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beロゴ2009年11月21日付紙面から
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ピカチュウがリアル――09年12月に発売したポケモンシリーズの新作ゲームを試す=東京・六本木の本社ビル

「オー、ポキモーン!」

数年前、妻とアイスランドを旅していたときのことだ。ピカチュウの絵の入ったポロシャツに気づいた地元の人が親しげに近寄ってきた。似たようなことはタスマニアなどの辺境の地を旅したときにもあった。

「世界中で愛されている」。そう実感した体験だった。

「ポキモーン」と呼ばれたのは、もちろん「ポケモン」のこと。正式には「ポケットモンスター」と呼ばれる日本生まれのゲームソフトを指す。これまでに全ソフト累計で約1億9千万本が販売され、テレビアニメは74カ国で放映された。ピカチュウはアニメ版では主人公のパートナーとして登場する人気キャラクターだ。

シリーズの原点は96年2月に発売された任天堂ゲームボーイ対応ソフト「ポケットモンスター赤・緑」だ。プレーヤーはさまざまな種類のポケモンを捕獲し、他のポケモンと闘わせながら、物語を進めていく。友だち同士で対戦したり、ポケモンを交換したり、携帯ゲーム機の通信機能を生かすシステムを採り入れたのが画期的だった。

「現実の世界とファンタジー世界を、ポケモンという生き物をやりとりすることで両方をリアルに感じさせることに成功した。閉じたゲームにしなかったことがヒットにつながった」

「赤・緑」は累計約800万本を売り上げているが、実は発売第1週の販売数は約14万本とふるわなかった。人気に火をつけたのは、小学生を中心とした子どもたちのクチコミだった。同年4月に「コロコロコミック」誌上で漫画化され、秋にはカードゲームも発売された。相乗効果で人気が高まり、年末に一気に大ブレークした。

ゲームを開発したのはクリエーターの田尻智さん率いるソフト開発会社「ゲームフリーク」だが、開発段階から石原さんはメディアミックスの可能性を模索し、ゲームプロデューサーの立場でポケモンを支えてきた。田尻さんが「生みの親」なら石原さんは「育ての親」だ。

翌年の97年にはテレビアニメがスタート、JR東日本と組んだ夏の「ポケモン・スタンプラリー」も始まった。

ポケモンの人気が過熱するとともに、キャラクターが思いも寄らぬ場所で勝手に使用されるなど、問題も出始めた。

「ポケモンを守るにはそれなりの組織が必要だ。その組織はポケモンをより魅力的にするアイデアを生み出す集団であるべきだ」と考え、98年4月にポケモンセンター(現ポケモン)を設立、社長に就任した。同時に東京にグッズ販売などの直営店を開設し、全国の主要都市に増やしていった。同年夏から劇場版映画の公開も始まった。

現在、アニメや映画のライセンス契約社数は国内で約85社、海外で200社にのぼる。直営店で扱うグッズは約2千種類。カードゲームはこれまでに世界で140億枚以上が販売され、毎年夏には世界大会を開催している。

ポケモン社は現在、世界規模のポケモンビジネスにおいて、コンテンツプロデュースからブランドマネジメントまで統括する役割を果たしている。その一方で、新作ゲームにだめ出しをすることも忘れない。「全部プレーして、一ユーザーとして、ああだこうだ言うことが僕の仕事の原点です」

プロフィール

石原恒和

三重県鳥羽市生まれ。実家は釣り船を出す旅館で、妹が家業を継いでいる。83年、筑波大大学院芸術研究科を修了。研究テーマはメディアアート。卒業後はCG関連の会社に就職。CG制作の仕事を経て、メディアアートの高度な表現のひとつとして、以前から興味を持っていたゲーム業界に入ることに。ゲームプロデューサーとして数々のゲームソフトの開発に携わりながら、95年にクリーチャーズ設立。98年、ポケモンセンター(現ポケモン)設立と同時に現職に。家族はゲーム好きの妻と2匹の犬。

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