたし。Jリーグに上げてもらうときに『クラブ経営の黒字化をしてください』と大東チェアマンからも言われていました。9月、10月も当初の予算と変わらず、数字も推移しています。経営の観点では良かったと思います」

――今季の観客動員数(1試合平均3,627人)は満足できる数字でしょうか?
「例えば第39節・愛媛戦(2,883人)など重要な試合ではありましたが、観客数が少なかったですよね。まだまだ町田は勝利と敗戦だけを気にしているファンがいます。結果が良ければ観戦に行くが、悪ければどんどん離れるという体質はあると思います。もう少しだと思いますし、まだJリーグ1年目ということで課題はたくさんありました。別のチームを引き合いに出して申し訳ないですが、例えば(松本)山雅さんのようにお客さんが入って、集客力があるからそのぶん予算も膨らみます。それと比べられたらたいへんですが、いろいろな部分で初めに立てた予算をクリアしています。入場料収入の見込みと実際の数字も近付いています。果たしてどういう結果になったのかはあらためて精査していくことになりますが、悪い数字ではないと思います」

――JFL時代と比較して観客動員の上積みはそれほどなかったと思いますが…。
「ウチはチケットのバラ撒きはしていないし、スポンサーチケットやファン、サポーターからチケットを買って見に来ていただいています。Jリーグ1年目ではありましたが、良くなっているなという手ごたえは感じていました」

――今後も現場は唐井GMに任せていく方針でよろしいでしょうか?
「来週か再来週に取締役会がありますから、そこで話し合っていくことになります。まだ何も分かりませんし、誰がどうこうという話は白紙の状態ですよね。12月15日まで天皇杯が残っていますので、そこに集中して戦おうということです」

 最後に告知です。13日発売(※関西は14日発売)の『EL GOLAZO』(エルゴラ)ではJ2第42節・町田vs湘南のマッチレポートを掲載。なぜ町田が最下位に低迷したのか、その原因に触れたコラムを掲載予定です。そちらも合わせてよろしくお願い致します。

試合後のセレモニーで挨拶をするアルディレス監督

(町田担当 郡司 聡)

2012/11/12 14:00

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記者プロフィール

郡司 聡(ぐんじ・さとし):『キャプテン翼』より『がんばれ! キッカーズ』、大空翼より大地翔を愛する30代。昨季と一昨季、2度の天皇杯・町田戦取材を縁に今季から町田担当記者に着任した。現在は人生初の茶髪にしているため、ちょっとだけ気が大きくなっている。最近は染めるたびに色が明るくなっているが、黒く染め直す気配はない。

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