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死んだ目でダブルピース このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

名前:中山涙 (由来=ペンネームが決まりました!
職業:文筆業/お笑い好き


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浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜 (マイナビ新書)
近著「浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜」(マイナビ新書)
 発売日:2011年12月23日

 おかげさまで好評でございます。
 まだお読みになっていない方は、ぜひどうぞ。

マイナビ ブックス - 浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜








2012-03-05(Mon)

シロートがR-1ぐらんぷり2012に出場し、惨敗するまでの記録。

| シロートがR-1ぐらんぷり2012に出場し、惨敗するまでの記録。を含むブックマーク シロートがR-1ぐらんぷり2012に出場し、惨敗するまでの記録。のブックマークコメント

 今年の1月30日、R-1ぐらんぷり2012の予選に出場しました。

 結果から言うと、1回戦で敗退したのですが、とてもいい体験になりました。


 僕は過去に芸人になろうとしたことは一度もなく、さらに「人前で何かを演じる」経験も、まったくありません。放送作家に憧れて、演じられる予定のないコントの台本を勝手に書いたことがあるだけでした。

 落ちるのは当然だったのですが、ひとつの記録として、僕が出場しようと思い立った経緯とネタの内容、舞台に立ったあとの心境の変化などについて書いておきます。


 そもそも、R-1に出ようと思ったきっかけは、、「もしも著書(「浅草芸人」)が売れなかったら、罰ゲーム的に何かをやろう」と考えたからです。

 けれど、そんな考えで出場するのは、人生を賭けて参加する本職の芸人さんに失礼だと思い返し、単純に「出たいから出よう」と決めました(結局、罰ゲームはUstreamで公開丸坊主にしました)。

 芸人についての本を書いていながら、バックステージや舞台からの風景を見ていないのは不勉強だ、という反省もあり、また、これまでお笑いを見てきて自分なりに考えた「理論」を実践したいという野心もありました。

 要するに、今後の著作活動ために、一度舞台に立ってみようと思い立ったのです。


 シロートのくせに、冷やかしで舞台に立つな、と批判する方もいるでしょう。

 しかし明治時代から、落語などの世界では、一ファンなのに芸の真似事をする「天狗連」と呼ばれるシロートもいたし、「旦那芸」という言葉もあります。作家の正岡容都筑道夫の師匠)などは、旦那芸の域を超えて落語の作者になったりもしました。

 また、大正から昭和の後期ごろまでは「文士劇」という伝統もありました。「文壇」というものが存在した時代の話です。戦前は菊池寛川口松太郎、戦後は江戸川乱歩横溝正史などが、さまざまな素人演劇の舞台に立っています。

 ……そういった理論武装をしてから出場に踏み切りました。

 また、芸人さんが小説を書いて売れたりするんだから、小説家が芸人の真似事をしてもいいだろう、という居直った気持ちもありました。


 その時点で、予選当日まで20日間を切っていました。

 ネタを作るときに思ったのは、「自分の能力を過信しないようにする」ということ。

 たとえば、テレビではダメダメに見える芸人さんも、声の張り方、表情の作り方といった「表現」にかけては、間違いなくプロです(あたりまえ)。ネタを忘れることもないし、緊張して実力を発揮できない、ということもない。

 自分は、その段階にすら達しておらず、表現も稚拙だし、緊張もするし、ネタも覚えられない、仮に覚えても、舞台では緊張してすべて吹っ飛ぶだろうと判断しました。


 そこで選んだ手段は、「印刷した文章を読み上げる」というスタイルです。

 この手法は、僕の大好きな殿方充という芸人さんからパクりました(笑)。

 さらに「シロートの自分でも、それっぽく見せることが可能な演技はどういうものか」を考えてみました。

 自分なりに考えて、それは「痛い・悲しい・反省している」演技だと思いつきました。会社員時代に仮病を使ったり、仕事でミスをしたとき、そういう演技をしていたことを思い出したからです。


 最初に作ったネタは、ひとりコントなのですが、猛烈にヒドいものだったので、永遠に封印します(笑)。

 リビングで披露したところ、ツマは「まっっったく面白くない!」と言い放ち、そのまま不機嫌になってソファで寝てしまいました。結婚して10年経ちますが、夫婦別々に寝たのは、離婚の危機を迎えた時期を除いて、初めてのことでした。

 すごいな、夫婦仲が険悪になるくらい、つまらないネタってあるんだな……と思いました。


 僕は、書き上げたWORDのファイルを削除し、記憶からも抹消しました。

 それでも、しばらくは精神的に落ち込んで、悪夢にうなされる夜が続きました。

 ちょっとだけ、スベった芸人さんの気持ちがわかりました。


 そのあと10日ほどして、「弔辞」という選択肢を思いつきました。

 誰かの葬式で、親族が不謹慎な弔辞を読み上げれば、笑いにつながるのではないか。そう考えました。

 葬式コントというのは、ドリフでも、たけしのコントでも、「ごっつ」「リチャードホール」などでも使われている、定番中の定番です。

 テレビの笑いと違って特に制約がないので、絶対に放送できないようなレベルの不謹慎ネタを作れば、シロートがやっても、そこそこウケを取ることは可能なのではないかと思いました。

 衣装は、喪服を着れば済むことです。

 結果的には「遺族がマスコミの前で会見」という形に落ち着きました。


 というわけで、R-1予選の前々日(!)、以下のようなネタを一気に書き上げました。

※3月11日、削除しました。


 われながら、ヒドいネタだと思います。怒る人もいるでしょう。元ネタの人物に思い入れがある方、真面目に性転換を考えている方には失礼だったと思います。

 でも、僕には「誰も傷つけない笑い」を作るのはムリでした。

 再びツマの前で披露したところ、

「いいんじゃない」

 という反応が返ってきました。


 何度か朗読してみて、制限時間の2分に収まるようにフレーズを削ったり足したりして調整しました。

 言いにくいセリフは、簡単に言える言葉に書き換えました。

 カッコ内の表記は、読み上げる原稿にもしっかりと印刷しました。緊張したら、絶対に忘れると思ったからです。


 改行は、読むときの「間」です。2行空けたところでは、心の中で3秒数えました。計算通りウケることがあれば、「笑い待ち」の効果があるし、もしウケなくても、弔辞なのだからゆっくり読んでも不自然ではないだろうと考えました。


 数回練習して、時計を見なくても2分で収まるようにしました。

 こうして僕はR-1の舞台に挑みました。練習期間はわずか2日。時間にすると30分ほど。

 ナメていたわけではありませんが、何を練習するべきかわからなかったのです。


 当日、控えスペースでは、壁に向かって小声でネタの練習をしてる人あり、鏡を見て表情を作る練習をしてる人あり、意味もなくウロウロしてる人あり、ひたすら小道具の準備(確認?)してる人あり、さまざまでした。

 ギリギリまでツイッターに書き込みをしていたのは僕だけでした。

 真冬で、エアコンがついていたとはいえ、そこそこ寒かったので、衣装がパンツ1枚の人はツラいなー、と、心の底から同情しました。


 本番では、セリフを噛むこともなく、少々の笑いも取ることができました。

 元芸人で、今はお笑い評論家になっている、孤高のコーイチローくんがレポートを書いてくれています。

中山涙さんの実践〜20120130R1一回戦感想〜 - お笑い評論家・孤高のコーイチローのブログ

 ここでも指摘されているとおり、僕は致命的な失敗をしていました。

紙で顔が隠れていた

 のです。


 思いきりシロートの詰めの甘さが出てしまいました。

 また、弔辞を読んでいる人物は「父親」という設定だったのですが、丸坊主にメガネという姿のせいで、そう思われていなかったことを知りました。


 どちらも、舞台を想定してツマの前で練習するか、自分が演じている姿をビデオに撮って確認していれば防ぐことができた失敗です。


 もちろん顔が隠れていなくても、老けた扮装をしても、2回戦突破はムリだったかもしれません。

 それでも、僕にとっては貴重な体験でした。

 落ちたことを知ったときは純粋に悔しくて、もう一度挑戦したくなりました。


 わずかな経験ながら、芸人さんがどのような稽古をして、どのようなことを考えているか、ほんの少しだけわかったような気がします。

 以上、シロートのへっぽこな体験談でした。

過去のエントリー:

「浅草芸人」著者・中山涙、思うところあり、R-1ぐらんぷりに出場します。 - 死んだ目でダブルピース

R-1ぐらんぷり2012に出場してきました。 - 死んだ目でダブルピース

通りすがり通りすがり 2012/03/08 04:00 >ツマの前で披露したところ、
>「いいんじゃない」

>舞台を想定してツマの前で練習するか

ここらへんが敗因だと思います。
私も舞台に立つ人間のはしくれですが、
ひとこと

人のせいにすんなよ。

以上

karatedoukaratedou 2012/03/08 05:20 ごめんなさい。
人のせいにしたつもりはなかったんですが……おそらく、そういうことがおっしゃりたいわけではないのでしょうね。
文章のあちこちにある「他人事感」「不真面目感」、つまり「べつに落ちてもいいや感」がムカついたんだと思います。

はい。素直に反省します。
あらためて、ごめんなさい。

とあるブログよりとあるブログより 2012/03/08 07:51 昔芸人を目指していた友人の事を思い出しました。

今回の失敗を改善して、もう一度挑戦することを期待してます!

むすめむすめ 2012/03/10 15:25 不謹慎が面白いのは一定のレベルまでです。
息子の名前はそれでなくても良かったのでは?それともそれも面白いと思いましたか?

むすめさんの言うとおりむすめさんの言うとおり 2012/03/10 16:03 通りすがりの者ですが、失礼ながらコメントさせて頂きます。
よくもまあそんなひどいネタ書けましたね。真面目にお笑いを研究されている方とお見受けしたので、最初私の勘違いかと思ったほどでした。
あなた、あのビデオ見たことないでしょ(見ないにこしたことはないが)? 現に人が惨殺されているという事実を笑いのネタにするなんて、流石にどうかしてますよ。不謹慎スレスレを狙っているおつもりなのでしょうが、完全に行き過ぎています。センスがなさすぎです。不愉快でしかありません。
こんな記事を載せていると、「いいんじゃない」とおっしゃった奥様の人格まで疑われますよ。

karatedoukaratedou 2012/03/11 12:11 コメントありがとうございます。

「不謹慎が面白いのは一定のレベルまでです。」
「それも面白いと思いましたか?」
「よくもまあそんなひどいネタ書けましたね。」
「現に人が惨殺されているという事実を笑いのネタにするなんて、流石にどうかしてますよ。不謹慎スレスレを狙っているおつもりなのでしょうが、完全に行き過ぎています。センスがなさすぎです。不愉快でしかありません。」

至極まっとうなご意見だと思います。
不愉快な気分にさせてしまい、申し訳ないです。
これが面白いと思ってしまった僕の感覚がおかしいんだと思います。
ネタ部分は削除しておきますね。

tokatoka 2012/03/11 18:44 すごい

JJ 2012/03/14 18:18 ネタ、消しちゃったのですね。残念。
すごかったのに