これはもう、やけっぱち解散!! 野田佳彦首相(55)が14日、党首討論で、相手の安倍晋三自民党総裁(58)が固まってしまうほど唐突に「16日に解散してもいい」と言い出した理由が分った。起死回生の一発大逆転打として狙っていた「北方領土返還」がオジャンになったのが原因だった。12月16日の衆院選・東京都知事選のW選挙の日程も決まり、今度こそウソはつけない状況になった。
「(来年冒頭の)通常国会で、定数削減を必ずやると決断してもらえるなら、16日に解散してもいい」。
野田首相が安倍総裁に宣言すると、解散を求めていたはずの安倍氏は一瞬目がテンになり、シドロモドロになって即答を避けた。
「党首討論で重大な発言があるかもしれない」との観測は事前に流れていたが、まさか具体的な解散の日付を指定してくるとは誰も想像していなかった。傍聴席にいた民主党議員らは顔面蒼白で沈黙。野党議員らもどう反応していいか困っている様子だった。
いきなりの解散宣言を受けて、与野党の動きは慌ただしくなった。自民党は野田首相の発言を誠実に受け止める方針を決定し、100%後押しだ。
一方、解散に大反対だった輿石東民主党幹事長(76)は「首相が判断したのだから、それでいいではないか」と力なく語った。閣僚経験者の小沢鋭仁元環境相(58)は日本維新の会に合流と泥船から逃げ出した。鹿野グループは両院議員総会の開催を求め、“野田降ろし”を画策しているが、16日解散の流れはほぼ決まってしまった。
確かに年内解散の噂はあったものの、この日の野田首相の解散宣言は、どう見ても“やけっぱちな印象”だ。その謎を永田町関係者は、こう解説する。
「決断したのは、12月のロシア訪問が中止になったからでしょう。トップ会談をして北方領土問題に一定の解決の筋道をつけ、それを手土産に信を問うつもりだった。それが駄目になったんだから…。ロシア側の関係者から聞きましたが、プーチン大統領は、2島先行返還と平和条約締結について『交渉の門戸は閉じていない』というスタンスだったそうです」と明かす。
2島とは歯舞島、色丹島のこと。確実に返還されるというところまでまとまっていたわけではないが、少なくとも交渉することにはロシア側も前向きだったという。しかし、野田政権の死に体ぶりを察知したロシアが訪ロの延期を求めていた。なくなるかもしれない政権と話すことではないからだ。
過去に北朝鮮へ訪問して拉致問題を解決した上で解散という計画が、ご破算になったことを本紙も報じたが「訪朝計画のロシア版ということ。2島先行に異論はあるでしょうが、だからこそ信を問う理由になり得ました」と前出の永田町関係者。
あるベテラン秘書からは「何をやっても批判され、味方してくれる人もいない。やけになる気持ちも分かる」と同情する声も上がった。
国会関係者は「今週も来週も各委員会が開かれる予定でしたが、なくなります。質疑予定の議員の事務所に行っても『辞める内閣に聞くことはない』と辞退が相次いでいます」と話し、外堀も埋まりつつある。議員秘書らは「俺たちのボーナスはどうなるのか。生活がかかっている」と悲鳴を上げつつも「地元に行かなきゃいけないので、東京の事務所は今月いっぱいで閉めます」と準備に追われている。
党首討論で野田首相は「自民党に政権を戻さない覚悟でやる」と言い切ったが、とても勝算があるわけではない。
17日に開幕する松阪競輪開設62周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」。東スポWeb特設ページで選手インタビュー&記者予想をお届けします。※スマートフォンからアクセスする場合はPC版ページをご覧ください